最近、放課後等デイサービスと児童発達支援の福祉事業を開業いたしました。ただ夏休みなど休日に多くの利用者が通所する予測があり、定員超過利用減算に該当するか不安です。
そこで放デイや児発の定員超過利用減算について詳しく教えていただけますでしょうか?
多機能型で放デイと児発を同時に運営できる便利な制度があり、定員も10名で抑えて運営することが可能です。
ただ少ない定員だからこそ、状況によっては「定員超過利用減算」に該当する可能性もあるので注意致しましょう。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 放デイ・児発の「定員超過利用減算」の基本がわかります
- 放デイ・児発の「定員超過利用減算」の注意点がわかります
- 放デイ・児発の「定員超過利用減算」の間違えやすい点がわかります
目次
【放デイ・児発】定員超過利用減算の条件とは?
放課後等デイサービスや児童発達支援は、1日あたりの利用者・3ヶ月平均の利用者の数により一定の基準を超えると7割減算になります(※減算対象は加算前の総単位数です)。
※減算に該当するか否かの計算の注意点
計算の過程において、小数点以下の端数が生じた場合、小数点以下を切り上げます。
(種類) | (条件) | (減算率) | (備考) |
定員超過利用減算1 | 1日あたり定員の150%超 | 70%減算 | 減算の日数は1日 |
定員超過利用減算2 | 3ヶ月平均定員の125%超 | 70%減算 | 減算の日数は1ヶ月 |
放課後等デイサービスは学校休日支援の方が、単位も高いと知って驚きました。
ただ基本的に放課後等デイサービスの支援は変わらないと思うのですが、どのような点に注意すればトラブルを回避できるでしょうか?
放課後等デイサービスの支援内容は学校休日であれ、基本的に内容は変わりません。
ただ通常より手間がかかる上に保護者との連絡調整がどれだけスムーズかがポイントになります。
以下では具体的な例を示しつつ学校休日の放デイの支援についてわかりやすく説明いたします。
条件1:1日あたりの受入可能人数を超える
児童発達支援や放課後等デイサービスの定員超過利用減算の条件1は、1日あたりの子どもの利用人数が一定の基準以上になった場合に、その当該1日の総単位数に対して減算になります。
<パターン1:1日あたりの利用障害児数が50人以下の場合>
定員の150パーセントを超える場合は定員超過利用減算になります。
<パターン2:1日あたりの利用障害児数が50人以上の場合>
(定員数-50)×125パーセント+75を超える場合は定員超過利用減算になります。
※定員超過利用減算の事例(条件1)
10名定員の放デイ・児発の多機能型の場合、1日で16名以上を受け入れる。
定員超過利用減算の条件1に関しては大多数の場合はパターン1(定員50名以下の場合)に該当するでしょう。
150パーセントの数値が幾つになるか把握しておき、社内ミーティングなどで共有することが望ましいです。
曜日ごとに大まかな利用人数を把握してルーティン化しておくこともお勧めです。
※利用人数と契約者数の違い
契約者数は利用人数とは違い、契約者数が定員の150パーセント以上になっていても問題ありません。あくまで利用をした人数が基準以上かどうかがポイントです。
条件2:3ヶ月平均の受入可能人数を超える
児童発達支援や放課後等デイサービスの定員超過利用減算の条件2は、3ヶ月平均あたりの子どもの利用人数が一定の基準以上になった場合、1ヶ月間の総単位数の合計に対して減算になります
<パターン1:定員12人以上>
直近の過去3か月間の障害児の延べ人数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に100分の125を乗じて得た数を超える場合に減算になります。
<パターン2:定員11人以下>
直近の過去3カ月間の延べ人数が、利用定員に3を加えて得た数に開所日数を乗じて得た数を超える場合に減算になります。
(開所日数) | (延べ人数) | (定員+3) | ||
4月 | 23日 | 322 | 299 | |
5月 | 23日 | 345 | 299 | |
6月 | 23日 | 299 | 299 | |
(合計) | 69日 | 966 | > | 897 |
放デイと児発の多機能型は10名定員が多いので、定員+3の延べ人数の計算は常時行っておくと安全です。
特に学校休日の長期期間において定員超過になりやすいので注意致しましょう。開所日数に関しても土曜日開所を忘れずにカウントしておくことがポイントです。
(注意)多機能型で各々の利用定員を定めている場合
児童発達支援や放課後等デイサービス等の多機能型で各々の利用定員がある場合、各々のサービスごとに利用定員を超えているかどうか判断し、上記の条件1か2に該当しないか確認します。
<例1:利用定員30人:児発10人、生活介護20人>
児発の減算の基準 :10人×150%=15人
生活介護の減算の基準:20人×150%=30人
<例2:利用定員30人(1月22日開所):児発10人、生活介護20人>
児発の減算の基準 :(10人×22日×3ヶ月)×125%= 660人
生活介護の減算の基準:(20人×22日×3ヶ月)×125%=1650人
重度の利用者を想定した放デイと児発は生活介護との多機能型を選択する場合が多いので要注意です。
その場合は定員が多くなる傾向があるので条件2に関しては125%の基準を超えているかに注意致しましょう。
よくある質問
災害や緊急時に定員が超過してしまった場合は、減算の対象になるのでしょうか?
答:減算の対象になりません。ただしその状態が継続した場合は理由と対策をまとめ自治体と早期に相談する必要があります。
定員以上ですが減算対象にならない程度の人数(例えば12人)でしたら大丈夫でしょうか?
答:注意が必要であり早期の対応が求められます。1日の利用者定員超過(条件1)にはなりませんが、そのような状態が継続すると3ヶ月平均の超過(条件2)になる可能性があります。
ただ減算にならないからと言っても適切な運営状態になっていない可能性があるので自治体から指導が入る可能性があります。
定員新型コロナウイルスの感染拡大で学校等が休校になって、その結果利用者が定員を超えた場合も減算になりますか?
答:基本的には減算になりません。ただし自治体のコロナ対策は時期によって変動しますので、念のために自治体に確認すると安全です。
まとめ
放課後等デイサービスと児童発達支援の定員超過利用減算の注意点が分かりました。ありがとうございます。
特に3ヶ月平均の利用者数の計算に注意したいと思います。
放課後等デイサービスと児童発達支援で定員数を抑えれば、その代わりに定員超過利用減算の条件2に該当する可能性が高くなります。
また長期の学校休日の時期など利用者が超過しやすいのでご注意ください。少しでも心配なら日々、利用者数の計算と減算にならないかの計算を準備しておくことが安全です。
トラブルなく支援を行うことが事業所の経営の安定につながるので、ぜひ減算にならないよう運営いたしましょう。
戸根行政書士事務所からのお知らせ
※まとめ:児発・放デイの相談支援系の加算の一覧
1 事業所内相談支援加算:事業所内で個別/グループに相談援助を行う(月に1回)
2 家庭連携加算:自宅訪問をして本人/家族に相談援助を行う(月に4回)
3 関係機関連携加算:関係機関と連携して相談援助を行う(月に1回)
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