
児童系の障がい者福祉事業を開業いたしました。ただ実際に運営してみるとスタッフの配置が正しいのかどうか不安になってきました。
条文や解説書だけでは人員配置がわかりにくいので具体的に解説してもらえるでしょうか?
児童系の障害福祉サービスの人員配置は頭数の計算や土日開業も想定され、悩む方も多いと思います。
近年の実地指導でスタッフの配置が不適切でトラブルになることもあります。
この記事では事業者様の理解の一助になるよう、適正な勤務シフトの関係に関して以下のような内容がわかるように説明いたします。
- 児発・放デイの勤務シフトのパターンがわかります
- 勤務シフト作成における注意点がわかります
- 勤務シフト作成における疑問や不安が解消される
目次
児発・放デイのシフト作成パターンとは?

児童発達支援や放課後等デイサービスのスタッフ配置のポイントは前年度利用者数で計算するのではなく、 必要なスタッフの頭数と定員と提供時間が密接に関係してきます。
※事前に自治体に加算の届出を出す必要があります。
<児童発達支援/放課後等デイサービスで「通常求められる従業者の員数」>
(センター以外/医療型以外の場合)
・児童指導員又は保育士を1人以上は常勤
・児童指導員又は保育士を2人以上配置(サービス提供時間帯に)
※自治体によっては「営業時間帯」に2人以上の配置を求める場合もあります:例 福岡市/大阪府
⇨詳しくはこちらをご覧ください
※「児童指導員等加配」(児童指導員等)のオススメの取得方法
児童指導員にあたる資格を保持しない「その他従業者」であっても、強度行動障害支援者養成研修(基礎)を修了することで高い単位数で配置することが可能です。講義と演習の2日間の開催ですので比較的取得しやすい修了書です。
児発・放デイの基本はサービス提供時間に頭数を2人配置するとわかりました。
ただ定員が増えた時や土曜日も開業した時の細かい注意点などが少しわからないので、どのようにスタッフのシフトを組み立てて、適正にスタッフを配置すればいいでしょうか?
児童系の障害福祉サービスは土日など開業する場合が多く、また夏休みなど急に人数も増えたりする恐れがあります。
そこで児発・放デイの基本のシフトパターンを徹底解説いたしますので、指導されないようにお気をつけいただければ幸いです。。
以下では具体的な例を示しつつスタッフ配置についてわかりやすく説明いたします。
サービス提供時間に2人配置の例=◯

定員10名で、児童指導員1名(常勤)、保育士1名(非常勤)で配置していた場合の適正な基本的なパターンを説明いたします。
※勤務時間:9~18(①)、13~18(②)。
スタッフ | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
児童1常 | ① | ① | ① | ① | ① | − | − |
保育1非 | ② | ② | ② | ② | ② | − | − |
受入数 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | − | − |
<ポイント>
サービス提供時間内に2人の児童指導員・保育士が確かに配置されています。
※営業時間内に2人をずっと配置する必要はない点にご注意ください。
児童系の障害福祉サービスで一番分かりやすい人員配置の例がこのパタ^んです。。
そしてお気をつけいただきたい点は令和3年の報酬改定により障害福祉サービス経験者はこの基本人員の頭数に数えられなくなったことです。
これまで経験者を配置していた事業所様は令和5年3月末まで経過措置で認められるのでそれまで対応いたしましょう。
定員オーバーした例=❌

定員10名で、児童指導員1名(常勤)、保育士1名(非常勤)で配置していた場合の適正な基本的なパターンを説明いたします。
※勤務時間:9~18(①)、13~18(②)。
スタッフ | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
児童1常 | ① | ① | ① | ① | ① | − | − |
保育1非 | ② | ② | ② | ② | ② | − | − |
受入数 | 10 | 11 | 10 | 11 | 10 | − | − |
<ポイント>
やむを得ず定員を超えて利用者を受け入れた場合は、児童数に応じて配置すべき人員数が決まるので、追加の3人目のスタッフが必要になります。
※定員を超えた受入は原則禁止されています。
夏休みや冬休みなど児童の受け入れ数が定員を超える危険があり、その場合に定員を超えて受け入れる事態になることがあります。
そのために年度の計画をしっかりたて、定員を超えて児童が集まる可能性がある日程には追加の職員を配置するようにいたしましょう。
※人員欠如の減算ように「人員が1割欠如したら翌月末までに補充すればセーフ」のような猶予措置がありません。
開所日数が週に6日の例=❌

