【就B】ピアサポート体制・実施加算とは?オススメ活用事例あり


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令和3年度の報酬改定で新しく設定された「ピアサポート体制・実施加算」ってどのような加算ですか?
よくある間違いや活用事例も知りたいです

「ピアサポート加算」は現場の支援経験を踏まえた「新しい形の障がい福祉サービス」を目指す第一歩です
特に就労継続支援B型の事業所様から「ピアサポート実施加算」についての問い合わせが多かったので注意点や活用方法を解説いたします

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この記事のポイント

・「ピアサポート体制・実施加算」の概略を知ることができる
・「ピアサポート体制・実施加算」に関するよくある質問がわかる
・「ピアサポート体制・実施加算」のおすすめの活用事例を知ることができる

ピアサポート体制・実施加算とは

被雇用者の「障がい者」と、事業所の「管理者/協働して支援する者」が、「障がい者ピアサポート研修」を受けることで毎月100単位の加算が受けられます。

「ピアサポート」の「ピア」(英語:peer)とは仲間・同輩などを意味します。

従ってこの「ピアサポート実施加算」のポイントは、同じ立場や目線で障がい者支援をする体制を整えることで報酬を算定できることにあります

利用者と同じ目線に立って相談・助言等を行うことにより、本人の自立に向けた意欲の向上や地域生活を続ける上での不安の解消などに効果があることを踏まえています。

条件

・「障害者ピアサポーター研修」を修了した「障害者」と「管理者/協働して支援する者」が、それぞれ常勤換算で0.5人分以上の業務時間を働いている必要があります
・「管理者/協働して支援する者」により、事業所の従業員に対する「障害者に対する配慮等に関する研修」年1回以上行われていること
・対象となる「障がい者」と「管理者/協働して支援する者」が居ることを公表していること

※障がい者を雇用する場合、5人でそれぞれ常勤換算0.1を算定することができます

届出方法

「ピアサポート配置に関する届出書」を指定権者の役所に提出してください
その際に、対象者が受けた研修名は明記しないといけないので、正確に記載できるよう準備をいたしましょう。

経過措置

「障がい者ピアサポート研修」が現在に至っても浸透していないことを理由に、2024年3月31日まで経過措置が取られます。

・研修を受けた「管理者」を置かなくてもいい
・「障害者ピアサポーター研修」でなく、類似する「都道府県や市町村が定めた研修」を受講しても良い

障がい者ピアサポート研修とは

常勤換算 障がい福祉

「基礎研修」と「専門研修」の二つに分かれ、両方を修了しないといけません

ただ、付き添いも認められ、休憩時間もあります

また、単に講義を受ける座学だけでなく、受講者と話し合ったり議論に参加したりするワークショップ形式もあります。

基礎研修

2日間(約440分)かかります
有料(約1万円程度)になる場合があります
・ピアサポートの実践例、コミニケーションの基本、障がい福祉事業の歴史と仕組みを学習します

専門研修

2日間(約540分)かかります。
有料(約1万円程度)になる場合があります
・障がいの特性に応じたピアサポートの活用、関連施策・労働法規、ピアサポーターの葛藤とセルフケアを学習します


よくある質問

併設する事業所の職員を兼務している場合、「ピアサポート体制加算」などは算定できますか?

答:次の条件なら算定できます。つまり、兼務先の事業所を含む業務時間の合計が0.5人以上の場合ならできます。

「ピアサポート体制・実施加算」の経過措置はいつまでですか?

答:2024年3月31日までです。加算届出書にはその旨を記してください。

事業所がピアサポートを実施している旨の公表をピアサポーターが同意しない場合は加算を算定できませんか?

答:加算の算定はできます。ただし、個々に利用者や利用申込者に対してピアサポーターを配置している旨を説明する必要があります。

当事者の障害種別と、事業所の対象とする種別が一致しない場合でもピアサポートの加算は算定できますか?

答:できます。

ピアサポート実施加算を算定する場合、注意すべきポイントはありますか?

答:サービス提供実績票の「備考」欄に「ピアサポート」と記してください。

オススメ活用事例

金銭的な経営改善にはつながらない

「ピアサポート実施・体制加算」は毎月100単位程度です。

それを算定するために、既に給与を払っている管理者等は別にして、新たに「障がい者」の当事者を、少なくとも常勤換算0.5(=約80時間の労働、つまり月に約8万円弱の支払い)雇用する必要があります

こうして見ると加算報酬より必要経費の方が大きくなり、この部分だけ見れば赤字です。

その他にも研修受講費用なども考慮すると出費は免れられません。

事業所のカルチャーを変える

それではこの「ピアサポート実施・体制加算」の効果的な活用方法はというと、事業所のカルチャーを変えることです

これまで支援者が利用者に一方的に支援してきたあり方を反省し、利用者と同じ目線や立場に立ち、事業所運営を行っていく体制になります

これは短期的な営利に結びつきませんが、地域に根ざし利用者にとっても、また支援者にとっても、相互に理解して、支え合うことができる「温かい事業所」を気づくことができるでしょう

特に、支援者による虐待防止や利用者の継続的なサービス利用にも結びつき、長期的に見れば、利用者も途切れず運営上のリスクも少ない経営をすることができます。

まとめ

「ピアサポート体制・実施加算」で得する事業所さま

・ある程度の規模があり、利用者も継続していて、資金にも余裕があるが、長期的に安定した事業所経営を目指している事業所さま

・小規模で、利用者もまだ十分ではないが、競合他社との差別化をいち早く図りたい事業所さま



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