★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
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最近、児童発達支援や放課後等デイサービスを開業いたしました。送迎サービスのニーズが多く、送迎支援の強化をはかるため「送迎加算」を取得したいのですが、児童系の「送迎加算」は条件や単位が複雑でわかりません。
そこで児童発達支援や放課後等デイサービスの「送迎加算」について詳しく教えていただけますでしょうか?
放課後等デイサービスの「送迎加算」は学校からの送迎を認めるなど、児童系の障害福祉の「送迎加算」は特殊なものです。
ただし各種送迎加算の単位を算定する時の条件を間違えて、近年の実地指導でトラブルになることもあります。
この記事では事業者様の理解の一助になるよう、送迎加算に関して以下のような内容がわかるように説明いたします。
- 児発・放デイの送迎加算の各種条件がわかります
- 児発・放デイで自宅以外の送迎支援の注意点がわかります
- 児発・放デイの送迎加算と個別支援計画の関係がわかります
目次
児発・放デイの送迎加算とは?算定要件や大事な注意点も解説
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、事業所等と居宅の間の送迎サービスを利用児童に行うことで「送迎加算」を算定することができます(※同一敷地内の送迎は報酬が3割減になります)。
(対象) | (単位) | (備考) |
障害児 | 54単位/回 | |
障害児+重症心身 | 94単位/回 | 基準職員の付き添い必要 |
障害児+医療的ケア1 | 94単位/回 | 看護師等の付き添い必要 |
障害児+医療的ケア2 | 134単位/回 | 医療的ケアのスコア16点以上 看護師等の付き添い必要 |
(対象) | (単位) | (備考) |
障害児+重症心身 | 40単位/回 | 基準職員の付き添い必要 |
障害児+医療的ケア1 | 40単位/回 | 看護師等の付き添い必要 重心も兼ねている場合は重複算定できません |
障害児+重症心身+医療的ケア1 | 40単位/回 | 看護師等の付き添い必要 重心も兼ねている場合は重複算定できません |
障害児+医療的ケア2 | 80単位/回 | 医療的ケアのスコア16点以上 看護師等の付き添い必要 |
<「医療的ケアのスコア16点以上」の証明について>
受給者証に医療的ケア判定スコア16点以上の記載が必要ですが、手続きに時間がかかる場合は主治医による16点以上の確認書があれば、その期間は代わりとなり「送迎加算」の高い単位を算定することができます。
児童発達支援や放課後等デイサービスの「送迎加算」の様々な種類の概略について理解できました。
ただ現場の送迎支援の需要はとても複雑ですが、「送迎加算」を算定する時にどのような点に注意すれば良いでしょうか?
様々な送迎支援のニーズに応えるために、きちんと「送迎加算」の条件の例外を説明できるよう書類整備が大切です。
利用者が児童なので保護者との調整、更に児童の自立援助を考慮して加算取得の準備をすることが求められます。
以下では具体的な例を示しつつ「送迎加算」についてわかりやすく説明いたします。
「自宅ー事業所」以外の送迎実施の注意点について
児童発達支援や放課後等デイサービスの「送迎加算」は、原則自宅と事業所間の送迎サービスが対象ですが、同意書を得ておけば例外的に自宅以外の送迎も可能も可能になります。
<自宅以外の送迎時の注意点>
・保護者から、具体的な待ち合わせ場所/時間/緊急時の連絡手段などを保護者に確認し、同意書を得ておきましょう。
・放デイの場合は学校から事業所への送迎も対象になりますが、送迎時間と送迎職員の記録を残しておきましょう
児童系の障がい福祉サービスの送迎支援は、通所の道路の安全性や就学時の年齢等により変化が多いので記録は詳細に撮りましょう。
自宅以外の送迎支援の際には、保護者からの同意書を忘れずに取得しましょう。
同じ学校の児童をまとめて送迎するなど工夫も大切です。
サービス提供時間30分以下は不可
児童発達支援や放課後等デイサービスの「送迎加算」は、児童へのサービス提供時間が30分以下で以下の場合に該当するなら加算の算定をすることができません。
<「送迎加算」を算定できない事例>
・サービス提供の実態がなく基本報酬を算定することができない
・サービス提供の機会がなく欠席し、「欠席時対応加算」を算定している
児発や放デイの利用児童は急に体調が悪くなることや、すぐに帰りたがることもあるので30分を目安に算定できるのかどうかをご判断ください。
欠席時対応加算など取得すれば、たとえ送迎を行なったとしてもその加算分を請求することはできないのでお気をつけください。
当日に通所できるか事前にしっかりと把握し「送迎加算」が取れないのなら送迎の労力を省くことが大切です。
個別支援計画の中に位置付ける
児童発達支援や放課後等デイサービスの「送迎加算」は、個別支援計画の中に送迎支援の必要性と対応を位置付けて、保護者から事前に同意を得ておくことが大切です。
<「個別支援計画」に送迎支援を位置付けるポイント>
・事業所に通うことができない理由を安全性/年齢/能力から記す
・送迎支援を行う際に本人の自立能力を妨げないように配慮する
