
処遇改善加算はどのように取得すればいいのではないでしょうか?
障がい福祉事業の運営のポイントは、良い人材を揃えることです。
そのために良い人材のための労働環境を整えなくてはなりません。
そしてこの労働環境整備に対する給付が「処遇改善加算」です。
この記事を読めば、どのように処遇改善加算を取得することができるのか、利用上の注意点も合わせてわかります。
これまで多くの障がい福祉事業所のサポートをしてきましたが、
「処遇改善加算を取りたいけど難しくて、どうすればいいかわからない」
という声を聞いてきました。
「処遇改善加算」の取得条件の説明は散見しますが、この記事では具体的にどのようなことを書けば良いのか忘れるとトラブルになる利用上の注意点ご紹介いたします。
処遇改善加算を取得する方法は?

「処遇改善加算」の取得の方法は、
要件1:スタッフのキャリアアップの道筋を作り
要件2:職場環境の改善を行った場合
の条件があります。
要件1:キャリアアップの道筋を作る

② 資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること
③ 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
気をつけるポイント
・スタッフの「雇用保険」への加入も大事な要件です。
・福祉/介護職員全員へ周知させてください
要件2:職場環境の整備

職場環境の改善に関しては、上の要件1と違って、以下の約17項目の内から最低限一つだけ満たすだけで大丈夫です。
(職場環境・職場の改善)3新人介護職員の早期離職防止のための制度導入、4雇用管理改善対策の充実、5ICT活用等による業務省力化、6介護機器等導入、育児休業制度などの充実、7事業所内保育施設の整備、8勤務環境やケア内容の改善、9事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化、10健康診断、11分煙スペース等の整備 など
(その他)12情報公表制度の活用による経営・人材育成理念の見える化、13中途採用者人事制度の確立、14障がい者用の職場環境構築や勤務シフト配慮、15モチベーション向上、16非正規職員から正規職員への転換、17職員増員の業務負担の軽減など
処遇改善加算の利用で忘れてはいけないこと

「処遇改善加算」の取得方法が分かったところで、そのように届出を申請して請求しても、不用意なミスで加算請求にトラブルが生じてしまうことがあります。
特に不適切な仕方の運営をしていると、最悪の場合は給付金の返還の可能性もあります。
そこでこの「処遇改善加算」の扱い方のポイントをご紹介いたします。
加算給付金の支払い方

「処遇改善加算」による給付金は事業所が自由に使えるお金ではありません。
他の加算と違って、必ず介護職員などに分配する必要があります。
ですから職員等への支払いの給与明細に、その額が含まれていることを明記すれば安心です。
加算給付金を支払う対象

「サービス管理責任者」「児童発達支援管理責任者」「管理者」は加算の対象職種となっていないので支給することができません。
加算給付金の受給の期間

基本的には、各年度(毎年4月1日から3月31日まで)です。
しかし年度途中から届出により受給することも可能です。
加算給付金支払いの実績報告

毎年、前年度の処遇改善加算の実績を報告する必要があります。
従って給付金の配分の記録を残しておくことはもちろん、職場改善の具体的な実施の様子も書面で残しておきましょう。
よくある質問

「処遇改善加算」分の支払いは、いつすればいいですか?
答:その決まりはありません。期末払いや時給払いでも構いませんが、年度末までに「処遇改善加算」分を全て払い切る必要があります。
「処遇改善加算」分の支払いは、給与明細などどうすればいいでですか?
答:行政による指導は「処遇改善加算」分のチェックをするので、適正な利用をすぐに証明できるよう、「処遇改善加算」の項目で支払い、確認書など作成して署名していくことをお勧めいたします。
「処遇改善加算」分の支払いは、法定福利費はどうすればいいですか?
答:「処遇改善加算」分にかかる法定福利費は、処遇改善加算分で支払うことができます。けれども交通費等は支払うことはできません。
「処遇改善加算」は法人の代表に支払うことはできますか?
答:支払いはできません。代表取締役、代表社員、代表理事 等は処遇改善加算の対象になっておりません。
後期高齢者でも「処遇改善加算」の対象になりますか?
答:対象になります。ただ社会保険に加入することなどの取り扱いは所轄の役所に問い合わせてみてください。
「処遇改善加算」の算定をやめたい場合は届出が必要ですか?
答:届出が必要です。
おわりに

・処遇改善加算は年度内に使い切る必要あり
・キャリアアップの道筋を整え、職場環境を整備することが条件
・上の条件に合わせて職業規則や給与規程の変更、それに伴うスタッフへの確認書の作成や告知等を行うことも重要
