
★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。

児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和6年度の報酬改定への対応が不安です。特に「専門的支援実施加算」という加算が新設されましたが、取得要件がわかりにくく心配になっています。
そこでお尋ねしたいのですが、令和6年度の報酬改定により、児発と放デイに新設された「専門的支援実施加算」を算定する上でどのようなポイントに注意すればいいか、詳しく教えていただけますでしょうか?
令和6年度の報酬改定により新設された「専門的支援実施加算」は、旧「特別支援加算」が新しくバージョンアップして誕生いたしました。
ただ令和6年度の報酬改定で新設されたので普及もされておらず、取得条件と注意点を知らずにいると実地指導の時にトラブルになります。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和6年度の児発と放デイの「専門的支援実施加算」がわかります
- 「専門的支援実施加算」の取得条件がわかります
- 「専門的支援実施加算」の活用方法がわかります
目次
【令和6年報酬改定】新・専門的支援実施加算とは?取得条件や活用方法を解説

令和6年度の報酬改定により新設される「専門的支援実施加算」とは、専門的な支援の強化のために、理学療法士等により専門的な支援を個別に計画的に実施した場合に算定することができます。
<「専門的支援実施加算」の条件>
・ 「理学療法士等」を1以上配置(※派遣職員は認められません)
・専門的支援実施計画(≠個別支援計画)を作成し支援する(※30分以上)
・加算対象児への支援を記録する
※専門的支援計画の記載項目について
1:「理学療法士等」による専門アセスメント
2:5領域との関係で要注意の領域の特定
3:専門的支援の達成目標
4:具体的な支援内容と方法(例えば障害特性を踏まえた配慮事項、個別支援計画との関連性、改善が図れる構造など)
(内容) | (単位数) | 月12日未満利用 | 月12日以上 |
専門的支援実施加算 | 150単位(≒1,500円)/回 | 4回まで算定可 | 6回まで算定可能 |
※「専門的支援実施加算」の注意点
・ 専門の理学療法士等による支援は、1集団5名程度まで同時にできます
・他の指定基準で必要な職員による支援は、2集団10名程度まで同時にできます
・専門的支援実施計画の更新頻度は、個別支援計画に合わせた6ヶ月以内に1回を推奨しています
・専門的支援実施計画には保護者の同意が必要になります
・児発管が欠如している場合にはそもそも加算は算定できません(厚生労働省QandA4[R060524])
・専門的支援を実施する理学療法士等は、基準職員や加配加算、専門的支援加算対象の職員でも構いません
・理学療法士等以外の職員による支援の実施は、加算の対象外になります
令和6年度の報酬改定により新設された「専門的支援実施加算」についてわかりました。
ただ実際に施設内支援だと1回当たり約1,500円と高単価ではないですが、児発と放デイ現場で「専門的支援実施加算」を活用する場合、どのような方法があるのでしょうか
令和6年度の報酬改定は児発/放デイのサービス提供内容を充実させる方針を進めました。
そこで大事なのは、専門家を配置して事業所独自の強みを伸ばすプログラムづくりを行うことです。
以下では令和6年度の報酬改定による児発/放デイの「専門的支援実施加算」のポイントをわかりやすく説明いたします。
重要ポイント:「理学療法士等」とは

令和6年報酬改定で新設された「専門的支援実施加算」の算定に必要な「理学療法士等」の配置とは、理学療法士/作業療法士/言語聴覚士/保育士(5年以上経験)/児童指導員(5年以上経験)/心理担当職員/視覚障害児支援担当職員を配置することを言います。
<保育士/児童指導員:5年以上の経験とは>
保育士の資格取得または児童指導員の資格取得以降で「5年以上の経験」が必要になります。たとえば高卒未経験の方が2年経てば児童指導員になりますが、その2年は「5年以上の経験」に入りません。
※心理担当職員・視覚障害児支援担当職員とは
心理担当職員:公認心理士、または大学(短大除く)や大学院で心理学科を修了した者等
視覚障害児支援担当職員:国立障害者リハビリセンターの学院の視覚障害学を履修した者等
「専門的支援実施加算」の算定に必要な「理学療法士等」とは、基準職員の配置でも、また加配職員の配置でも加算要件を満たすことができます。
ただ保育士や児童指導員の配置に関しては「5年以上の経験」の実務経験証明書が取得できるか注意いたしましょう。
また心理担当職員の配置を学科卒の基準でクリアする場合は、他学部でなく心理学科修了になっているか事前に確認しておくことが大切です。
オススメ活用法:専門的支援に特化した組織作り

令和6年報酬改定で児発と放デイは、「サービス提供内容の明確化と専門性の特化」が報酬算定の対象になりやすくなったので、「専門的支援実施加算」の算定を計画に入れて、専門的な療育分野に力を入れる体制を作っていきましょうす。
(資格) | (常勤 給与例) | (専門性) | (想定ケース) |
言語聴覚士 | 270,000円 | 聞く、話す、読む、書く、食事の訓練等 | 発語が遅れている |
作業療法士 | 270,000円 | 日常生活動作、コミュニケーション感覚訓練の支援等 | 食事トイレが不可 |
理学療法士等 | 300,000円 | 身体機能や動作の低下に対する訓練等 | 身体機能が不十分 |
(項目) | (加算額) |
専門的支援体制加算 | 1,230円/1日(1人) |
→10人20日の1ヶ月の加算 | 246,000円/20日(10人) |
専門的支援実施加算 | 1,500円/1回(1人) |
→10人6回の1ヶ月の加算 | 90,000円/6回(10人) |
専門的支援体制加算+実施加算(1ヶ月) | 336,000円 |
理学療法士等の人件費 | 270,000円 |
収支差 | 66,000円 |
まず「専門的支援実施加算」の加算額だけでは、算定条件となる「理学療法士等」を雇用するのに十分な給付がないと分かります。
少なくとも「専門的支援体制加算」とセットで取り、せめて人件費を差し引いて赤字にならないよう仕組みを作ることが大切です。
「専門的支援実施加算」はそれ自体で収益アップを狙うのでなく、専門家を雇え事業所独自の強みを伸ばすための補助と考えましょう。
まとめ

令和6年度の報酬改定による児発と放デイの「専門的支援実施加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
新設された「専門的支援実施加算」を活用して専門性を充実させたサービス提供体制を整えたいと思います。
令和6年度の報酬改定により児発/放デイは、専門性の特化に対して様々な加算が算定されるよう調整されました。
その中で「専門的支援実施加算」は施設内援助で1回1,500円の加算が付き、月6回まで算定できるので児童1人あたり9,000円の加算収入が見込めます。 更に「専門的支援体制加算」と組み合わせれば、比較的給与が高い「理学療法士等」を雇用できるだけの補助が見込めます。
令和6年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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