目次
【まず初めに】グループホーム(共同生活援助)の基本を徹底解説!
共同生活援助(グループホーム)は、家庭的な雰囲気で利用対象者が地域において共同して日常生活・社会生活を営みことができるようにサービスを提供いたします。
<グループホームのサービス>
・入浴/排泄/食事等の介護(=介護サービス)
・調理/洗濯/掃除等の家事
・生活等に関する相談及び助言
グループホームの「メリット」 | グループホームの「デメリット」 |
---|---|
・医療ケアと一体化して支援できる | ・定員数が低い |
・家族から離れ自立して生活できる | ・利用者間のトラブルがある |
・家賃に関して補助金が出る | ・従業員による虐待行為の危険性 |
・事業拡大しやすい | ・物件貸主とのトラブルの可能性 |
グループホームってどんな種類?
障がい者グループホームにあたる共同生活援助は3種類の類型があり、事業者さんの体制や潜在的な利用者の需要で最適なパターンを選択していただくことになります。
<最適なグループホームの類型の選び方のポイント>
・介護サービスを自分でするか、又は外部に委託するか
・利用者に常時の支援が必要かどうか
・医療法人と密接な関係があり看護士を派遣できるか
・自社の他の事業で介護サービスを展開しているか
(令和5年度)グループホームの収益の構造:儲かるの!?
令和5年度調査の共同生活援助グループホーム(介護サービス包括型)の収支モデルは、1年間の売上が約4,168万円で支出は3,789万円、その結果収支差は+379万円という現状になっております。
<令和5年:グループホームの収支構造のポイント>
・モデルの収支差は9.1%で、モデル定員は15人になります
・定員1人あたりの収支差は24万7千円です
・全事業所の客体数が一番多い収支差率は20%から25%です
・ただし約39%超の事業所は赤字です
まず注目すべきは令和2年度の調査と比較して収支差が7.3→9.1%と改善していることです。
また事業所全体の動向を見ると、赤字の事業所が令和2年度から25→39%と増えていることに注意いたしましょう。
客体数が多い収支差率は高くなっていて、稼いでいる事業所と体力のない事業所との差が大きくなっていることが大事なポイントです。
<グループホーム経営のオススメ>
・複数のグループホームを増設・運営できるようにする
・利用者さんへの夜間支援は必ずつける
・人件費並びに付随する社会保障の費用を抑える
・開業時の建物取得に係る初期費用を抑える
申請時の要件①:スタッフの配置基準を満たす
包括型のスタッフ配置
(職種) | (配置数) | (常勤要件) | (備考) |
1.管理者 | 1名以上 | アリ | 管理業務に支障がないなら兼務可(※2) |
2.サービス管理責任者 | 1名以上 | 無し | 利用者30人に1人 |
3.生活支援員 | (※1) | ||
4.世話人 | 利用者数÷ 6 以上 |
※1『「区分3」の利用者数÷9+「区分4」の利用者数÷6+「区分5」の利用者数÷4+「区分6」の利用者数÷2.5』の数以上
※2 自治体によっては兼務の管理職の最低勤務時間が決められているのでご注意ください。
日中サービス支援型のスタッフ配置
(職種) | (配置数) | (常勤要件) | (備考) |
1.管理者 | 1名以上 | アリ | 管理業務に支障がないなら兼務可※4 |
2.サービス管理責任者 | 1名以上 | 無し | 利用者30人に1人 |
3.生活支援員 | (※1) | (※3) | 常に1人以上配置※2 |
4.世話人 | 利用者数÷ 5 以上 | (※3) | 常に1人以上配置※2 |
5.夜間支援員 | 1人以上 | (※3) | 共同生活住居ごとに配置 |
※1『「区分3」の利用者数÷9+「区分4」の利用者数÷6+「区分5」の利用者数÷4+「区分6」の利用者数÷2.5』の数以上
※2生活支援員or世話人のどちらかは常に配置する必要あり
※3生活支援員or世話人or夜間支援員の誰かは常勤でなければならない
※4自治体によっては兼務の管理職の最低勤務時間が決められているのでご注意ください。
・同時に「短期入所(併設型or単独型)」のサービスを行わないといけません。
・常に1人以上の従業者を介護or家事等に従事させる必要があります。
・協議会等に実施状況を報告しないといけません。
外部サービス利用型のスタッフ配置
※1自治体によっては兼務の管理職の最低勤務時間が決められているのでご注意ください。
・外部に委託する「介護サービス事業者」と業務委託契約を締結し、運営規定に記す必要があります。
・委託した「介護サービス事業所」に業務の実施状況を定期的に確認して記録する必要があります。
・共同生活住居にて介護サービスを行う場合、事業所との役割分担に関する利用者の同意が必要です。
サービス管理責任者について
サービス管理責任者は、利用者さんに対する支援の方向性を定め、支援計画を作成する最重要なポジションです。
ただサビ管の要件を満たす条件は複雑で、もしサビ管資格なしに事業所を運営すると自治体とトラブルになります。最悪の場合、報酬の返金になってしまいます。
<サビ管雇用で気になるポイント>
・【基本】サービス管理責任者を配置する注意点とは?間違いやすい例も解説
・【注意】みなしサービス管理責任者とは?条件や注意点も解説
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
・【注意】実務経験証明書が入手できない時はどうすればいいの?
