現在、就労継続支援B型を運営しております。しかし常勤のスタッフが急に退職したり非常勤の時間数が少なかったりと、人員欠如の減算の対象となるのが怖いです。
そこで人員欠如減算にならないために、どのような防止策がありますか?また、もしスタッフが減ったとしても、どのような緊急対応の仕方がありますか?
人員欠如の減算にならないために、まず理解すべきは人員不足になると即座に減算というわけではない点です。
人員欠如の減算になったかどうか見極めるポイントは、必要な配置基準の1割以上足りなくなったかどうかです。
この記事では事業者様の理解が促進するように以下のような内容がわかります。
- 人員配置の欠如減算になる基準「1割を超える」がわかる
- 人員配置の欠如減算になる可能性がある段階の対策がわかる「
- 人員配置の欠如減算にならないための対策がわかる
目次
人員欠如の減算とは?:基準や緊急対応
実地指導の時に必ずチェックされるのが従業員の配置であり、実地指導で減算にならないために、先ず障がい福祉事業の「サービス提供職員欠如減算」の基本を確認いたしましょう。
<「人員欠如減算」の基本>
・減算の対象: 生活支援員/職業指導員/保育士/児童指導員/世話人などの直接支援員
・減算の時期: 必要な人員配置の基準から1割を超えて減少した月の翌月から解消した月まで
・減算の割合: 2ヶ月間は3割減、3ヶ月目からは5割減
(月) | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
(基本給付) | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
(減算の割合) | ×0.7 | ×0.7 | ×0.5 | ×0.5 | ×0.5 | |
(結果) | 70 | 70 | 50 | 50 | 50 | 100 |
障がい福祉事業の人員欠如の減算についてわかりました!ありがとうございます。ただスタッフが足りなくなって減算の対象となるのが怖いです。
1割を超えているかが基準だと思いますが、それでしたら1割を超えていなければスタッフを減らしても大丈夫ですか?
注意点として「人員配置の欠如が1割未満なら安心」というわけではない点が挙げられます。
そこで「基準の1割の計算の仕方」の理解が人員欠如の減算を避けるために必要です。
人員欠如減算に関する細かいポイントですがしっかり解説していきたいと思います。
減算の基準の「1割」とは?
障害福祉事業に関するサービス提供職員欠如減算に関して、その減算の基準となる「1割」とは、施設ごとに必要になる人員配置の常勤換算の1割です。
<パターン1(成人系):サービス提供職員欠如減算の「1割」の考え方>
就労継続支援や共同生活援助は月単位で必要な人員配置が定められています。その一月トータルで計算して、必要な常勤換算数の1割を超えて配置が減っていると「サービス提供職員欠如減算」になります。
※パターン1の成人系の「サービス提供職員欠如減算」の例
・就労継続支援で必要となる指導員の人員配置が2.0の時 → 1.7
・共同生活援助で必要となる世話人の人員配置が1.5の時 → 1.3
<パターン2(児童系):サービス提供職員欠如減算の「1割」の考え方>
児童発達支援や放課後等デイサービスは日単位で必要な人員配置が定められています。その一月の開所日数で計算して、職員欠如の日が1割を超えて増えると「サービス提供職員欠如減算」になります。
※自治体によっては1日単位で1割を超えて欠如していると減算認定するところもあります。
※パターン2の児童系の「サービス提供職員欠如減算」の例
・児童発達支援の定員が10名、20日開所の時 → 3日以上欠如
・放課後等デイサービスの定員が10名、22日開所の時 → 3日以上欠如
「サービス提供職員欠如減算」の基準となる1割を正しく計算するのに大切なのは、正確に基準職員の配置数を計算しておくことです。
一方で、就労継続支援の事業所などは前年度実績を適正に算出してきましょう。他方、児童発達支援などは1日の利用者数を把握して基準職員数を計算してください。
注意点は開業直後、利用定員の9割が実績見込みとして想定されるので、必要な人員の数が実態と乖離する点です。したがって実態より必要な人員配置が多くなる可能性が高く、その1割つまり「サービス提供職員欠如減算」が起こりやすくなります。
1割未満なら大丈夫?
