児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、重度心身障害児への支援に特化した事業所です。ただ普通の児発と放デイと違って、重度心身障害児への支援は特別なルールが多く、特に人員配置について不安です。
そこでお尋ねしたいのですが、重度心身障害児型の児発と放デイの人員配置のポイントと注意点を、詳しく教えていただけますでしょうか?
児発と放デイの中でも重度心身障害児型は支援にも一層の配慮が必要で、特別なルールが多く運営が難しいです。
もし重度心身障害児型の児発と放デイに実地指導が入りトラブルが起こると、返金等はおろか地域の社会資源を失う大変なことになります。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 重度心身障害児型の児発/放デイの制度の概要がわかります
- 重度心身障害児型の児発/放デイの人員配置の注意点がわかります
- 重度心身障害児型の児発/放デイの加算算定の注意点がわかります
★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
目次
重度心身障害児への支援の人員配置は?シフトの注意点を解説!
児童発達支援と放課後等デイサービスの障害福祉事業の中でも、重度心身障害児への支援事業は特別であり、特に人員配置やシフトパターンの組み方は特殊で注意が一層必要になってきます。
(利用定員) | (児発:単位) | (放デイ:単位/授業) | (放デイ:単位/休業) |
5人 | 2,098単位 | 1,756単位 | 2,038単位 |
6人 | 1,757単位 | 1,467単位 | 1,706単位 |
7人 | 1,511単位 | 1,263単位 | 1,466単位 |
8人 | 1,326単位 | 1,108単位 | 1,288単位 |
(職種) | (配置条件) |
嘱託医 | 1人以上。事業所不在でも問題はない。 必要があれば治療ができる状態にある。 |
看護職員 | 1人以上。営業時間を通じての配置。 |
児童指導員 又は保育士 | 1人以上。営業時間を通じての配置。 |
機能訓練担当職員 | 1人以上。機能訓練を行う時間帯のみ配置。 |
児発管 | 1人以上。営業時間を通じての配置。 |
<児発・放デイ:重度心身障害児への支援の注意点>
・基本的には重心児のみ受け入れて、毎日定員内で運営する
・定員超過は原則、可能ではない
・人員配置は、基本的に「営業時間を通して」配置する
・通常に比べて看護職員と機能訓練担当職員が多い
・送迎業務の報酬は既に基本報酬単位に含まれている
※報酬例:重心児5名/20日利用
2,098単位 × 10円/単位 × 5人 × 20日 =2,098,000円
≒
比較例)通常障害児10名/20日利用
885単位 × 10円/単位 × 10人 × 20日 =1,770,000円
重度心身障害児型の児発/放デイの制度概要についてわかりました。
ただ実際に実地指導に向けて間違いなく、重度心身障害児型の児発と放デイの人員配置を適切に行うために、どのようなポイントに注意したら良いでしょうか?
重度心身障害児型の児発/放デイ運営のポイントは、注意点をよく理解して人員配置を適正にすることです。
また重度心身障害児型の児発/放デイに特有の加算の算定条件についても配慮を忘れてはいけません。
以下では重度心身障害児型の児発/放デイ運営に欠かせない、人員配置や加算算定の注意点をわかりやすく説明いたします。
重度心身障害児型の運営のポイント
重度心身障害児への児童発達支援と放課後等デイサービスは、通常の児発や放デイより従業員の配置を強化して、重い障害を持つ児童への支援を行います。それゆえ報酬単位や収入も高く、減算にならないように注意が必要です。
<重度心身障害児の児発・放デイの人員配置の注意点>
・土曜日も開業されている場合は月〜金の常勤職員は土曜日に配置できない
・有給を取得する職員がいても代わりの別の職員を配置する
・看護職員と機能訓練担当職員の兼務は、機能訓練の内容により可否が分かれる
・管理者と児童指導員の配置時間を分けて管理する(※各々の自治体に要確認)
・機能訓練担当職員の配置は、訓練作業時間のみで大丈夫(→営業時間を通じて配置する必要なし)
※重度心身障害児の事業の定員超過の注意点
通常の児発/放デイのように定員超過が生まれれば1人加配すれば営業できるというわけではなく、重度心身障害児は定員超過しての児童の受け入れは原則できないことにご注意ください。
重度心身障害児型の児発と放デイは土曜日を開業すると、それぞれの必要な職種で常勤時間の職員が追加で1人必要になります。
また定員超過に関しては原則認められていないので、受け入れ日を調整するか日曜日の開業を検討いたしましょう。
社会資源である重度心身障害児型は貴重なので、定期的に定員変更の検討をされることをお勧めいたします。
各種の加算の算定の注意点
重度心身障害児への児童発達支援と放課後等デイサービスは、重い障害をお持ちの児童への支援に特化いたします。それゆえ各種加算も通常よりも算定基準が高く複雑なので加算算定に注意が必要です。
<重度心身障害児の児発・放デイの加算取得の注意点>
・「児童指導員等加配加算」は1日単位で常勤1以上の配置かつ一ヶ月を通して常勤1以上の配置(※各々の自治体に要確認)
・「送迎加算」は基準職員に加えて1人以上の追加配置をする
・「医療連携体制加算」は算定することができない
よく見る間違いとしては、追加人員を配置せず重度心身障害児型で「送迎加算」を取得しているケースです。
また看護師が常時いるからと言って、「医療連携体制加算」を算定することは出来ないので、お気をつけください。
基本的に重度心身障害児型は取得できる加算が少なく、加算よりは基本報酬を受けるに値する適切な運営ができているか、注意をすることが大切です。
ひとまず今できることとは?
重度心身障害児への児童発達支援と放課後等デイサービスは、障がいの程度が重い児童に対して送迎から療育支援、そして医療や機能訓練までトータルで支援することになるので、児童の安全確保と、複雑な支援体制全体をコントールすることが大切です。
<重度心身障害児の児発・放デイ運営のポイント>
・各種の従業員の不在を防ぎ、営業時間を通じた配置をしましょう
・定員超過を避けるため児童受け入れ計画を立てておきましょう
・送迎児には児童の安全確保に注意を徹底的に向けましょう
・サービス提供記録に医療ケアの内容は詳細に記しましょう
まずやはり重度心身障害児型の児発と放デイで見直していただきたいのは、時間単位でのシフトと出勤簿が適正であるかです。
あと重度心身障害児型に送迎は欠かせませんので、令和6年度からの安全確保の義務化を忘れないよう注意してください。
加えて重度心身障害児型は虐待の疑いをかけられないよう、保護者には丁寧に説明し、やむをえない場合は理由をまとめて個別支援計画に記載ください。
まとめ
重度心身障害児型の児発/放デイの人員配置と加算について詳しく分かりました。ありがとうございます。
定員に注意しつつ、人員配置について特に注意して見直してみたいと思います。
重度心身障害児型の児発/放デイは一般的な事業とは違い、「営業時間を通じて」の配置が求められ、土曜を開業していると人員確保が難しくなります。
また配置する職種も多様でそれぞれの適切な出勤体制を日々管理しないといけません。 その他にも重度心身障害児型の児発/放デイに特有の加算の算定要件もあることから、今一度根拠書類等を見直してみましょう。
大切な社会資源である重度心身障害児型の児発/放デイをトラブルなく運営し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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