
通所型の障がい者福祉事業をしているのですが、利用者さんの体調が優れないこともあり何日もお休みしてしまうこともあります。
利用者さん宅へスタッフを派遣して支援してもらおうと思うのですが、訪問支援の何か取得できる特別な加算はありますでしょうか?
適切に訪問することで取得できる「訪問支援特別加算」というものがあります。
ただ近年、訪問の支援の加算を適正に取得していない事例もあり監査指導でトラブルになりがちです。
この記事では事業者様の理解の一助になるように、「訪問支援特別加算」に関して以下のような内容がわかるように説明いたします。。
- 「訪問支援特別加算」の取得基準がわかります
- 「訪問支援特別加算」を取得する時の注意点がわかります
- 「訪問支援特別加算」の疑問や不安が解消される
訪問支援特別加算の「条件」とは?

障がい者福祉事業で利用者さまが長い間通所されない場合は、 「訪問支援特別加算」を活用することができます。
※事前に自治体に加算の届出を出す必要はありません。
<訪問支援特別加算とは?>
病院又は診療所を訪問し、入院期間中の衣類等の準備や利用者の相談支援など、日常生活上の支援を行うとともに、退院後の円滑な生活移行が可能になるよう、病院又は連絡調整を行うと算定
<訪問支援特別加算の単位>
1時間未満: 187単位/回
1時間以上: 280単位/回
「訪問支援特別加算」は利用者お一人につき月に2回のみ算定できるのですね。
訪問時の支援ということですが、「訪問支援特別加算」を算定するのにはどのような条件があるのでしょうか?
ポイントは「訪問支援特別加算」を算定する時に適切な記録の整備と支援計画との整合性です。
よくある間違いとしてただ在宅支援をすればいいのではないという点です。
それでは「訪問支援特別加算」を算定するための基準をしっかり説明したいと思います。
基準1:連続して5日間利用しなかった時

「訪問支援特別加算」を算定するには5日連続してお休みしている必要があり、5日経つ末は加算を算定することができません。
(お休み) | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 |
(訪問支援特別加算) | × | × | × | × | × | ○ |
「訪問支援特別加算」は1日や2日休んだだけでは算定できないのでご注意ください。
ありがちな間違いは2回が限度を忘れて何度も請求することです。
監査指導の時にトラブルになるのでお気をつけください。
条件2:居宅を訪問して相談援助を行う

「訪問支援特別加算」を算定するには、連続してお休みの利用者さんに対して訪問するだけでなく相談支援を行う必要があります。
<相談援助の例>
・家族やケアマネ、計画相談と連絡調整をする
・お休みの理由や実態を踏まえて個別支援計画を見直す
・ケアマネや計画相談と話し合い、これから必要になる福祉サービス取得を支援する
「訪問支援特別加算」を算定するには訪問だけでなくきっちり相談支援を利用者さんに行う必要があります。
そしてこれから継続して事業所を利用できるように関係各所としっかり相談し、利用者さんに最適な環境を整える必要があります。
条件3:相談援助の記録をつける

「訪問支援特別加算」を算定するために相談支援をする場合、その相談支援の記録を整備する必要があります。
<記録の例>
・訪問日と時間はいつか
・通所していない期間がいつからいつまでか
・どの職務のスタッフが誰と訪問したか
・どのような相談支援を行ったか
「訪問支援特別加算」を算定する時に必ず訪問支援記録を作成して保存しておきましょう。
そして5日連続休んでいた記録の証拠を、ご本人の出勤簿と対照して確認できるように保存しておけば安心です。
条件4:個別支援計画の中に位置づける

「訪問支援特別加算」を算定するには、お休みが続き訪問した際にどのように対応するかの計画を事前から立てておくことが望ましいです。
<個別支援計画における書き方>
・連続して利用を休まれた場合にどのような支援をするか
・連続して休まれた場合に何時間程度の相談支援を行うか
・連続して利用を休まれた場合に利用の環境をどのように変えて対応するか
・連続して利用を休まれた場合誰と連携を取るか
<※個別支援計画の注意点>
・訪問支援を入れ込んだ個別支援計画に対する利用者の同意を得ておいてください
・個別支援計画内に記載した支援時間が加算算定の基準となるのでご確認ください
「訪問支援特別加算」の算定は事前から個別で計画しておく必要があり、それに対する利用者の同意を得ておくことも大切です。
それゆえに「訪問支援特別加算」は例え5日連続してお休みであっても突然の訪問では算定することができません。
よくある質問

「訪問支援特別加算」は利用者さんの入院先を訪問しても算定できますか?
答:できません。利用者さんのご自宅が原則です。
「訪問支援特別加算」は5日連続してお休みしているだけで算定できますか?
答:できません。個別支援計画で位置付けている必要があります。
同一の敷地内に複数の障害福祉サービスがありますが、同時に「訪問支援特別加算」を複数算定できますか?
答:できません。同一敷地内の障害福祉事業所は原則一箇所だけ「訪問支援特別加算」を算定できます。
「訪問支援特別加算」の加算単位の基準となる支援時間は実際に支援した時間になりますか?
答:実際に支援した時間でなく個別支援計画に書いている時間になります。
「訪問支援特別加算」は何度も算定できますか?
答:月に2回までです。
「訪問支援特別加算」の監査指導でよくあるトラブルは?
答:訪問支援の支援内容を個別支援計画に記していないことです。
まとめ
「訪問支援特別加算」について勘違いしていた部分もあり、よくわかり安心いたしました。ありがとうございます。
利用の可能性がある方いれば個別支援の書き直しも視野に入れて、関係各所と連絡も取り、しっかりと通所系のサービスを受けられるよう調整いたします。
繰り返しになりますが、「訪問支援特別加算」は事前からの準備が必要であり、算定するにも連続のお休みや月に2回等の限度もあります。
ただ通所できない利用者さんに対して支援の提供が断絶しないように、綿密な相談支援が必要になるので、その一助に「訪問支援特別加算」を活用していただければと思います。