定員10名で、児童指導員1名(常勤)、保育士1名(非常勤)で配置していた場合の適正な基本的なパターンを説明いたします。
※勤務時間:9~18(①)、13~18(②)。
スタッフ | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
児童1常 | ① | ① | ① | ① | ① | − | − |
保育1非 | ② | ② | ② | ② | ② | ② | − |
受入数 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | − |
<ポイント>
開所日が土曜日を含めて6日になる場合、常勤職員が不在になる場合があります。したがって土曜日にも常勤職員を配置する必要があるので、土曜開業は事業所内の合計で常勤職員は2人確保する必要があります。
定員10名で、児童指導員1名(常勤)、保育士1名(非常勤)、保育士1名(常勤)で配置していた場合の適正な基本的なパターンを説明いたします。
※勤務時間:9~18(①)、13~18(②)。
スタッフ | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
児童1常 | ① | ① | ① | ① | ① | − | − |
保育1非 | ② | ② | ② | ② | ② | ② | − |
保育1常 | − | ① | ① | ① | ① | ① | |
受入数 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | − |
地域によっては需要があり土曜日も開所してサービス提供を行う事業所が少なくありません。
その場合はどの日でも2名の基準職員を配置する必要がありますが、常勤職員の場合は必ず1日は休みの日が入ることになるのでご注意ください。
サービス提供時間のみシフト入りするパート職員をいかに確保し活用するかがポイントです。
障害福祉サービス経験者の配置の例=🔺

定員10名で、児童指導員1名(常勤)、保育士1名(非常勤)、障がい福祉サービス経験者1名(非常勤)で配置していた場合の適正な基本的なパターンを説明いたします。
※勤務時間:9~18(①)、13~18(②)。
スタッフ | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
児童1常 | ① | ① | 有給 | ① | ① | − | − |
保育1非 | ② | ② | ② | ② | ② | ② | − |
経験1非 | − | − | ② | − | − | ② | − |
受入数 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | − |
<ポイント>
基準職員のうち半数以上が児童指導員/保育士であれば大丈夫なので、1人だけ障がい福祉サービス経験者が入っていても問題はありません。。
※令和3年3月の時点で経験者を配置していた事業者に限ります>令和5年4月からはサービス経験者を基準人員としてみなすことはできません。
令和3年度の報酬改定により障がい福祉サービス経験者は基準職員として見做されなくたなった点にご留意ください。
令和3年3月31日の時点でサービス経験者を配置している事業者は経過措置として令和5年3月末まで認められますが、かといって2人の障がい福祉サービス経験者を基準職員として配置できない点にご注意ください。
常勤職員が産休に入った配置の例=🔺

定員10名で、児童指導員2名(常勤)、保育士2名(非常勤)で配置していた場合の適正な基本的なパターンを説明いたします。
※勤務時間:9~18(①)、13~18(②)。
スタッフ | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
児童1常(産休) | − | − | − | − | − | − | − |
児童1常 | ① | ① | ① | ① | ① | − | − |
保育1非 | ② | − | ② | − | − | ② | ② |
保育1非 | ② | ② | ② | ② | ② | ||
受入数 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
<ポイント>
基準職員のうち1人は常勤職員である必要がありますが、常勤が2人いて1人が産休になれば、人員欠如になる週2日は非常勤2名(=基準職員に常勤なし)で配置することが可能です。
※ただし常勤職員全てが産休に入った場合、週の全日に渡って非常勤2名を基準職員として配置することはできません。
保育士や児童指導員の方は女性が多く、産休に入ることも珍しくないので常勤職員の配置にご注意ください。
特に産休に入る職員がいて、土日も開所している事業所様は人員欠如減算になりやすいので、小まめなシフト管理をお勧めいたします。
まとめ

児童発達支援や放課後等デイサービスの人員配置について基本的なことから分かりました。ありがとうございます。
特に具体的なシフト例を出して説明していただいたので、自分の事業所の勤務表と照らして違反しないよう注意いたします。。
児童系の障がい福祉サービスを経営されていく上で、まず頭に入れていただきたい人員配置の例をご紹介いたしました。。
特に常勤職員を基準配置で入れる場合は休みの日が発生し、人員不足になりやすいのでご注意ください。。
さらに障害福祉サービス経験者を配置している事業所様は経過措置期間に、児童指導員・保育士による基準職員の構成を実現するようご注意いただきたいと思います。