・体調や特性を理解し送迎支援の注意点を記す
・保護者が就労等で付き添えない
・送迎が就学奨励費で補えない
・放デイに関しては児童の自立能力獲得を妨げないようにしてください
意外に忘れやすいのは「送迎加算」に関する送迎支援の必要性を個別支援計画に記していないことです。
放デイの利用児童については、願わくば自立で通所することが望ましいとされているので、送迎支援が必要な理由を明記しましょう。
前述した自宅以外の送迎について個別支援計画で記入しておけば、別で同意書をもらう必要もないので効率化できます。
置き去り防止安全措置の義務化に対応する
放課後等デイサービスの送迎加算を適切に取得する送迎サービスに関して、令和5年の4月1日から児童の置き去りを防ぐために、「1:乗降時の点呼」と「2:置き去り防止安全装置の設置」が義務化されました。
<「2:置き去り防止安全の装置」に関する注意点>
・令和6年3月31日まではブザー以外の代替え措置でも認められます
・2列以下の車両に関して置き去り防止安全の措置であるブザー等の設置は免除されます
令和6年3月31日までの経過措置を超えると、この置き去り防止安全装置の対策をしていない事業所は送迎加算を取得できなくなります。
自治体によっては置き去り防止安全措置を設置するための助成金を設けているところもあるので確認いたしましょう。
乗降時に確実に関わった児童を数えられているか記録を保存することも大切です。
よくある質問
徒歩で送迎加算を取得することはできますか?
答:取得することはできません。
同一敷地内の送迎を行なった場合は加算を算定することができますか?
答:可能ですが加算の単位の70%になります。
防止安全装置は放デイや児発も義務でしょうか?
答:義務になります。
まとめ
児童発達支援と放課後等デイサービスの送迎加算についてポイントが分かりました。ありがとうございます。
個別支援計画の中に送迎支援が必要な理由をしっかり記述したいと思います。
「送迎加算」は利用児童の属性(重症心身障害児又は医療的ケア児)により単位や条件が異なるので、算定対象の児童ごとに必要人員を整理することが大切です。。
送迎支援は保護者も特に気になるポイントではあるので、個別支援計画の中にルートや支援時の注意をしっかりと記入しましょう。。
児童発達支援や放課後等デイサービ送迎支援の計画的な実施は利用児童のご家族のニーズに応えられるので、ぜひ要件をしっかり守って「送迎加算」をご活用ください。
戸根行政書士事務所からのお知らせ
※まとめ:児発・放デイの相談支援系の加算の一覧
1 事業所内相談支援加算:事業所内で個別/グループに相談援助を行う(月に1回)
2 家庭連携加算:自宅訪問をして本人/家族に相談援助を行う(月に4回)
3 関係機関連携加算:関係機関と連携して相談援助を行う(月に1回)
<スタッフ配置のパターンを解説>
・【基本】これだけは覚えておきたい!児童系の人員配置の基本
・【基本】基準職員「営業時間を通じての配置」とは?
・【必見】児童系多機能型の人員配置について
・【確認】児童指導員等加配加算と適正なスタッフの配置について
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
<スタッフ配置に関する加算>
・【基本】児童指導員等加配加算とは?取得条件や注意点も解説
・【注意】児童指導員等加配加算と従業員シフト配置の可否について解説
・【確認】特別支援加算とは?条件やおすすめ活用法も解説
・【お勧め】専門的支援加算とは?条件や注意点も解説
<配慮を必要とする児童支援の加算>
・【新設】個別サポート加算とは?条件や注意点を解説
・【基本】「事業所内相談支援加算」とは?取得条件やミス防止もしっかり解説
・【基本】「家庭連携加算」とは?取得条件やミス防止もしっかり解説
・【基本】「関係機関連携加算」とは?取得条件や間違えやすいポイントも解説
・【応用】「強度行動障害児支援加算」とは?取得条件やトラブル事例も解説
<監査指導のトラブルにならないための対策>
・【注意】開所時間減算とは?ポイントや注意点を解説
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・【基本】延長支援加算について徹底解説!条件や注意点など
・【まとめ】放デイ特有の送迎加算とは?学校送迎の注意点も解説
・【注意】放デイ限定の欠席時対応加算とは?利用時間30分以内でもOK
・【基本】放デイの学校休日等の支援の注意点!トラブル回避のポイント
・【義務化】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
<実地指導のための対策>
・【基本】実地指導、ここがチェックされる!間違えない対策を解説
・【基本】実地指導、ここがチェックされる!②気になる論点の解説
<処遇改善加算を適正に取得する>
・【基本】福祉・介護職員処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
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<年度ごとの義務化への対応>
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