放課後等デイサービスと児童発達支援を多機能型で開業いたしました。ただ基準職員は「サービス提供時間帯のみ」の配置と思っていたのですが、自治体から「営業時間を通じての」配置を求められましたて不安です。
そこで基準職員を「営業時間を通じて」配置する際のポイントや注意点を教えていただけますでしょうか?
児童発達支援と放課後等デイサービスの人員配置基準は自治体によって大きく変わります。
特に基準職員を「営業時間を通じて」配置する規定がある場合、通常より手厚く人員配置をする必要があるのでご注意ください。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 基準職員を「営業時間を通じて」配置する具体例がわかります
- 基準職員を「営業時間を通じて」配置する注意点がわかります
- 「営業時間を通じて」配置する際の間違えやすい点がわかります
目次
【児発・放デイ】基準職員「営業時間を通じての配置」とは?自治体ルールに注意
児童発達支援と放課後等デイサービスでは児童指導員又は保育士の配置を、一般的にサービス提供時間内に求められますが、他方でいくつかの自治体ではその児童指導員等の配置を「営業時間を通じて求める」こともあります。
<児童指導員又は保育士の配置の基本ルール(※重症心身児童の通所以外)>
・障害児の数が10までなら2以上の配置/10を超えれば5人ごとに1追加
・1人以上は常勤
・サービス提供時間を通じての配置 もしくは それかつ営業時間を通じて配置
・機能訓練担当職員や看護職員の数を、半数のみ基準職員に含めることができます
<「営業時間を通じての配置」とは?>
「営業時間を通じての配置」とは、営業時間の開始時間から終了時間まで従事することを言います。
・基準職員の1人目は常勤であり、常勤は通常では「営業時間を通じて」配置します
・基準職員の2人目は1人でなく複数の人数で「営業時間を通じて」配置することができます
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基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準2人目 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
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基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準2人目 | ● | ● | ● | ● | ||||
基準2人目 | ● | ● | ● | ● |
基準職員を「営業時間を通じて」配置するルールの概要は理解いたしました。
ただ児発や放デイの勤務体制一覧表で、どのように配置すれば「営業時間を通じて」配置する基準を守ることができるのか、具体的に教えてもらえるでしょうか?
基準職員を「営業時間を通じて」配置するルールでは、まず営業時間は何時間かしっかり確認することが大切です 。
常日頃から人員配置の適正な状態を保っているか確認することが大切です。
以下では具体的な例を示しつつ、児発と放デイの基準職員の配置についてわかりやすく説明いたします。
ポイント1:複数基準2人目の合計労働時間数が営業時間を超えている場合
放課後等デイサービスや児童発達支援で、複数人で基準職員2人目を満たす場合、必ずしも前半・後半に分ける必要はなく、複数人の基準2人目の合計時間≧営業時間になっていれば大丈夫です。
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基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準2人目 | ● | ● | ● | ● | ||||
基準2人目 | ● | ● | ● | ● |
基準2人目を「営業時間を通じて配置」する場合、2人目の合計で営業時間の時間数になればよく、営業時間を通じての配置をする必要がないという点がポイントです。
ただ「サービス提供時間」には基準2人目の人員が誰かはいないといけないのでご注意ください。
つまり一般的な「サービス提供時間を通じて」の配置の場合より、基準職員の配置時間は多くなる傾向にあります。
ポイント2:複数基準2人目で加配加算を算定する場合
放課後等デイサービスや児童発達支援にて児童指導員等加配加算を取得している場合、営業時間を通じて配置する基準職員2人目の合計時間が営業時間の時間数を超えている実労働時間は加配加算の算定時間として計上できます。
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | h | |
基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 8h |
基準2人目 | ● | ● | ● | ● | ● | 5h | |||
基準2人目 | ● | ● | ● | ● | ● | 5h |
<基準職員2人目の合計時間が営業時間を超える超過時間数とは>
上記の例で説明すると、基準2人目の合計時間は10時間であるのに対して、営業時間は8時間なので、その差の2時間を加配加算の算定時間として計上することができます。
基準職員2人目を「営業時間を通じて」配置する場合、基準職員2人目の時間数を細かくチェックすれば、加配職員時間数に入れられる場合があるので気をつけましょう。
ただし自治体によっては基準職員2人目になれば加配職員とは見做さないこともあるので、事前に自治体に確認することをお勧めいたします。
