
障がいを持たれている方への福祉は時代と共に変遷しております。
戦前は治安維持や取り締まりの対象でしたが、戦後になると福祉という理念が取り入れられ、考え方が変わってきました。
その中で特徴的な傾向は、管理をするという発想から離れ、どんなハンデを持っていても普通に生活するよう目指すというノーマライゼーションです。
その結果、注目すべき法律が2012年に制定されました。
それは「障がい者総合支援法」です。
今日は障がいを持たれている方の家庭支援の予備知識の解説として、この「障がい者総合支援法」のポイントを説明いたしましょう。
まず「障がい者総合支援法」にて、障がい者支援の基本理念が明確になったことです。
それは、障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権が尊重され、一人の個性として分け隔てなく社会の中で共生していくことです。
つまり障がいをもっている方であれ、社会参加の機会が確保され、地域社会の中で他の人々と共生することが目標になっております。
これまで基本的理念が明確になっていなかったことを踏まえると、この点は画期的でした。
さらに障がい者の方が制度を利用した時の金銭的な負担も、原則一割という応益負担から、「障がい者総合支援法」になるとその方の所得に応じた応能負担へと変わりました。
この変化は、障がいを持たれた方が一般就労が厳しい現実を踏まえると、大変有意義なことです。
その他にも支援される対象として「障がい者総合支援法」は範囲を広げました。
いわゆる身体・知的・精神・発達障がい者だけではなく、難病患者など幅広く支援をすることに決めました。
これまで障がい者という枠組みには簡単に当てはまらないけれど、支援を求めているのに受けられない人々がいらっしゃいました。
従ってこの「障がい者総合支援法」はそうした方にも助けの手を差し伸べたのです。
以上、本日は「障がい者総合支援法」のポイントをまとめました。
基本は、障がい者の方でも社会参加ができ、他の人と地域社会で共生するというノーマライゼーションです。
「障がい者総合支援法」はそうした基本理念を明確に定め、それに見合った応能負担を提唱し、支援対象範囲も広げました。
障がいを持たれた方の法律支援は複合的です。
様々な専門家が多角的な視点を持って協力し合わねばなりません。
そんな時の有益な出発点にこの「障がい者総合支援法」はなるでしょう。
まとめ
- 近年の支援の理念は、障がいを持たれた方でも社会参加ができ、地域社会で他者と共生するというノーマライゼーションである
- 「障がい者総合支援法」は支援理念を明確に定め、それに見合った応能負担を宣言し、支援対象を広げた点で画期的である
