
共同生活援助(グループホーム)における「看護職員配置加算」とは何でしょうか?
近年はグループホームの中でも、重度の方や高齢者の受け入れに力を入れる事業所が評価される傾向があります。
特に重度の方を受け入れているグループホームは利用者さまに健康上のトラブルが起こる可能性もあります。
そこで医療面からケアできるスタッフを配置しておくと安心です。
行政としてはそのような看護職員を配置する事業所を評価し、加算を設定しています。
この記事を読むと、グループホームの事業所さまが看護職員を配置し活用して、重度の方を支援していく体制づくりのノウハウが分かります
これまで多くのグループホームの事業所さまと関わってきて、「重度の方を受け入れる時に医療面で不安がある」というお声を度々伺いました。
しかし看護職員は病院で働いているイメージがあり、どのようにグループホームで配置して働いてもらうかイメージがつきません。
そこで本日は「看護職員配置加算」の説明を通して、介護職員を配置するグループホームのあり方を解説したいと思います。
目次
看護職員配置加算とは?

共同生活援助ことグループホームでは、必ずしも看護職員を配置する必要はありません。
けれども重度の方を受け入れる際には、医療面でのケアが心配になります。
そこでグループホームでも看護職員を配置すれば、次の点で支援が充実します。
- 看護サービスの提供
- 専門的な支援計画の方針の策定
- 医療機関との連携強化
このように支援の充実に貢献する看護職員の配置を促進するため「看護職員配置加算」があります。
では、
「看護職員配置加算」の取得要件や届出はどのようにすればいいの?
という点が気になりますよね。
そこで先ずは「看護職員配置加算」について記したいと思います。
取得要件

グループホームにおける「看護職員配置加算」の取得は、基準の人員(=世話人の必要な常勤換算数)に加えて「看護職員」を常勤換算で1.0以上追加で配置し、適切に健康管理等をすることで可能になります。
※「看護職員」 = 保健師/看護師/准看護師
<「看護職員」を常勤1以上確保するポイント>
基準の人員(=世話人の必要な常勤換算数)に加えて加配する必要がありますので、基準人員の中に看護職員が常勤1以上含まれていても、加算の算定条件にはなりません。
<複数の共同生活住居の配置の注意点>
利用者全体(=前年度の平均利用者数)÷20以上の看護師を常勤換算で配置する
ケース1
- 住居数:1/利用者数3
- 看護職員
→常勤換算1.0で配置
ケース2
- 住居数:4/利用者数25
- 看護職員
→常勤換算2.5で配置
<看護職員の配置による利用者への体調管理等のポイント>
・日常的な健康管理を行う
・医療ニーズが必要な利用者への看護の提供をする
・医療機関との連絡調整と受診等の支援を行う
・看護職員による常時の連絡体制を作る
・重度化した場合の指針の作成と家族への説明をする
よくある質問
(よくある質問1)看護職員は非常勤でも大丈夫ですか?
答:非常勤でも大丈夫です。
(よくある質問2)看護職員に准看護師は含まれますか?
答:含まれます。
届出

「看護職員配置加算」を算定するには、管轄の役所に届出をしなければいけません。
届出書に記す項目は基本的に次の通りです。
・看護職員の配置状況
・利用者の数
・必要な看護職員の配置数
届出の項目はシンプルですが、監査指導などを踏まえて
- 雇用契約
- 労働条件通知書
- シフト表
- 出勤管理表
などを整備しておきましょう。
加算単位
看護職員を配置することで得られる加算の単位は、
・70単位/1日
です。
地域単価が仮に10 円とする700円になります。
そうすると利用者が5人のグループホームでは1日に3500円が加算額になります。
看護職員配置加算の活用事例とは?

これまで「看護職員配置加算」の要件や届出条件についてお話しいたしました。
看護職員を配置することは常勤換算のルールを守っていれば難しくないことがわかります。
けれども1日あたり約700円であり、加算額=人件費という計算ができないことがわかります。
そこで気になるのは、
このような「看護職員配置加算」を活用してどのような組織を作っていけばいいのか?
という点ではないでしょうか。
続いて共同生活援助、つまりグループホームでどのように看護職員を配置して活用していけば良いのについて説明いたします。
地元医療機関からのリクルート

「看護職員配置加算」のオススメの活用事例は、
看護職員を地元の医療機関からリクルートすること
です。
現存のスタッフを看護職員になるよう訓練することは大変で現実的ではないでしょう。
そこで看護職員を採用し、既存のグループホームの人員配置である、
- 世話人
- 生活支援員
- 夜間支援員
のいずれかで働いてもらうのが一般的です。
もちろん医療的配慮を考慮した支援が特徴ですが、他にも重要なのは、
・地域の医療機関との連携
です。
医療的ケアを必要とする重度の方は既に地域でかかりつけの病院があり、そこに支援記録が蓄積されているはずです。
そこで看護職員の中でも地域の医療機関出身であると、医療機関とグループホームの連携が一層スムーズになるでしょう。
地域の医療機関出身の看護職員は福祉ネットワークにも馴染みがあり、共同生活援助の利用者の症状に合わせて的確な相談場所を探してくれるはずです。
地域の医療機関からの派遣

重度の方を支援する上で地域医療機関との連携を重視するなら、看護職員を採用するだけでなく、
・地域の医療機関がグループホームを設立し、看護職員を派遣する
ことも有効です。
「看護職員配置加算」のための看護職員は外部から引き入れてくる必要があります。
ただ病院に入院している患者が地域移行するために、そのような医療ケアを要する方のためのグループホームが求められることもあるでしょう。
そうすると
医療法人自体がグループホームを設立し、自前の看護職員を派遣すること
が有効です。
重度の利用者への医療情報は病院にいる時から蓄積しており、グループホームに移行しても継続的な支援が見込めるはずです。
まとめ

重度の障害の方をグループホームで受け入れるには看護師などの配置を考えないといけません。
そうすると「看護職員配置加算」を取得することができますが、それで人件費は補えません。
そこで医療連携の促進のために地域の看護師に在籍してもらったり。医療法人などがグループホームも開業する場合にこの加算を活用することが有効です。
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