
障がい者福祉事業を開業したばかりですが、未だによくわからず、今後どのように経営していいか悩んでいます。
特に報酬の単位を上げるために定期的に見直せばいいポイントなどあれば教えてもらえるでしょうか?
障害福祉サービスの種類にもよりますが、お勧めは基本報酬の単位を定期的に見直すことです。
開業直後は基本報酬の単位が低く設定されていることもあり、見直しを忘れていると損をする可能性があります。
またコロナ禍により必ずしも一般的な計算の仕方をしない場合もあるのでご留意ください。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下のような内容がわかるように説明いたします。
- 基本報酬単位を見直す必要があるサービスの種類がわかります
- 基本報酬単位を見直す時の計算方法がわかります
- 基本報酬単位を見直す時に間違えやすいポイントがわかります
目次
前年度の実績による基本報酬の見直し

障害福祉サービスの中で、1年に1度、基本報酬を見直すことで実態に即した請求ができるサービスは次の通りです。
<基本報酬を見直す必要のある障がい福祉サービス>
・就労移行支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
・就労定着支援
・児童発達支援
1年に1度見直す障害福祉サービスがこれだけの種類があって驚きました。
ただ具体的には基本報酬単位を見直すにあたってサービスごとにどのようなポイントに注意したらいいのでしょうか?
ご覧いただくと分かるように、基本報酬単位の見直すをするのが殆ど就労に関する障がい福祉サービスです。
そして就労に関係する実績に応じて基本報酬単位が決まるので、計算の仕方は適正にしないとトラブルが起こります。
それでは障害福祉サービスの基本報酬単位の見直しについてしっかり説明したいと思います。
就労移行支援

就労移行支援のサービス費(Ⅰ)は、「利用定員」及び「利用定員に対する就労定着者の割合」に応じて基本報酬を算定するので毎年度届出をする必要があります。
<「利用定員に対する就労定着者の割合」とは?>
「前年度」又は「前々年度」において、
就労継続期間が6月に達した者の合計÷前年度及び前々年度の利用定員の合計
で得た割合をいう
注意点はコロナ禍の影響により前年度等の実績を用いないことも可能です。例えば令和2年度や3年度の実績を使用しないこともできます。
また経過措置対象の事業所はみなし規定が適用されるので一部書類の提出が不要になる点にご留意ください。
<経過措置対象の事業所とは>
新規指定を受けてから2年間の事業所
※ただし「新規に指定を受けた日から1年以上2年未満の間」は、「前年度又は前々年度」及び「前年度及び当該前々年度」という規定を「前年度」と読み替えて計算することができる
就労継続支援A型

就労継続支援A型の基本報酬の算定は、5つの観点から成る各評価項目の総合評価をもって実績とする方式で見直しますので毎年度届出が必要になります。
<5つのスコア方式とは>
・1日の平均労働時間: 1日の平均労働時間を問います
・生産活動 : 生産活動収支と賃金のバランスを問います
・多様な働き方 : 資格支援や労働条件などを問います
・支援力向上 : 研修計画や実習、第三者評価などを問います
・地域連携活動 : 地域社会と連携した活動を取っているかを問います
就労継続支援A型も同じくコロナ禍の影響を踏まえて、「前年度」「前前年度」の実績以外の基準で算定することが可能になっています。
また経過措置対象の事業所は、評価点が80点以上105点未満である場合とみなして、算定されます。。
<経過措置対象の事業所とは>
新規指定を受けてから初年度及び2年度目の事業所
就労継続支援B型

就労継続支援B型の基本報酬のうちで「平均工賃月額に応じた基本報酬の評価」を選択された場合、前年度等の工賃支払いの実績で基本報酬が変わるので届出が必要です。
<平均工賃月額の計算の注意点>
1年間の総賃金支払い高を各月の利用者の合計数で割って算出します。ただし月毎の利用者数の計算に含まれない例外的な場合もあるのでご注意ください。

就労継続支援B型の事業所も同じくコロナ禍の影響により前年度の工賃支払実績を用いずに基本報酬区分を選ぶことができます。
注意点としては年度の途中に「平均工賃月額に応じた基本報酬の評価」をやめて別の評価で基本報酬を決められないということです。
また新規指定から1年未満の経過措置対象の事業所は、「平均工賃が1万円未満である場合」の基本報酬を選ぶことになります。
<新規に指定を受けた日から6月以上1年未満の間>
指定を受けた日から6月間における当該指定障害継続支援B型事業所等の平均工賃月額に応じ、算定することができます
<基本報酬を「利用者の就労や生産活動等への参加等」で評価する>
生産活動により工賃を上げることではなく、就労の機会の提供や生産活動の実施への積極的な参加によって基本報酬を算定することができます。




就労定着支援

就労定着支援のサービス費は、「利用定員」及び「利用定員に対する就労定着者の割合」に応じて基本報酬を算定するので毎年度届出をする必要があります。
<「利用定員に対する就労定着者の割合」とは?>
「前年度」又は「前々年度」において、
就労継続期間が6月に達した者の合計÷前年度及び前々年度の利用定員の合計
で得た割合をいう
就労定着支援も同じくコロナ禍により前年度や前前年度の実績を用いないで基本報酬を算定することができます。。
ただ就労定着支援には経過措置の適用がないのでご注意ください。
児童発達支援(主として重症心身障がい児、児童発達支援センター以外)

児童発達支援の報酬区分が前年度の小学校への未就学児の割合に応じて変わるので、各年度に届出が必要な場合があるのでご注意ください。
<児童発達支援の未就学児について>
児童発達支援は小学校の就学前の児童以外にも、高校に進学しなかった場合など放課後等デイサービスの対象にならない方も対象になります
未就学児の区分が変更になるのは70%以上かどうかなので、大抵の場合は70%以上になることが多いです。
ただし小学校以上の年齢になっても児童発達支援の対象になるケースもあるので、そのような重度の方を支援する事業所様は気をつけていただければと思います。
まとめ
本日は基本報酬単位の見直しを、障がい福祉サービスごとに詳しく説明してもらいありがとうございました。
新型コロナウイルスの感染拡大に関する対応も踏まえた説明で納得できました。これからの事業経営でも参考にしたいと思います。
基本報酬単位の見直しは、就労系サービスには欠かせないので日頃から準備しておくことが大事です。
また数年ごとの報酬改定があれば基本報酬単位の見直しの方法も変わってくるので注意致しましょう。
そして基本報酬単位の計算ミスがあれば自治体との間でトラブルになる可能性もあるのでご注意ください。






