近くに親族のいない高齢者のおひとりさまは、死後の事務など第三者の手に委ねるのが一般的です。
身近な人や法律の専門家が、亡くなったおひとりさまに代わって、様々な書類を申請し、亡くなってからもおひとりさまを終活サポートいたします。
そうすると、終活サポートして下さる方には、出来るだけ負担を少なくなるようになって欲しいですよね。
そこで本日は、死後の事務で必要な、捨ててはいけない書類について、いくつかの、特に忘れやすいものをご紹介いたします。
「年金証書」や「国民健康保険被保険証」などは、しっかりと残しておくべきと分かるでしょう。
でも、実は意外なところに落とし穴があるのです。
それは「不動産の契約書」です。
亡くなった後、土地を売却することがあれば、そこには譲渡所得税がかかります。
普通でしたら、譲渡価格から取得価格を引いて、譲渡益に税率をかけます。
しかし「不動産の契約書」が無い場合が大変なのです。
もしなければ、取得価格が不明となることもあり、取得価格は譲渡価格の5%と計算されることになります。
そうすると、取得価格が極めて安く評価されることもあり、思わぬ多額の税金を払わないといけないハメになるのです。
他に捨ててはいけない書類に挙げられるのは、「土地賃貸借契約書」です。
そこに記されている土地を借りる権利も相続財産となりますので、どのような契約であるか確認できることが重要になります。
しかし、こうした賃貸借契約は地主との個人的な契約のため、地代の変更など、詳細に記されていないケースもあります。
そんな中でこの契約書がないとなると、内容を確認しないとならないので、地主に頼んで名義変更をして新しい契約書を作らないとなりません。
そして、なんとその際に名義変更料がかかるのです。
この名義変更料は、借地権価格の5~10パーセントで、安くはない金額となります。
そうしますと、賃貸借契約書をなくしてしまうと、思わぬ出費に見舞われるのです。
本日は、おひとりさまが終活をするときに忘れがちな資料をご紹介いたしました。
人はなかなか簡単に、そしてきれいに死ねないものです。
不動産関係の終活に関しては事前からの準備が功を奏すポイントになりますので、しっかりチェックいたしましょう。
まとめ
- 「不動産の契約書」がないと、取得価格が安く見積もられるおそれがあり、譲渡所得税を多く払わないといけなくなる可能性があります
- 「土地賃貸借契約書」がないと、名義変更をしないといけなくなるおそれがあり、名義変更料を払わないといけなくなる可能性があります