また複数人の職種で加配加算を算定する場合、報酬単位が高い職種か低い職種かどちらで合わせるか、これも自治体により見解が違うので注意いたしましょう。
<常勤換算について>
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ポイント3:定員超過で基準3人目を配置する場合
放課後等デイサービスや児童発達支援にて定員を超過して利用者を受け入れる場合、更に基準職員の3人目を配置する必要がありますが、その3人目はサービス提供時間を通じて配置していれば問題はありません。
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基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準2人目(常勤or非常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準3人目 | ● | ● | ● | ● |
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基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準2人目(常勤or非常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準3人目 | ● | ● | ||||||
基準3人目 | ● | ● |
基準職員3人目も2人目と同じように、サービス提供時間を通じて複数人で配置していても問題ではありません。
ただ3人目に関して、営業時間の合計時間数を配置するものではないので、比較的確保しやすいですが、それでも配置を忘れないようにいたしましょう。
3人目になると、誰が1人目で誰が2人目と混乱することもあるので、工夫して確認しやすいシフト作りがポイントです。
ポイント4:基準3人目で加配加算を算定する場合
放課後等デイサービスや児童発達支援にて児童指導員等加配加算を算定している場合、基準職員3人目も複数人の合計がサービス提供時間数を超えていれば、その超過時間は加配加算の算定時間として計上できます。
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | h | |
基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 8h |
基準2人目(常勤or非常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 8h |
基準3人目 | ● | ● | ● | 3h | |||||
基準3人目 | ● | ● | ● | 3h |
<基準職員3人目の合計時間がサービス提供時間を超える超過時間数とは>
上記の例で説明すると、基準3人目の合計時間は6時間であるのに対して、サービス提供時間は4時間なので、その差の2時間を加配加算の算定時間として計上することができます。
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基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準2人目(常勤or非常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準3人目 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
<基準3人目が1人でサービス提供時間を超過する場合の注意点>
上記の例で説明すると、基準職員3人目は一人でサービス提供時間を超えて勤務しているが、サービス提供時間の超過分(11時〜14時と18時〜19時)の4時間は加配加算の算定時間に計上できません。
基準職員3人目と加配加算の関係でよく見る間違いは、基準職員3人目のサービス提供時間の超過分を、加配加算の算定時間数に入れてしまうことです。
加配加算に算定できる時間数は、あくまでもサービス提供時間内の総合計時間の超過分になる点にご注意ください。
また複数人の職種で加配加算を算定する場合、報酬単位が高い職種か低い職種かどちらで合わせるか、これも自治体により見解が違うので注意いたしましょう。
まとめ
児童発達支援と放課後等デイサービスでの、基準職員2人目を「営業時間を通じて配置する」ポイントが分かりました。ありがとうございます。
基準職員2人目以降の人員配置やサービス提供に注意したいと思います。
児童発達支援や放課後等デイサービスの基準職員2人目の配置の考え方は、「サービス提供時間を通じて」配置か、「営業時間を通じて」配置するかのどちらかで大きく変わります。
一般的には「営業時間を通じて」配置するパターンの方が、より多くの勤務時間数を基準職員2人目に回さないといけないのでご注意ください。更に「営業時間を通じて」配置するパターンに関して、加配加算の時間数の算定の取り扱いで多くのミスが見られ、実地指導の際もトラブルになるので気をつけましょう。
適正に従業員を配置すれば、利用者さんや自治体からも信頼されて事業所の経営の安定につながるので、ぜひ要件をしっかり守って信頼ある組織を作りましょう。
戸根行政書士事務所からのお知らせ
※まとめ:児発・放デイの相談支援系の加算の一覧
1 事業所内相談支援加算:事業所内で個別/グループに相談援助を行う(月に1回)
2 家庭連携加算:自宅訪問をして本人/家族に相談援助を行う(月に4回)
3 関係機関連携加算:関係機関と連携して相談援助を行う(月に1回)
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