児童発達支援や放課後デイサービスが対象になる「開所時間減算」とは何でしょうか?
一言でまとめると「開所時間減算」とは、
営業時間が一定時間未満の施設に対して基本報酬を減算する制度
のことを言います。
障がい福祉施設の営業時間は任意で設定することができますが、「時間が長いほど給付が多い」わけではなく基本一律です。
すると「営業時間を少なくした方が楽になる」と考える方もいるのではないでしょうか。
そこで国は一定時間未満の事業所に対してペナルティ「開所時間減算」の制度を設けました。
この記事のポイント
・どのような条件で「開所時間減算」が算定されるかがわかります
・「開所時間減算」を防ぐためにどのようなポイントに注意すれば良いかわかります
・「開所時間減算」に関する「よくある質問」がわかります
目次
開所時間減算とは?
「開所時間減算」とは、一定時間未満の事業所に対して給付する報酬を減額する制度です。
そうすると次のような疑問、
一定時間とはどれくらいか?減額すると言ってもどれくらい減らされるのか?
が出てくるのではないでしょうか。
そこで「開所時間減算」になる条件やその額をお伝えいたします。
条件:6時間未満
「開所時間減算」が算定される条件は、
運営規程に定められている営業時間が6時間未満
(※放課後等デイサービスは学校の休日に6時間未満)
です。
注意点は減算の基準がサービス提供時間ではなく営業時間であることです。
そして放課後等デイサービスに限りますが、4時間だと休日だけは減算の対象になり、平日は減算する必要がないことにご注意ください。
減算の単位:15%or30%
「開所時間減算」で所定の単位が減らされる割合は、
- 開所時間が、4時間以上6時間未満 → 所定単位の15%減
- 開所時間が、4時間未満 → 所定単位の30%減
になります。
注意点は、減算適用の対象が加算前の基本単価であるということです。
(例)区分1−1の放課後デイサービスで利用した月4回が、全て開所時間5時間半だった場合
→660単位×(100%-15%)×10円/単位×4回
開所時間減算にならないための注意点とは?
「開所時間減算」の条件や減算額について説明いたしました。
ただやはり気になるのは、
どうしたら「開所時間減算」にならないで済むのか?
という点ではないでしょうか。
続いて「開所時間減算」にならないための注意点をご説明いたします。
運営実態の管理
「開所時間減算」の条件は、運営規程における営業時間が6時間未満かどうかです。
ただ運営規程の記載への注意はもちろんのこと、運営実態として本当に6時間以上開けている実態を証明しておきましょう。
運営実態として6時間以上開業していると証明するために、
・業務日報の記載
・サービス提供記録の記載
・シフト表の記載
は十分に注意して管理してください。
送迎の時間は含まれない
「開所時間減算」にならないために営業時間を6時間以上にしないといけないのですが、
・営業時間に送迎の時間は含まれない
ことを押さえておきましょう。
つまり送迎時間も含めてしまい、その分サービス提供時間を少なくして人件費を減らすことはできないです。
ですので、少なくとも一人は送迎とは別にサービスを提供して時間を算定しないといけません。
よくある質問
放デイと児発の多機能型の場合は、両方とも6時間以上開業する必要がありますか?
答:いいえ。多機能型の場合は、合算した時間数が6時間未満かどうか判断されます。
放デイの平日でも6時間以上開業しないといけませんか?
答:いいえ。放デイで「開所時間減算」の対象となるのは休日です。ただし3時間未満になる場合、基本報酬が区分◯-2に分類されるのでご注意ください。
児童が6時間以上いてなくても「開所時間減算」になりますか?
答:なりません。事業所に利用者を受け入れる体制を整えていれば問題ありません。
スタッフ1人が送迎、他スタッフが事務所に残っていれば営業しているとみなせますか?
答:みなすことができます。ただし残っているスタッフの数が基準値以上になっているか確認してください。別の「人員欠如減算」の可能性があり、場合によっては新しいスタッフを一人配置する必要があります。
まとめ
運営規程に記載され開所時間が6時間未満の場合、加算前の基本単価に減算が適用されます。
こうした「開所時間減算」が算定されないために日毎から運営実態を管理し、送迎時にも基準値以上のスタッフを配置するようにいたしましょう。
戸根行政書士事務所からのお知らせ
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