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・【要点】「実務経験証明書」を取得する工夫とは?
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・【大注目】令和5年サービス管理責任者の実務経験が6ヶ月に変更!
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常勤換算と利用者数の計算
利用者数に応じてスタッフの配置基準は変わり、常勤換算という特殊な計算式でその配置基準を満たすように勤務体制を作る必要があります。
ただ常勤換算と利用者数の計算は複雑で、もし不適切な勤務体制で事業所を運営すると自治体とトラブルになります。最悪の場合、報酬の返金になってしまいます。
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
・【まとめ】グループホームの人員配置の計算とは?初歩から注意点まで解説
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
・【詳解】サービス管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算とは?
申請時の要件②:設備/法人を整備する
共同生活住居を確保する
障がい者グループホーム事業を始めるには、1つ以上の「共同生活住居」を確保する必要があります。
「共同生活住居」とは、居室・食堂・居間・浴室・トイレ等を兼ね備えた共同生活のための住居になります。
(種類) | (要件) |
1.居室 | 7.43㎡以上(和室であれば4.5畳以上)、定員は基本1名 |
2.食堂 | 居間と食堂を一つの場所とすることは可能 |
3.居間 | |
4.浴室等 | |
5.トイレ |
※居室面積は内法で計算してください(=壁芯面積ではありません)。また和室でも7.43㎡以上は必要になります。
※入居定員は2人以上10名以下です。ただし既存の建物を活用する場合は20名以下まで、知事の許可があれば30名以下まで定員を拡大できます。
※30分以内に移動できる地域にあれば、まとめて1つの事業所として指定できます。
サテライト型住居も検討する
障がい者グループホーム事業の利用者様の中には、支援は必要だけれども「1人で暮らしたい」という思いがある方もおられます。
そこで既に「共同生活住居」を所有していることを条件に、別の建物の一室だけを利用して「サテライト型住居」(7.43㎡)を設置することができるようになりました。
(注意点) | (備考) |
・本体「共同生活住居」との関係 | そこから20分以内の場所に「サテライト型」を設置する |
・利用者からの連絡 | それぞれの住居に必要な通信機器を設ける |
・利用者への支援 | 定期的に巡回(原則1日に複数回)し、日常生活上の援助を行う |
・サテライト型の個数 | 2箇所まで(ただし本体定員が4名以下なら1箇所まで) |
・事業全体の入居定員 | 4名以上 |
グループホーム物件選びの注意点
障がい者グループホーム事業を行うための物件は、国の給付を受けてサービスを提供するから建築基準法等の法令に準拠している必要があります。
またグループホームの利用者は、災害時に避難するのが通常よりも困難になるとの想定から、グループホームの物件も消防設備や間取りが厳しく規制されています。
つまりグループホームの物件はそれらの制限や規制を理解し、適格な条件を備えているものを探す必要があります。
<建築基準法との関係で気にするポイント解説>
・【基本】面積/建築確認済証/建築年月日を確認する方法とは?
・【注意】用途変更の注意点とは?200㎡未満の施設面積ポイント解説
・【注意】一つの建物に複数の共同生活住居を設置する条件とは?
