
これまで成人の就労系の障害福祉事業をおこなってきましたが、児童系の障がい者福祉事業も開業いたしました。その際に送迎加算を取得しようと思っているのですが、学校からの送迎が考えられるなどポイントが分からなくなりました。
放課後等デイサービスの送迎加算について詳しく教えていただけますでしょうか?
放課後等デイサービスの送迎加算は自宅以外に学校からの送迎を認めた特殊なものです。
ただし学校からの送迎で加算を取る場合の要件を満たしておらず、近年の実地指導でトラブルになることもあります。
この記事では事業者様の理解の一助になるよう、送迎加算に関して以下のような内容がわかるように説明いたします。
- 放デイの送迎加算の基本がわかります
- 放デイで学校から送迎する場合の注意点がわかります
- 放デイの送迎加算と個別支援計画の関係がわかります
目次
放デイの送迎加算の注意点とは?

児童系に限らず障害福祉事業には通所のために送迎を支援した場合に取得できる加算があり、開業直後でも利用者の利便性のために多くの事業所が取得しています。

<放デイの送迎加算について>
居宅等又は学校と事業所等の間の送迎を行なった場合に加算を算定いたします
・障害児の場合 :54単位/回
・重症心身障害児の場合:37単位/回
放課後等デイサービスの送迎加算は学校からの送迎が前提として考えられているのですね。
他の障害福祉サービスだと居宅以外からの送迎は同意書の作成などの対応をする必要がありますが、放課後等デイサービスの送迎も取得するために準備をすることが求められますか?
居宅以外の送迎に関する注意点は同じように学校にも適用されるので、加算の取得にあたっては取り扱いの注意が必要です。
また利用者が児童であるために、保護者との調整や児童の自立援助を考慮して加算取得の準備をすることが求められます。
以下では具体的な例を示しつつ送迎加算についてわかりやすく説明いたします。
学校と事業所間の送迎も認められる

放課後等デイサービスの送迎加算は、自宅と事業所間に限らず、授業を受けた後の学校から事業所までの送迎もカウントすることができます。
<自宅以外から/への送迎を行う注意点>
児童の便利が良いように学校等からの送迎を認めるとき、具体的な待ち合わせ場所/時間/緊急時の連絡手段などを保護者に確認し、同意書を得ておきましょう。
児童系の障がい福祉サービスの送迎関係は、通所の道路の安全性や就学時の年齢、公共交通機関の状態により異なってくるので詳細にメモを取ることをおすすめいたします。
事業所さんによっては学校等からの送迎について同意書を得ていない場合も散見されますのでご注意ください。
同じ学校からの対象者が多いならまとめて送迎も可能なのでご検討ください。
サービス提供時間30分以下は不可

放課後等デイサービスの送迎加算は、児童へのサービス提供時間が30分以下で以下の場合に該当するなら加算の算定をすることができません。
<送迎加算を算定できないパターン>
・基本報酬が算定できない場合
・欠席時対応加算を算定する場合
児童の利用者さんは急に体調が悪くなることや、すぐに帰りたがることもあるので30分を目安に算定できるのかどうかをご判断ください。
欠席時対応加算など取得すれば、たとえ送迎を行なったとしてもその加算分を請求することはできないのでお気をつけください。
個別支援計画の中に位置付ける

放課後等デイサービスの送迎加算といえども、きちんと利用者の児童の個別支援計画の中に位置付けて加算を算定する必要があります
<個別支援計画に送迎を位置付けるポイント>
・事業所に通うことができない理由を安全性/年齢/能力から記す
・送迎支援を行う際に本人の自立能力を妨げないように配慮する
・体調や特性を理解し送迎支援の注意点を記す
・保護者が就労等で付き添えない
・送迎が就学奨励費で補えない
送迎加算を取得しているけれども個別支援計画に記していない事業所さんを散見いたしますのでご注意ください。
願わくば自立で通所することが望ましいので、送迎支援が必要な理由をしっかり位置付けることが大切です。
保護者の方も送迎ルートは気にかかるので同意を得ていくことにお気をつけください。
置き去り防止安全措置の義務化に対応する

放課後等デイサービスの送迎加算を適切に取得する送迎サービスに関して、令和5年の4月1日から児童の置き去りを防ぐために、「1:乗降時の点呼」と「2:置き去り防止安全装置の設置」が義務化されました。
<「2:置き去り防止安全の装置」に関する注意点>
・令和6年3月31日まではブザー以外の代替え措置でも認められます
・2列以下の車両に関して置き去り防止安全の措置であるブザー等の設置は免除されます
令和6年3月31日までの経過措置を超えると、この置き去り防止安全装置の対策をしていない事業所は送迎加算を取得できなくなります。
自治体によっては置き去り防止安全措置を設置するための助成金を設けているところもあるので確認いたしましょう。
乗降時に確実に関わった児童を数えられているか記録を保存することも大切です。
よくある質問

徒歩で送迎加算を取得することはできますか?
答:取得することはできません。
同一敷地内の送迎を行なった場合は加算を算定することができますか?
答:可能ですが加算の単位の70%になります。
防止安全装置は放デイや児発も義務でしょうか?
答:義務になります。
まとめ

放課後等デイサービスの送迎加算についてポイントが分かりました。ありがとうございます。
特に個別支援計画の書き方が他の障害福祉サービスとは違っていて参考になりました。
送迎加算を算定するために個別支援計画を書く場合、作成のための会議でも児童やその家庭の事情をしっかりと把握して、適切な送迎ができるように検討してみてください。。
時折児童系の障害福祉ではあることですが、サービス提供時間が非常に短くても大丈夫だろうと送迎加算を算定している場合があるのでご注意ください。。
送迎加算は放課後等デイサービスでも有効に活用することが事業所の経営の安定につながるので、ぜひ要件をしっかり守ってご活用ください。
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※まとめ:児発・放デイの相談支援系の加算の一覧
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3 関係機関連携加算:関係機関と連携して相談援助を行う(月に1回)
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