【令和6年報酬改定】新設・子育てサポート加算とは？取得条件や活用方法を解説

2024.4.19
加算, 運営支援

　　　　　　　　　★★★記事執筆者のご紹介★★★
　この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
　戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。

　児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和６年度の報酬改定への対応が不安です。特に「子育てサポート加算」という加算が新設されましたが、取得要件がわかりにくく心配になっています。
　そこでお尋ねしたいのですが、令和６年度の報酬改定により、児発と放デイに新設された「子育てサポート加算」を算定する上でどのようなポイントに注意すればいいか、詳しく教えていただけますでしょうか？

　令和６年度の報酬改定により新設された「子育てサポート加算」は、障害児への療育に対する保護者の理解と養育力向上のために設定された加算です。
　ただ令和６年度の報酬改定で新設されたので普及もされておらず、取得条件と注意点を知らずにいると実地指導の時にトラブルになります。
　この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。

令和６年度の児発と放デイの「子育てサポート加算」がわかります
「子育てサポート加算」の取得条件がわかります
「子育てサポート加算」の活用方法がわかります

1 【令和6年報酬改定】新設・子育てサポート加算とは？取得条件や活用方法を解説
- 1.1 オススメ活用法：家族支援が充実した組織作り
2 まとめ
- 2.1 戸根行政書士事務所からのお知らせ

【令和6年報酬改定】新設・子育てサポート加算とは？取得条件や活用方法を解説

　令和６年度の報酬改定により、児童発達支援と放課後等デイサービスで新設される「子育てサポート加算」とは、「支援場面の観察や参加等の機会」を保護者に対して提供した上で、「こどもの特性」について又は「特性を踏まえたこどもへの関わり方」等に関する相談援助等を行った場合に算定することができます。

（加算名）	（単位）
子育てサポート加算	８０単位(≒800円)／回

＜「子育てサポート加算」の条件＞
・ 保護者への相談援助の必要性を個別支援計画の中に記す
・保護者にサービス提供時間中に来所してもらい支援現場を観察又は参加してもらう（※原則、支援時間全て）
　↑　同席が難しければモニターによる視聴により観察も可能（※オンライン不可）
・観察や参加中に個別の障害児支援の現状を説明し、保護者からも悩みを伺い相談援助を行う
　↑　観察や参加をした後に相談援助を行うことでは加算を算定できません（厚生労働省QandA6[R60701]）
・相談援助の内容と日時と対象児童の記録を作成する

※「子育てサポート加算」の注意点
・ 月に４回まで
・最低１回３０分以上の時間が必要（厚生労働省QandA6[R60701]）
・複数家族に同時に相談援助を行う場合は５世帯まで（従業員１人につき）
・個別の障害児支援の現状を説明し、保護者からも悩むを伺い相談援助を行う
・家族支援加算と同日に算定することはできるが、同時間帯に算定することはできない
・兄弟に対して同日にそれぞれ支援した場合はそれぞれ算定が可能

　令和６年度の報酬改定により新設された「子育てサポート加算」についてわかりました。
　ただ実際に１回当たり約８００円と高単価ではないですが、児発と放デイ現場で「子育てサポート加算」を活用する場合、どのような方法があるのでしょうか

　令和６年度の報酬改定は児発/放デイに通う障害児のご家族への支援を充実させる方針を進めました。
　そこで大事なのは、その家族援助の方針に沿って事業所の体制づくりを行うことです。
　以下では令和６年度の報酬改定による児発/放デイの「子育てサポート加算」のポイントをわかりやすく説明いたします。

オススメ活用法：家族支援が充実した組織作り

　令和６年度の報酬改定に新設された「子育てサポート加算」の活用法は、これまた令和６年度からの「家族支援加算」と組み合わせて、障害児を持つ家族への支援を充実させた組織を作っていくことです。

＜まず知っておきたい：「家族支援加算」とは＞
・家族に対して個別やグループで相談援助した場合に算定できます。
・それぞれ月４回まで算定することができます

（「家族支援加算」内容）	居宅訪問	施設	オンライン
個別で相談（I）	300単位(1時間未満200単位)/回	100単位/回	オンライン 80単位/回
グループで相談（II）	−	80単位/回	60単位/回

＜「家族支援加算」と「子育てサポート加算」の組み合わせとは＞
・「家族支援加算」：障害児への理解や養育課題を深掘りする（＝確認と反省を重視）
・「子育てサポート加算」：家族が療育現場に参加して疑問や課題を浮き彫りにする（＝気づきと発見を重視）

※事例解説：「家族支援加算」と「子育てサポート加算」の組み合わせ
１個別で家族に対して相談援助をし課題を確認する（「家族支援加算(I)」１回目）
２事業所内で療育の現場に参加してもらい療育の課題を感じる（「子育てサポート加算」１回目）
３現場で感じた課題や支援の難しさを相談援助する（家族支援加算(I)」２回目）
４事業所内で児童の支援現場を体験し療育方法を教えてもらう（「子育てサポート加算」２回目）
５日常で実践した療育方法と成果を相談し反省を行う（家族支援加算(I)」３回目）
６事業所内で児童に対して支援者と共に接して支援力を向上させる（「子育てサポート加算」３回目）

　「家族支援加算」と「子育てサポート加算」の有効活用法は、課題と認識を深めながらそれぞれ交互に取得して行くことです。
　両加算は一見すると相談援助という内容面で似ていますが、特徴と方法論が異なっていてそれぞれの特性を活かしましょう。
　各家庭ごとの課題を支援者が把握して加算を有効活用できるよう調整することが大切です。

まとめ

　令和６年度の報酬改定による児発と放デイの「子育てサポート加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
　新設された「子育てサポート加算」を活用して家族支援を充実させたサービス提供体制を整えたいと思います。

　令和６年度の報酬改定により児発/放デイは家族援助に対して様々な加算が算定されるよう調整されました。
　その中で「子育てサポート加算」は１回の援助ので８００円の加算が付き、月４回まで算定できるので児童１人あたり３,２００円の加算収入が見込めます。更に「家族支援加算」と組み合わせて、障害児の家族支援に対して加算による報酬算定を高めていきましょう。
　令和６年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。