<消防法との関係で気になるポイント解説>
・【必見】必要な消防設備がすぐに分かるチャート
法人格を取得する
障がい者グループホームを開業するためには、資金調達・経営参画者・事業規模などを踏まえて適切な法人格を取得する必要があります。
一度どれかの法人格を選んでグループホームの指定を受けた後に、改めて別の法人格に変更する場合は手続きが複雑なので、設立時に各法人のメリットとデメリットを十分に考慮して法人格を選ぶことをお勧めいたします。
(種類) | メリット | デメリット |
1.株式会社 | ・出資者を募りやすい ・最低1人で設立可能 ・利益の分配の仕組みがわかりやすい ・会社から給与として経費を受け取ることができる | ・設立必須費用が高い ・税金の負担が多い ・決算広告の義務がある ・社会保険への加入が義務 |
2.一般社団法人(非営利) | ・非収益事業は法人税がかからない ・設立書類が比較的容易 ・設立費用が安い ・他者を共同経営に参加させやすい | ・理事は常に3人以上 ・解散時に財産を分配できない ・会計が複雑 |
3.NPO法人 | ・基本的に法人税がかからない ・設立時費用がかからない ・非営利事業への気持ちを形にしやすい | ・設立に気持ちを共有する10人もの数を集めなければならない ・行政による書類作成の指導により、設立に時間がかかる ・1年に1度の行政への報告義務あり、定期的に不備がないか監査される |
4.社会福祉法人 | ・施設設備に一定額の補助あり ・税制の優遇がある ・職員に国家公務員の給付水準に準拠した退職金制度がある | ・設立にて「役員」と「資産」の要件が厳しい ・経費経常の規制がある |
5.合同会社 | ・設立費用が安い ・社員が有限責任 ・決算の報告義務がない | ・事業継承が難しい ・出資者が業務執行権を持つ |
【経営】グループホーム運営のポイント解説
夜間と医療関係の加算を取得する
最近のグループホームで行政から高く評価され報酬がつきやすい事業所は、夜間支援と医療連携を充実させている事業所です。
不適切と見なされない管理体制は整えつつ、取得できる加算は確実に得ることが事業拡大のポイントです。
<夜間支援の加算等>
・【基本】夜勤職員加配加算の要件とは?注意点やオススメ活用事例あり
・【基本】重度障害者支援加算とは?注意点や活用事例あり
・【最新版】夜間支援等体制加算とは?注意点・活用事例も紹介
・【注意】グループホームの夜間支援体制のスタッフ配置:注意点も解説
・【要点】「夜間支援等体制加算」の利用者数の計算とは?
・【注目】夜間支援の「断続的労働」の注意点とは?夜間加算とオススメ活用法
<医療/入院関係の加算等>
・【基本】看護職員配置加算とは?要件・活用事例も解説
・【基本】医療連携体制加算とは?要件・注意点・おすすめ活用も解説
・【注意点】個人単位で居宅介護は利用できるの?要件や注意点を説明
・【基本】強度行動障害者体験利用加算とは?取得条件や活用事例も紹介
・【基本】長期入院時支援特別加算とは?基準や注意点を解説
・【基本】入院時支援特別加算とは?基準や注意点を解説
・【基本】医療的ケア対応支援加算とは?加算条件や活用方法も解説
・【注意】「帰宅時支援加算」とは?取得条件や間違えやすいポイントを解説
・【基本】「長期帰宅時支援加算」とは?取得条件や間違えやすい点を解説
・【基本】「地域生活移行個別支援特別加算」とは?取得条件や活用法を解説
・【基本】「精神障害者地域移行特別加算」とは?間違いや活用法を解説
・【基本】「強度行動障害者地域移行特別加算」とは?間違いや活用法を解説
・【基本】「通勤者生活支援加算」とは?よくある間違いや注意点を解説
・【基本】「自立生活支援加算」とは?注意点やオススメ活用法を解説
トラブルを避ける対策
グループホームの事業所を事業拡大するポイントは、トラブルなく多くの利用者さんに長く滞在してもらうことです。
また不正な管理体制と請求で自治体とトラブルになる例が多く存在しますので、実地指導・監査指導の対策も日頃から行いましょう。
<利用者さんとのトラブルを避ける対策>
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<実地指導のトラブルにならないための対策>
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職場の環境を改善する
グループホームの事業所を事業拡大するには、スタッフに高い賃金を出したり管理業務を健全化したりする必要があります。
目先の利益ではなく自治体や利用者に信頼される体制づくりを始めから行うことが、事業を長く続けて大きくするポイントです。
<処遇改善加算を適正に取得する>
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↓
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<年度ごとの義務化への対応>
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<実地指導の対策>
・実地指導、ここがチェックされる①
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