
長い間準備をしてきて障がい者を対象とするグループホームを開業することが決まりました。。
サービス管理責任者は前もって確保しているのですが、生活支援員等の人材が中々見つかりません。
障がい者グループホームで生活支援員を配置する際にどのような点に注意すればいいでしょうか?
生活支援員の役割は、利用者さんの入浴や排泄などの生活介護、家事や金銭管理を担うことにあります。
ただ生活支援員の人手不足が問題になっていますが、グループホームの生活支援員は例外的に外部委託を認められています。
この記事ではグループホームの事業者様の理解の一助になるように以下のような内容がわかるように説明いたします。
- 外部へ業務委託できる生活支援員の業務範囲がわかります
- 業務委託できる生活支援員の指示・管理に必要な書式がわかります
- 外部へ業務委託できる生活支援員の損害賠償事故の対策がわかります
<グループホーム事業の人員配置の経営の課題>
グループホームで収益を安定させるにはパート職員を効率よく配置して人件費を抑えることが課題でありますが、非常勤の人員が増えると管理業務の負担も大きくなります。
そんな課題を解決するための一策が、本日お話しする生活支援員業務の外部委託です。
(グループホーム)業務委託の生活支援員の配置の注意点は?

障がい者グループホームは全部で3種類あり、外部サービス利用型以外は利用者さんの障害区分に応じて生活支援員を配置する必要があります。

障害者グループホームの「生活支援員」の配置のポイントは、全障害福祉事業でも珍しくこの「生活支援員」だけ業務委託が認められている点です。
殆どの障害福祉サービスの支援員は、外部への業務委託が認められていないのでご注意ください。
<障害福祉サービスの人員の外部委託が一般的に認められない理由>
・業務委託では勤務時間の指定ができない
・業務委託では事業所側の管理と指示が徹底できない可能性がある
・業務委託では事業所側の加入保険のカバーができない
障がい者グループホームの生活支援員は外部への業務委託として可能であることを知って驚きました。
外部へ生活支援員の業務委託をすれば、人手不足の問題も解消しそうなのですが、グループホームの生活支援員の配置の注意点など教えてもらえるでしょうか?
生活支援員を外部委託することは、所得税の計算や年末調整など労務管理の軽減の面でも大きなメリットがあります。
しかし障害福祉サービスの外部への業務委託は一般的には容認されていないので、外部委託の利用の際は注意点をしっかり守必要があります。
それではグループホームの生活支援員の配置の注意点についてしっかり説明したいと思います。
委託できる業務の範囲の限定

障がい者グループホームの事業者は、業務委託する外部のサービス業者に事前に生活支援員の業務の範囲を明確化する必要があります。
※例えば契約書を作成いたします。
<委託業務の範囲の限定のポイント>
・生活支援員の職務以外を指示しない(※警備など)
・生活支援員の職務の一部でも委託できる
・受託した業務の再委託は認められない
外部へ業務委託しても事業者側で一定の管理を行う必要があり、何を外部へ委託しているのかは整理する必要があります。
実地指導の時に業務委託の範囲を限定せず何でも委託していてトラブルになったケースも聞きます。
口頭ではなく文面で業務委託の内容を明示化しておくことをお勧めいたします。
指示書の付与

障がい者グループホームの事業者は、業務委託する外部のサービス業者に事前に生活支援員の業務の指示を書面で行う必要があります。
<外部への業務委託の指示書作成の注意点!>
・利用者さんのアセスメントから個別支援計画の共有を踏まえる
・1週間ごとに作成する
・指示書はサービス管理責任者の確認を得る
外部へ業務委託しても事業者側で業務の統制を行う必要があり、外部の事業者にどのように業務を進めてもらうか指示する必要があります 。
特に利用者さんの個人情報を共有することになるので秘密保持の誓約書は得ておいてください。
外部への業務の指示書は書面で残し、実地指導の時のために分かりやすいところに保管いたしましょう。
定期的な確認

障がい者グループホームの事業者は、外部のサービス業者に業務委託した内容を定期的に確認し、書面で確認記録を残す必要があります。
<外部への業務委託内容の確認のポイント>
・業務委託した内容から逸脱していないか
・事前の指示書通りに支援したか
・人員配置は必要基準を満たしているか
業務委託の確認業務は主に業務日報やサービス提供記録を確認して行います。
確認して不備があると請求業務にも影響が出てくるので、翌月10日の請求前には必ず確認業務を終えてください。
業務委託の確認作業を終えると確認記録として何をどのように確認し、結果はどうであったかを書面で残しておきましょう。
責任の所在の明確化

障がい者グループホームの事業者は、外部に生活支援員の業務委託をしている際に、利用者に「賠償すべき事故」が発生した場合の責任の所在を明確化しておく必要があります。
<責任の所在の明確化のポイント>
・委託している側が責任を負わない内容を明確にする
・事故が起こった際の対処の手順をマニュアル化しておく
・利用者に対して業務委託における責任の所在を事前に説明しておく
委託する側の障害福祉サービス事業所は損害賠償保険に加入しているのが一般的ですが、その保険は業務委託した外部にまで適用されることは殆どありません。
委託された外部事業者が独自で保険に加入していることが望ましいですが、いずれにせよ責任の所在は利用者さんやご家族に対して前もって説明しておく必要があります。
また利用者さんからの苦情は直接事業所の方へ伝えられる仕組みも整えておきましょう。
まとめ
本日は障がい者グループホームの生活支援員の配置のポイントをご説明いただきありがとうございました。勉強になりました。
生活支援員のスタッフが集まらないので、外部への業務委託という方法を教えていただいて経営の不安が少し軽くなりました。
生活支援員の業務を外部に委託しても、指示命令と管理の責任は委託側の事業所にあります。
グループホームの経営はパート職員をいかに効率よく配置して人件費を抑えるかに要点があるので、外部への業務委託は魅力的な方法です。
その他にも所得税の計算や年末調整をしなくてもいい点など管理業務の負担軽減にもつながりますので、生活支援員の外部委託について前向きにご検討ください。













