★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
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令和6年度より放課後等デイサービスと児童発達支援に対する義務化が増えると聞きました。送迎の設備に関することだそうですが、どのようなものかわからず、事業に支障がないか不安です。
そこで、令和6年度に義務化される放課後等デイサービスと児童発達支援の安全装置の設置を教えていただけますでしょうか?
令和6年度より義務化される安全装置とは、児発と放デイの送迎サービス提供における児童の安全を確実に確保するものです。
近年は社会問題にもなっているので、実地指導の時に令和6年度の義務化の要件はしっかりと確認されることになるでしょう。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和6年度の児発と放デイの義務化の内容がわかります
- 令和6年度の義務化に対する効率的な対応がわかります
- 令和6年度の義務化以降の送迎時の工夫がわかります
目次
【R6義務化】(児発放デイ)送迎車両における安全装置の設置義務化とは?
令和6年4月1日より児童発達支援と放課後等デイサービスは、児童の見落としによる事故を防ぐために、送迎車両に安全装置を設置することや、児童に対して点呼による確認が義務化されました。
<R6.4.1.~:送迎車両の安全装置の義務化の概要>
1:送迎車両に児童の見落とし防止の装備を設置:3列以上の車両にブザー等の設置
2:利用児童の所在の確認:乗車時と降車時に点呼
※そもそも「安全装置」とは?:補助金もあります!
・「安全装置」は降車時に自動で確認したり、残っている児童を検知したりするカメラ的なものが一般的です。
・「安全装置」の設置には必要がかかるので、各種自治体は設置費用の補助制度を設けています
令和6年度より義務化される児発放デイの送迎車両等の義務化の概要は承知いたしました。
ただ令和6年度より始まる義務化の要件を守るために、どのチェックポイントを確認すれば大丈夫か具体的に教えてもらえるでしょうか?
令和6年度の児童発達支援と放課後等デイサービスに対する送迎車両の義務化要件は、車両の改造もあるので早期に着手することがおすすめです。
義務化の要件を遵守していないと児童の命の危険につながることから、実地指導でも要チェックポイントになるでしょう。
以下では具体的な例を示しつつ児発と放デイの令和6年度の義務化要件についてわかりやすく説明いたします。
義務化要件1:送迎車両の安全装置の要件と適用除外例
令和6年度の放課後等デイサービスや児童発達支援の義務化の要件である安全装置の義務づけは、必ずしも全ての車両に必要ではなく、例外として「座席が2列以下の車両」は安全装置をつける義務はありません。
<注意点:3列目もある車両で「人座らないシート」がある場合>
3列目もある車両で、その3列目以降の座席を児童が確実に(年間を通じて)使用できないようにした場合は、例外的に3列目がある車両でも安全装置を設置する義務はありません。
※3列目シートを使用できないようにするとは?
児童が通過できない鍵付きの柵を車内部に固定して、2列目と3列目を隔絶してもらう例が多いです。ただ3列目を不使用にする場合、個々の対策の趣旨や経緯を考慮して慎重にご判断ください。
(対象判定) | 1列目 | 2列目 | 3列目 |
義務化の対象 | 運転席 | 人座るシート | 人座るシート |
義務化の対象外 | 運転席 | 人座るシート | なし |
義務化の対象外 | 運転席 | 人座るシート | 人座らないシート |
義務化の対象 | 運転席 | 人座るシート | 車椅子 |
義務化の対象外 | 運転席 | 車椅子 | 車椅子 |
※2列目シートと3列目シートの両方を車椅子仕様にする例外?
2列目と3列目を両方とも車椅子仕様にしても、全員が後部から乗降するなど死角がない運用をする場合は例外的に3列目シートを使っても、安全装置の義務化の適用外になります。
令和6年度の児発や放デイの安全装置の義務化は、一般的な軽自動車で送迎の場合は3列目がないので、ほとんど対象外になります。
他方で安全装置の設置が必要な3列目以降の車両でも、3列目のシートを工夫すれば安全装置の設置は必ずしも必要ではありません。
もし安全装置の設置が必要でしたら、自治体の助成金もあると思いますので早期の対策が大切です。
義務化要件2:点呼の要件と具体的な実施方法について
令和6年度の放課後等デイサービスや児童発達支援の義務化の要件である安全装置の義務づけは、乗車時と降車時の2つの時点で点呼により所在を確認し、記録シートに記入する必要があります。
<点呼による確認の記録シートについて>
・日時と行き帰りを記載する
・「同乗職員がバスに乗る児童を数えた」にチェックボックス
・「同乗職員がバスから降りた児童の数を数え全員の降車を確認した」にチェックボックス
・「同乗職員が連絡のない児童の欠席を管理者に確認した」にチェックボックス
・「同乗職員がバスを離れる前に子供の不在を確認した」にチェックボックス
※バス内の児童の不在を最終確認する注意点
バスに同乗する職員がバスから離れて事業所に戻る時に、単に見回すだけではなく、椅子の下もしゃがんで、見落としがないかしっかり確認することが大切です。
令和6年度の児発と放デイの点呼の義務化により、毎日行う送迎の手順に一つ項目が増えるので、しっかりとスタッフと情報共有いたしましょう。
あわせて安全送迎のチェックシートなど書類整理も増えるので、これまでの送迎記録と組み合わせて効率化を図りましょう。
ただチェックシート通りに実施するのでなく児童の不在の徹底確認が大切なので、乗車降車時の点呼の研修などあれば効果的です。
令和6年度の義務化に対するオススメ対策
放課後等デイサービスや児童発達支援では児童の送迎サービスは必須でありながら、時間とスタッフの人手がかかるので、そこに更に令和6年度の安全装置等の義務化の負担が加わっても問題ないよう、事前にしっかり対策を練ることが大切です。
<ポイント1:3列目ありの車両の用途>
・安全装置を設置しない→3列目は非使用とし、別の車両を手配して運転手も増やす
・安全装置を設置する →自治体の補助金を活用し早期に車両の改修を行う
<ポイント2:点呼の方法と記録の効率化>
・管理者と連携して送迎児童を正確に把握しておく
・送迎確認の連絡を保護者と行う
・従来の送迎記録の書類の様式に、点呼チェックシートを追記する
・車両内に1ヶ月分の点呼チェックシートを保管しておく
令和6年度の児発と放デイの義務化によって人手が多くかかるか、もしくは費用をかけるかの選択を迫られます。
ただでさえスタッフの数を必要とする送迎なので、管理者を中心として連携を取り効率化を図ることが大切です。
また令和6年度の義務化の対応によりスタッフが少なくなり、サービス提供職員欠如減算が適用されることに注意ください。
まとめ
令和6年度から義務化される児童発達支援と放課後等デイサービスの安全装置の設置義務化等のの注意点が分かりました。ありがとうございます。
安全装置の設置について早期に検討し、使用車両と送迎スタッフの配置について再考いたします。
そもそも児童発達支援や放課後等デイサービスの送迎は時間とスタッフの負担が大きいので、更なる負担である令和6年度の義務化に対しては効率化が課題となります。
自治体の補助金を使って安全装置を設置し3列目車両で大人数の児童を送迎するか、2列目車両で複数のスタッフを使い近距離を手際よく送迎するかに分かれます。加えて点呼のチェックの義務化は管理者との連携が不可欠なので、事業所ごとで使用する様式の作成からしっかり協働いたしましょう。
送迎時のトラブルなくサービス提供を行うことが事業所の経営の安定につながるので、ぜひ要件をしっかり守ってご活用ください。
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