
最近、行政から最も注意が求められるのは「虐待防止」ですが、その正しい対策とは?
近年、障がい福祉事業所における虐待事件のニュースが絶えません。
「虐待防止」は法律上、防止の措置が義務付けられていますが、対策不足の事業所のトラブルを多く見かけます。
これまで事業所さまからの依頼で行政による「実地指導」にだけ立ち会った時でも、「虐待防止」対策のミスを指摘される様子をお見かけいたしました。
そのような行政書士としての経験を活かし、適切な「虐待防止」の対策をご説明いたします。
目次
「虐待防止」の適切な対策とは

責任者・解決者の明確化
障がい福祉事業所ごとに、「虐待防止」の責任者と解決者を定めましょう。
そして「虐待防止」専用の窓口を設定し、電話番号等を記します。
こうした事業所ごとの「虐待防止」体制の徹底を利用契約書に記し、利用者さまに説明いたします。
マニュアルの作成と周知
障がい福祉事業所ごとに、「虐待防止」のマニュアルを作成いたしましょう。
そしてその「虐待防止」のマニュアルを利用者の手の届くところに設置し、また壁などに要旨を掲示するようにいたしましょう。
従業員の意識の徹底
障がい福祉事業所ごとに、少なくとも年に1回は、「虐待防止」の研修を従業員向けに行いましょう。
そうした研修の記録を作成し保存しておくことは「実地指導」でも有効です。
「虐待」の学びは様々な事例を通して初めて理解できるので、外部講師を活用するのも有効です。
適正なアセスメント の実施
障がい福祉事業所ごとに、個別支援計画を作成する時に、利用者の心身の状態を細かく聞き取り、その人の傾向などを把握するようにいたしましょう。
そして従業員の間で支援者会議を適時開催し、「利用者一人ひとりの特徴を共有する体制」を作りましょう。
開かれた情報発信
障がい福祉事業所ごとにホームページやSNSなどで、どのような日々の支援を行い、どのようなスタッフがいるのか情報発信をしましょう。
「いつも不特定多数の人に見られている」という従業員の意識は「虐待防止」のために有効です。
従業員用の相談体制の構築
障がい福祉事業所の従業員が気軽に利用できる相談体制を作りましょう。
「虐待」は支援者本人が気づかない内に発生していることも頻繁にあります。
「虐待行為」に自分で気付いたり、また同僚の目から見てきになることがあれば、「迅速にトラブルを発見できる体制」を整えましょう。
苦情相談の記録
事業所ごとに、少なくとも月に1度、苦情相談などの記録をつけるようにいたしましょう。
ほんの少しのトラブルでも「苦情相談」として記録に残し、それへの対応を迅速に行い、少しでも早期に「虐待」に発展する可能性を潰しましょう。
「虐待行為」の分類

障がい者虐待防止法
②性的虐待:わいせつな発言、トイレ等を覗く又は撮影
③心理的虐待:怒鳴る、悪口、侮辱
④放棄・放置:汚れた服を着せる、掃除しない、虐待を無視
⑤経済的虐待:日常生活に必要な金銭を渡さない
刑法
②性的虐待: わいせつ罪、強制性交等罪等、監護者性交等罪
③心理的虐待:脅迫罪、強要罪、名誉毀損罪、侮辱罪
④放棄・放置:保護責任者遺棄罪
⑤経済的虐待:窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪、横領罪
まとめ
①虐待防止の責任者の明確化、②マニュアルの作成と周知徹底、③従業員の意識改革、④人権意識を高める研修等
⑤個別支援計画の作成、⑥開かれた運営、⑦従業員への相談体制の確保、⑧苦情処理体制の確立
