現在、就労継続支援A型の開業準備をしていて、候補となる物件がいくつか見つかりました。200㎡未満だと用途変更がいらないと伺ったのですが、他の事業所から200㎡未満でも実地指導の時にトラブルになったと聞きました。
そこで障害福祉事業で使用する建物の、用途変更に際しての注意点を詳しく教えていただけますでしょうか?
障害福祉事業の建物の要件を間違えると、開業できないリスクを背負い大変なトラブルになります。
特に200㎡未満であれば何でもいいという誤解が広まり、実地指導の時に改善を指摘されるケースが多いと聞きます。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 障害福祉事業の物件の「用途変更」不要のポイントがわかります
- 「用途変更」不要の基準と他の関係書類のチェックポイントがわかります
- 「用途変更」不要にする図面作成のポイントがわかります
目次
障害福祉と用途変更の注意点とは?200㎡未満の施設面積ポイント解説
就労継続支援A型事業所や就労継続B型事業所、共同生活援助(GH)などの障害福祉事業所で使用する物件は、使用面積の延べ面積が200㎡未満だと用途変更の手続きを必要としないという規制緩和ルールがあります。
<「200㎡未満は用途変更不要」の原則について>
・使用面積が200㎡未満であると証明すれば、現在の建物の用途を変更する手続きを省略できる
・ただし用途変更の手続きは不要だが、使用用途(=障害福祉)に適合した建築区順を守る必要はある
・事業実施地域の地方自治体の条例などのローカルルールの基準を守る必要あり
200㎡未満であれば、建築適合が関係なく、どのような物件でもいいっていうわけではないのですね。
ただ確実に200㎡未満で実施すると証明する手続きに悩んでいるのですが、用途変更を不要にするための押さえておくべきポイントはどこでしょうか?
障害福祉事業を実施する物件に関して、200㎡未満を重視するあまり、用途に即した建築適合を無視した事例は少なくありません。
実地指導の時に開業面積でトラブルになると、最悪事業を継続することが困難になりますので、きちんと整理しておきましょう。
以下では開業物件の用途変更を回避するポイントについてわかりやすく説明いたします。
「200㎡未満」の根拠資料の整理について
就労継続支援A型B型事業所などの障害福祉事業所で使用する面積が「200㎡未満」であることを証明するために、単に図面で面積を記載するだけではなく、他の資料による裏付けにも注意致しましょう。
<1:検査済証と「200㎡未満」>
検査済証で記載の面積を確認して、その面積が使用面積含めた建物全体の面積になっていれば、建物全体の平面図を取り寄せて、検査済証の面積数と使用面積の関係を明確に致しましょう。
<2:会社登記簿と「200㎡未満」>
会社登記簿の事業目的が障害福祉のみになっている場合、法人事務所も「事務室」として使用面積に算定される場合があるので注意致しましょう。
※特に就労継続支援A型事業所の場合はお気をつけください。
障害福祉事業の物件の使用面積は、単に平面図の面積数が200㎡未満であっても、他の資料の裏付けがなければ200㎡以上と判断されてしまうことに注意致しましょう。
用途変更が必要かどうかは、検査済証や法人登記簿と比較して面積数を算定し判定するので、色々な資料との生合成が必要です。
就労継続支援a型b型は訓練作業室などの部屋も必要になるので、面積数には十分に気をつけましょう。
「用途変更」不要にする図面作成のポイント
就労継続支援A型B型などの障害福祉事業所で使用する面積が図面上で200㎡以上であっても、図面作成で工夫をすることで使用面積が200㎡未満であるとみなされる可能性があります。
<「用途変更」不要にする図面作成のポイント>
天井まで届く間切りやパーテーションを使用して、使用する部屋の一部を封鎖し、その封鎖部分を除いて建物面積が200㎡未満になるように致しましょう。
※使用する部屋の一部を「封鎖」する際の注意点
・封鎖した部屋は常時使用することを控えてください
・階段等の共用部分を封鎖することはできません
・入口からの動線を封鎖することはできません
・2階の場合、階段等は使用面積に入るので封鎖することはできません
使用する部屋が200㎡以上であっても、一部を封鎖して、平面図上は200㎡未満とし用途変更をしないことは、しばし見られるテクニックです。
けれどもその封鎖を熟慮せずに行うと、実地指導の時に封鎖と見做されない可能性があるので、事前に自治体に相談することをお勧めいたします。
部屋の中で仕切りが複数ある時は、入口からの動線を明確にし、封鎖する箇所を適切に選択いたしましょう。
まとめ
障害福祉事業を開業する物件で用途変更が不要になるポイントついて詳しく分かりました。ありがとうございます。
「用途変更」を回避するために、しっかり事前に自治体と協議して、図面を作成したいと思います。
「用途変更」を回避するために、平面図だけでなく検査済証や登記簿と整合性を取ることが大切です。
仮に200㎡でも封鎖をすれば、用途変更不要の200㎡未満に設定することはできるので建築士とよく相談いたしましょう。 用途変更が不要でも建物自体は障害福祉の用途に適合させないといけないので、時に補修工事が必要になる場合があります。
「用途変更」を適切に回避するための対策を講じることで、利用者さんや自治体からも信頼される組織体制を作っていきましょう。
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