【令和6年報酬改定】新設・家族支援加算とは？取得条件や活用方法を解説

2024.4.18
加算, 運営支援

　　　　　　　　　★★★記事執筆者のご紹介★★★
　この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
　戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。

　児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和６年度の報酬改定への対応が不安です。特に「家族支援加算」という加算が新設されましたが、取得要検討がわかりにくく心配になっています。
　そこでお尋ねしたいのですが、令和６年度の報酬改定により、児発と放デイに新設された「家族支援加算」を算定する上でどのようなポイントに注意すればいいか、詳しく教えていただけますでしょうか？

　令和６年度の報酬改定により新設された「家族支援加算」は、旧「家庭連携加算」と旧「事業所内相談支援加算」が統合して誕生いたしました。
　ただ令和６年度の報酬改定で新設されたので普及もされておらず、取得条件と注意点を知らずにいると実地指導の時にトラブルになります。
　この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。

令和６年度の児発と放デイの「家族支援加算」がわかります
「家族支援加算」の取得条件がわかります
「家族支援加算」の活用方法がわかります

1 【令和6年報酬改定】新設・家族支援加算とは？取得条件や活用方法を解説
- 1.1 オススメ活用法：家族支援が充実した組織作り
2 まとめ
- 2.1 戸根行政書士事務所からのお知らせ

【令和6年報酬改定】新設・家族支援加算とは？取得条件や活用方法を解説

　令和６年度の報酬改定により、児童発達支援と放課後等デイサービスで新設される「家庭支援加算」とは、障害児の家族等に対して個別相談援助、またはグループでの相談援助（＝ペアレントトレーニングやピア実践など）等を行った場合に算定することができます。

＜「家庭支援加算」の条件＞
・保護者への相談援助の必要性と相談場所／方法を個別支援計画に記す
・方法を選択して家族等に対して相談援助を行う（※外部講師のみの支援は算定不可）
・相談援助の内容と日時と対象児童の記録を作成する

（「家族支援加算」内容）	居宅訪問	施設	オンライン
個別で相談（I）	300単位(1時間未満200単位)/回	100単位/回	オンライン 80単位/回
グループで相談（II）	−	80単位/回	60単位/回

※「家族支援加算」の注意点
・ IとIIをそれぞれ月に４回まで（※兄弟ならそれぞれ算定可能／多機能事業所なら他サービスと通算月４回）
・３０分未満なら算定できません（※ただし居宅訪問で家族事情で30分未満なら可）
・サービス提供月であれば通所していない日でも算定できます（＝サービス提供していない月は算定不可）
・オンライン相談はやむを得なければ電話でも可能です（→その旨を計画に記載してください）
・突発的に生じた事態への相談援助は対象ではありません
・保育所等での支援は「IIの施設」のカテゴリーで算定します
・IIのグループ支援は２人から８人まで（※同一世帯の複数児童は１人とします）
・「子育てサポート加算」と同日に算定することはできるが、同時間帯に算定することはできません
・モニタリングの面談は「家族支援加算」の相談援助になりません

　令和６年度の報酬改定により新設された「家族支援加算」についてわかりました。
　ただ実際に施設内支援だと１回当たり約１,０００円と高単価ではないですが、児発と放デイ現場で「家族支援加算」を活用する場合、どのような方法があるのでしょうか

　令和６年度の報酬改定は児発/放デイに通う障害児のご家族への支援を充実させる方針を進めました。
　そこで大事なのは、その家族援助の方針に沿って事業所の体制づくりを行うことです。
　以下では令和６年度の報酬改定による児発/放デイの「家族支援加算」のポイントをわかりやすく説明いたします。

オススメ活用法：家族支援が充実した組織作り

　令和６年度の報酬改定に新設された「家族支援加算」の活用法は、これまた令和６年度からの「子育てサポート加算」と組み合わせて、障害児を持つ家族への支援を充実させた組織を作っていくことです。

＜まず知っておきたい：「子育てサポート加算」とは＞
・家族に対して事業所の支援現場に参加してもらい相談援助した場合に算定できます。
・月４回まで算定することができます

（加算名）	（単位）
子育てサポート加算	８０単位(≒800円)／回

＜「家族支援加算」と「子育てサポート加算」の組み合わせとは＞
・「家族支援加算」：障害児への理解や養育課題を深掘りする（＝確認と反省を重視）
・「子育てサポート加算」：家族が療育現場に参加して疑問や課題を浮き彫りにする（＝気づきと発見を重視）

※事例解説：「家族支援加算」と「子育てサポート加算」の組み合わせ
１個別で家族に対して相談援助をし課題を確認する（「家族支援加算(I)」１回目）
２事業所内で療育の現場に参加してもらい療育の課題を感じる（「子育てサポート加算」１回目）
３現場で感じた課題や支援の難しさを相談援助する（家族支援加算(I)」２回目）
４事業所内で児童の支援現場を体験し療育方法を教えてもらう（「子育てサポート加算」２回目）
５日常で実践した療育方法と成果を相談し反省を行う（家族支援加算(I)」３回目）
６事業所内で児童に対して支援者と共に接して支援力を向上させる（「子育てサポート加算」３回目）

　「家族支援加算」と「子育てサポート加算」の有効活用法は、課題と認識を深めながらそれぞれ交互に取得して行くことです。
　両加算は一見すると相談援助という内容面で似ていますが、特徴と方法論が異なっていてそれぞれの特性を活かしましょう。
　各家庭ごとの課題を支援者が把握して加算を有効活用できるよう調整することが大切です。

まとめ

　令和６年度の報酬改定による児発と放デイの「家族支援加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
　新設された「家族支援加算」を活用して家族支援を充実させたサービス提供体制を整えたいと思います。

　令和６年度の報酬改定により児発/放デイは家族援助に対して様々な加算が算定されるよう調整されました。
　その中で「家族支援加算」は施設内援助で１回１,０００円の加算が付き、月４回まで算定できるので児童１人あたり４,０００円の加算収入が見込めます。更に「子育てサポート加算」と組み合わせて、障害児の家族支援に対して加算による報酬算定を高めていきましょう。
　令和６年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。