
共同生活援助、つまりグループホームにおける「夜勤職員加配加算」の要件とは何でしょうか?
複数の種類があるグループホームの内、日中サービス支援型は夜間支援のスタッフ配置を義務付けられていますが、それでも夜間支援職員に関する加算は存在します。
この記事を読めば、日中サービス支援型のグループホームに適用される「夜勤職員加配加算の要件だけでなく、その注意点や活用事例までわかります
日中サービス支援型のグループホームは、夜間支援員の配置が義務付けられているので、その配置を充実することで加算がもらえることはあまり知られていません。
これまで弊所もグループホーム事業者とお付き合いする中で、夜間に支援するスタッフの人手不足の悩みをよくお聞きします。
そこで本日は日中サービス支援型でも利用できる、夜勤職員の配置に対する加算制度について解説したいと思います。
目次
勤職員加配加算の要件とは?

「夜勤職員加配加算」と類似する制度で「夜間支援等体制加算」があります。
日中サービス支援型 | 介護サービス包括型・外部サービス型 | |
夜勤職員加配加算 | ⇄ | 夜間支援等体制加算 |
「夜間支援等体制加算」とは、夜間支援員の配置が義務付けられていないグループホームの形態(=介護サービス包括型/外部サービス利用型)が夜間支援員を配置した場合に取得できる加算です。
それでは、
夜間支援員の配置が義務付けられている「日中サービス支援型」には加算がないのでしょうか?
という疑問が浮かびます。
これから日中サービス支援型でも一定の要件を満たせば取得できる「夜勤職員加配加算」についてご説明いたします。
加算の要件

「夜勤職員加配加算」の要件とは、
指定基準に定める員数の夜間支援従事者に加え、共同生活住居ごとに、夜勤を 行う夜間支援従事者を1以上配置していること
です。
この「指定基準に定める員数」とは、日中サービス支援型で決められている、
・共同生活住居ごとに1人
ということです。
つまり要約すると、
共同生活住居に2人以上の支援員を配置すれば、日中サービス支援型でも加算を取得できる
ことがわかります。
加算の単位

「夜勤職員加配加算」の条件を知った後で気になるのは「加算の単位」だと思います。
この「夜勤職員加配加算」の単位とは、
・149単位(利用者1人あたり1日)
になります。
これは地域単価を10円と仮定すると1人あたり1490円となります。
仮に5人入居されているとすると、7450円が1日あたりの追加給付額になります。
加算の届出

「夜勤職員加配加算」は届出をして始めて加算の算定を開始することができます。
届出する時の注意点としては、
・共同住宅ごとに夜勤職員を加配しているかどうか記載する
・勤務形態一覧表で夜勤職員を加配していることを明確にする
と言った点が挙げられます。
ただ基本的には15日までに役所に届出をして来月から算定することができるので、加算するタイミングについては注意いたしましょう。
夜勤職員加配加算の注意点とは?

日中サービス支援型で夜勤職員を追加で配置して加算を取得しても、運営していてミスを犯しているとトラブルになる可能性があります。
特に最悪の場合、
その加算として受領した額を返金する可能性
もあります。
そのようにならないよう、「夜勤職員加配加算」を算定する時の注意点をお伝えいたします。
共同生活住宅ごとの配置

「夜勤職員加配加算」について度々ある誤解として、「グループホーム事業所で2人以上の夜勤職員を配置する」と言った誤解があります。
しかしそうではなく、
その事業所の管轄下の住居ごとに夜勤職員を配置する
必要があります。
例えば2拠点のグループホームを運営されていたら、それぞれに2人以上です。
「夜勤職員加配加算」を算定して運営する際も、
勤務形態一覧表や出勤簿で「共同生活住居ごとの加配した配置」が明確になるよう
工夫いたしましょう。
夜勤職員の配置

二つ目の「夜勤職員加配加算」の注意点として、
夜勤する職員を配置する
と言った点が挙げられます。
言い換えれば、
ただ宿直する職員を配置するだけでは「夜勤職員加配加算」の要件を満たせていない
と言うことです。
夜勤とは、寝返りや排泄時の対応、さらに不眠時や緊急時の対応も求められます。
従って、基本的に電話対応や定期的な見回りだけをする宿直職員とは異なります。
なので「夜勤職員加配加算」のための追加スタッフには、しっかりと夜勤として働いてもらう必要があります。
夜勤職員加配加算のオススメ活用事例とは?

これまで「夜勤職員加配加算」の要件や注意点を説明してきました。
しかしこの「夜勤職員加配加算」ですが、令和2年度の調べによると、算定事業所はたった78件だけだそうです。
それゆえ、まだまだ日中サービス支援型のグループホームでも「夜勤職員加配加算」が活用されている状況ではありません。
そこで「夜勤職員加配加算」のオススメ活用事例を紹介いたしましょう。
アルバイトの確保

まず考慮したいのが、「夜勤職員加配加算」を算定して受領できる追加給付は、1人あたり1500円程度になります。
これを仮に7時間働いてもらって時給を1200円とした場合、利用者が6人いないと赤字になってしまいます。
利用者6人という数は、グループホームで少ない数ではありません。
そうすると、
「夜勤職員加配加算」を算定するためスタッフを1人追加で入れても、加算額はその追加スタッフの給与で消える
ことがわかります。
つまり「夜勤職員加配加算」は算定することで、事業所全体の利益を上げるものではありません。
しかし現在グループホームの業界は、
夜間に支援してくれるスタッフの慢性的な不足
という問題点を抱えています。
特に重度の方や夜間に支援が必要な方などが多くいらっしゃいます。
指定基準では確かに1人の配置が日中サービス支援型で求められていますが、1人で夜間支援することは大変な労力です。
そこで事業拡大はできなくてもアルバイト程度のスタッフを一人、加算のお陰でコストをかけず雇うことは事業所のサービスの質と規模を維持することに役立ちます。
まとめ

日中サービス支援型のグループホームでも夜間にスタッフを基準以上の数を配置すれば「夜勤職員加配加算」を取得することができます。
夜勤する職員を共同生活住居ごとに配置いたしましょう。
ただしこの「夜勤職員加配加算」は事業所全体の利益を上げるわけではなく追加夜間支援スタッフの人件費とほぼ同額であることにご注意ください。
・重度障害者支援加算とは?注意点や活用事例あり
・夜間支援等体制加算とは?注意点・活用事例も紹介
