<令和6年度報酬改定:「事業所内相談支援加算」は廃止されました>
「事業所内相談支援加算」は令和6年度に廃止されて「家族支援加算」に統合されました。
児童発達支援と放課後等デイサービスの福祉事業を多機能型で運営していて悩んでいます。利用者のお子さんへの支援を手厚くするために加算の取得を考えていますた。
そこで「家庭連携加算」に興味があるのですが詳しく教えていただけますでしょうか?
「家庭連携加算」は、ご自宅に職員が訪問して相談援助を手厚くすれば取得できる加算です。
ただ回数や実施時間に規定があり遵守しないと自治体とトラブルになる可能性があります。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 「家庭連携加算」の取得条件がわかります
- 「家庭連携加算」の間違えやすいポイントがわかります
- 「家庭連携加算」のミス防止対策がわかります
目次
「事業所内相談支援加算」とは?取得条件やミス防止もしっかり解説?
児童発達支援や放課後等デイサービスは、障害児のご自宅を訪問して、お子さんやそのご家族等に相談援助を行った場合に「家庭連携加算」を取得することができます。
<「家庭連携加算」とは>
・所用時間が1時間未満 = 187単位/回
・所用時間が1時間以上 = 280単位/回
※加算を算定する上での注意点
・加算は月に4回のみ算定できます
・効果があると認められれば、保育所等に訪問しても加算を取得できます
「家庭連携加算」は簡単に取得できると思っていたのですが細かいルールがあるのですね。
そこで「家庭連携加算」を取得して訪問支援を充実させたいと思うのですが、どのような点に注意すれば万全な事業所運営をできるでしょうか?
「家庭連携加算」は、ただ職員が訪問するだけで取得できる加算ではありません。
計画的な訪問支援を行って根拠資料をしっかり残すことがポイントになります。
以下では具体的な例を示しつつ「家庭連携加算」についてわかりやすく説明いたします。
条件:個別支援計画に位置付ける
児童発達支援や放課後等デイサービスの「家庭連携加算」は、障害のあるお子様への個別支援計画に訪問支援の必要性を記載し、保護者から事前に同意を得る必要があります。
<訪問支援を個別支援計画に位置付けるポイント>
・通所支援では不十分な理由を書く
・居宅や生活環境を確認して相談援助を行う必要性を書く
・日常生活において気を付ける点を書く
・個別支援計画の会議の際に保護者から意見を聞き取り反映する
「家庭連携加算」は通所のみならず、家庭と密接な関係を持って支援する必要がある場合に有効です。
特にアセスメントの段階でそのご家族にどれだけ理解があるかを確認しておく必要もあります。
支援の経過の中で訪問支援の必要性が出てくることもあるので注意致しましょう。
注意:訪問記録の整理について
児童発達支援や放課後等デイサービスの「家庭連携加算」の算定には、訪問して相談援助を行った証拠となる訪問記録を適正に整備しておく必要があります。
<訪問記録の注意点について>
・日時/相談内容の要点を記録する
・当月の何回目に当たるかを記録する
・所要時間を記録し、何時から何時までか明確にする
・訪問したスタッフの名前を記録する
・個別支援計画内の支援内容と文言を一緒にしておく
※人員配置に気をつけてください!
訪問による相談援助を仮にサービス提供時間に行う場合、訪問のスタッフが抜けることで(10名以下なら必要となる)頭数2名を下回り、人員欠如の可能性があるのでご注意ください。
<スタッフ配置のパターンを解説>
・【基本】これだけは覚えておきたい!児童系の人員配置の基本
・【必見】児童系多機能型の人員配置について
・【確認】児童指導員等加配加算と適正なスタッフの配置について
訪問の支援記録で注意点は、サービス提供時間に人員欠如にあたるとみなされないことです。
危険を回避するために訪問支援はサービス提供時間以外の時間帯(例:朝や夕方など)に行えば安全です。実地指導の時にも確認される資料なので慎重に記載いたしましょう。
「家庭連携加算」取得のミス防止対策
児童発達支援や放課後等デイサービスで算定できる「家庭連携加算」は、簡単に取得できると思えるために実地指導の時にトラブルになる可能性があります。
<「家庭連携加算」の取得のミス防止対策>
・個別支援計画に月毎の相談の必要性と確認事項を記載しておく
・サービス提供実績記録の、加算を取得した日付にメモをしておく
・当日に次回の面談日を設定しておく
・職員または参加するご家族に個人情報の守秘義務の署名を得ておく
・「訪問支援特別加算」を同一日に算定しない
「家庭連携加算」を算定している場合、実地指導の時にサービス提供実績記録の記載事項の存否を確認されることが多いです。
保護者さんから確認の印鑑をもらう場合は、事前に訪問援助をした旨を説明いたしましょう。サービス提供実績記録と訪問記録の整合性にもお気をつけください。
「家庭連携加算」は儲かる?
児童発達支援や放課後等デイサービスで「家庭連携加算」を取得しても収益が上がるというよりは、訪問援助を行った時間の人件費の回収+α程度の金額になることを覚えておきましょう。
<「家庭連携加算」の加算額と人件費の関係>
相談援助1時間:280単位 = 約2,800円/人
→2,800円 × 4回(4時間) = 11,200円
⇅
4時間の人件費:約4,000円
↓
収益:11,200円 - 4,000円 = 7,200円/人
「家庭連携加算」を活用すると1人あたり月に7,200円の収益が見込めます。
ただ加算を取得して売上を上げるというよりは、手厚い支援を行ってサービスを充実させるコスト負担とお考えください。
「欠席時対応加算」や「事業所内相談支援加算」を組み合わせて通所を途切れさせないようにすることが大切です。
よくある質問
「家庭連携加算」の算定は送迎時に行っても問題ないでしょうか?
答:問題ありません。
「家庭連携加算」と「訪問支援特別加算」を1人の者に同一日に算定できますか?
答:できません。
「訪問支援特別加算」は営業時間外に訪問支援を行っても算定できますか?
答:保護者の同意があれば可能です。
「訪問支援特別加算」はサービス提供時間内に行っても算定できますか?
答:算定できますが、基準職員が事業所本体に配置している必要があるので、人員配置の欠如の減算に気をつけましょう。つまり基準職員しか本体にいないならサービス提供時間内は訪問支援をすることができません。
まとめ
児童発達支援や放課後等デイサービスで活用できる「家庭連携加算」について分かりました。ありがとうございます。
加算を取得するための記録資料と請求資料を適切に残し、不正のないよう体制を整えたいと思います。
「家庭連携加算」は、月に4回に限り個別支援計画に位置付けて行う必要性を押さえておく必要があります。
請求で使用するサービス提供実績記録に、「家庭連携加算」を取得した日付を記入することを忘れないようにいたしましょう。月毎に次月の予定を立てて記録しておくと間違えが減って安全です。
ミスなく「家庭連携加算」を取得することが事業所の経営の安定につながるので、ぜひ要件をしっかり守ってご活用ください。
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