身寄りのない高齢者様で、配偶者はおらず兄弟もいないおひとりさまは、こう考えがちです。
死んでも誰にも迷惑はかからないから、特に準備はいらない、と。
でも、時に身近に親族がいないからといって、思いもよらないトラブルが起こる可能性があります。
それは遠い親戚に面倒を押し付けることにもなりかねないのです。
今日は、そんなおひとりさまと死後事務についてお話しいたします。
まず、亡くなったご遺体はどうなるのでしょうか。
それは警察が6親等以内の親族に連絡をしていき、お願いをします。
ただ皆さんに拒否されれば、市区町村が引き取って火葬し、無縁墓地に入れることになります。
こうした手続き・費用は行政が代行してくれます。
ただ、ここから先が問題です。行政が代わりにしてくれるのは、ここで終わりです。
では、他に誰が遺産の管理や遺品の整理を行ってくれるのでしょうか。
それは、家庭裁判所が選任した相続財産管理人が行ってくれます。
この担当者が事務を行い、遺産は国庫に属します。
しかしこの相続財産管理人を選任するには、申し立てが必要です。
誰もいなければ検察官が担当するのですが、もし遠縁の親戚が見つかれば、その方がしないとなりません。
そしてこの場合は、遺産管理の経費や、相続財産管理人の報酬を先払いするために、予納金を支払わないといけません。
それがなんと、100万円ほどになります。
ふつうは、この予納金は業務終了後、故人の遺産から払われる規定ですが、注意して頂きたいのは、遺産がない場合は、予納金は戻ってきません。
ですので、あまり縁のない人に負担させるだけさせておいて、見返りも何も託せられない、という悲しい状態になってしまうのです。
なので、こうした状態になる前に、生前から信頼できる第三者と「死後事務委任契約」を締結しておいて、十分な終活サポートの対策を行っておくべきです。
まとめ
- おひとりさまの遺体や葬儀は行政が代行してくれるが、遺産管理や手続きは代行してくれない
- そのため相続財産管理人を選任しないとならないが、それには多額の費用がかかり、遠縁の親戚がいればその方が、前払金を負担しないとならないし、遺産が少ないと全額が戻ってもこない