注意点はサービス提供職員欠如減算の基準となる「1割」未満なら、スタッフ不足でも大丈夫ではないということです。
<注意点!>
1割未満の場合も翌月末までに満たさなかったら減算
<いつから?>
翌々月から解消される月まで
※常勤職員の急な欠勤で使えます
常勤職員であれば有給休暇は勤務体制一覧表で在籍扱い致しますが、勤続年数6ヶ月未満の常勤職員や、急な欠勤の場合でも1割未満(週40時間であれば4時万まで)であれば減算になることなく対処できます。
(月) | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
(基本給付) | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
(減算の割合) | ×0.7 | ×0.7 | ×0.5 | |||
(結果) | 100 | 100 | 70 | 70 | 50 | 100 |
基準の1割未満の場合は翌月末までにスタッフを探す猶予の時間があります。
つまりパートの方が減るなど少しの人員欠如があれば、すぐに探せば間に合うので急いでご準備ください。
サービス提供職員欠如減算にならないために!防止策とは?
「1割を超える」に関してトラブルにならないために細かく解説をいたしました。
障がい福祉事業のスタッフが足りなくなってサービス提供職員欠如減算にならないために、どのような対策をすればいいでしょうか?。
自分の事業所でもすぐに出来ることがあれば注意したいです。
サービス提供職員欠如減算にならないためには日々気にしていることが大切です。
いくつかのポイントがありますので丁寧に解説してきます。
常勤換算の算定基準を変える
常勤換算の数値が基準を下回りそうな時に有効なのは、そもそも常勤換算の算定基準を変えてしまうことです。
<常勤換算の算定基準とは?>
一般的に「160時間→常勤1」ですが、下限として「128時間→常勤1」まで下げることができます。
例:1ヶ月の総労働時間416時間(常勤換算の基準は4)
・「160時間→常勤1」(1日8時間)
208時間→常勤2.6:減算の対象になる
・「130時間→常勤1」(1日6.5時間)
416時間→常勤3.2:すぐに減算の対象にならない(基準の8割)
ただしこのような「常勤換算の算定基準を変える」対策には以下のような注意点があります。
- サービス提供時間の変更の届出をする(10日以内)
- 重要事項説明書の変更の同意書を取得する(日付・記名はできれば本人)
- 雇用契約/労働条件基準書の一日の労働時間を変更する
- 社会保険や雇用保険の対象になる人が減るかを確認する
・【基本】「常勤換算」について知りたい
利用者数の計算に気を付ける
サービス提供職員欠如減算にならないためには、「基準となる常勤換算数」と「その計算の元になる利用者数の計算」に気をつけましょう。
利用者数の計算を間違えれば、配置基準となる常勤換算を誤って認識し、知らない間に減算になるリスクを抱え込みます。
・【詳解】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
特に開業の半年後から1年の間は毎月の計算により翌月の人員不足の基準が変わっていくので注意が必要です。
開業から1年を経過しても急激な増減は来年度に影響を及ぼすのでこちらもお気をつけください。
新しいスタッフの雇用契約
一旦は人員配置が不足し減算になってしまうと早急に新しいスタッフを雇用して人員配置基準を満たす必要があります。
<ポイント>
減算期間は「解消した月まで」なので、新しいスタッフを雇用できる見込があれば出来ればその月の間にすぐに雇用契約を締結いたしましょう。
仮に雇用契約を忘れていて実際には働いているのに翌月の日付になると、減算対象の月も基本的に翌月まで延長されます。
トラブルを避けるためにもいち早く雇用して日付を明確にしておくことにご注意ください。
まとめ
障がい福祉事業のサービス提供職員欠如減算について細かいところも分かり助かりました。ありがとうございます。
1割を超える減算にならないように配置基準を理解して気をつけたいと思います。
もし常勤換算の基準が下回りそうと不安になった場合は、4週間の常勤換算の計算ではなく、月ごとの全日を数えて計算してみることをおすすめいたします。
各事業所様にあった常勤換算の計算の仕方があると思うのでそれを見つけておくと安心です。
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