【令和6年報酬改定】新・情報公表未報告減算とは？減算回避のポイント解説

2024.4.28
加算, 運営支援

　　　　　　　　　★★★記事執筆者のご紹介★★★
　この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
　戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。

　児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和６年度の報酬改定への対応が不安です。特に「情報公表未報告減算」という加算が新設されましたが、取得要検討がわかりにくく心配になっています。
　そこでお尋ねしたいのですが、令和６年度の報酬改定により、障害福祉事業全般に新設された「情報公表未報告減算」を回避する上でどのようなポイントに注意すればいいか、詳しく教えていただけますでしょうか？

　令和６年度の報酬改定により新設された「情報公表未報告減算」は、WAMネットに登録していない事業所に対して情報公表性の欠如という観点で適用されます。
　WAMネット情報登録を忘れていたり、放置したりしている事業所も少なくないので、減算適用にならないために対策が早期で必要です。
　この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。

令和６年度に新設された「情報公表未報告減算」がわかります
「情報公表未報告減算」の適用条件がわかります
「情報公表未報告減算」に対して、今できることがわかります

1 【令和6年報酬改定】新・情報公表未報告減算とは？減算回避のポイント解説
- 1.1 いつから「情報公表未報告減」は始まるか
- 1.2 まず今できること：情報公表のタイミングのコントロール
2 まとめ
- 2.1 戸根行政書士事務所からのお知らせ

【令和6年報酬改定】新・情報公表未報告減算とは？減算回避のポイント解説

　令和６年度の報酬改定により新設される「情報公表未報告減算」とは、利用者への情報公表や災害発生時の情報共有、財務状況の見える化の推進のために、WAMネットに情報を公表していない事業所が減算対象になります。

（対象事業）	情報公表未報告減算の単位数
共同生活援助など施設系	１０%減算
就労継続支援A型B型、児発、放デイなど通所系	５%減算

＜「情報公表未報告減算」の発生条件について＞
・減算を避けるためには、事業所ごとにWAMネットに情報を記入する必要があります
・財務状況に関する情報も公表する必要があります

　令和６年度の報酬改定により新設された「情報公表未報告減算」についてわかりました。
　ただWAMネットに公表と言っても、いつの未実施で適用か減算の詳細が分からず、「情報公表未報告減算」を回避する場合、どのような方法があるのでしょうか

　令和６年度の報酬改定は情報の公表性とサービス受益の平等性に力を入れています。
　そこで「情報公表未報告減算」を避けるために大事なのは、スケジュール管理をしっかり行うことです。
　以下では令和６年度の報酬改定による「情報公表未報告減算」の回避ポイントをわかりやすく説明いたします。

いつから「情報公表未報告減」は始まるか

　令和６年報酬改定で新設された「情報公表未報告減算」は、報告を行なっていない事態が生じた月の翌月から、解消されるに至った月まで算定されますが、その「報告を行なっていない事態が生じた月」とは都道府県等が確認し、報告指導したにもかかわらず未報告の場合に適用されることになっています。（令和６年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQandA VOL.1 問19）

＜「情報公表未報告減算」の開始時期について＞
・都道府県等による確認と指導が前提にあります（※未報告→即減算ではない可能性があります）
・年１回の情報更新を怠っていても、即減算にはなりません（令和６年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQandA VOL.1 問20）
・新規指定事業所の公表の期限は各自治体ごとのルールに従います（令和６年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQandA VOL.1 問21）

　「情報公表未報告減算」が算定されるタイミングは都道府県等による確認に左右されることから、その確認よりも前に早期のタイミングでWAMネットへ記載することが大切です。
　減算になった場合はその当月にWAMネットで情報公表しても１ヶ月間は減算が適用されるのでご注意ください。
　また新規事業所の公表期限は指定権者に左右されるなど、この「情報公表未報告減算」にもローカルルールが様々ある見込みですので注意が必要です。

まず今できること：情報公表のタイミングのコントロール

　令和６年報酬改定で新設された「情報公表未報告減算」の算定開始時期は、都道府県等の指定権者の確認判断に頼るところが大きいですが、安全策として新規指定時並びに年度更新の時の情報公表の確実なルールを決めておくことが安心です。

＜新規指定時の情報公表のスケジュール例＞
・指定を受けた日から１ヶ月以内に情報公表
↓
・毎年４月の年度更新のタイミングでは同じく４月以内

　確実に「情報公表未報告減算」を回避するには１ヶ月以内に情報公表を終えてしまうことがポイントです。
　特に加算の算定の有無や人員配置は、年度ごとに変更があるので忘れずに更新しておきましょう。
　財務諸表など会社の会計年度に左右される項目は、４月更新ではないこともあるので、スケジュール管理に注意することが大切です。

まとめ

　令和６年度の報酬改定による「情報公表未報告減算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
　新設された「情報公表未報告減算」を避けるためにスケジュール管理を徹底したいと思います。

　令和６年度の報酬改定により障害福祉事業は、一層情報の透明化を求められるようになりました。
　その中で「情報公表未報告減算」は報酬全体の５%もしくは１０%の減額と、少なくない単位を減らされる要因になります。ただ情報公表のスケジュールは指定権者ごとに異なる可能性も大きいので、指定権者からの通達に十分注意いたしましょう。
　令和６年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。