★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和6年度の報酬改定への対応が不安です。特に「通所自立支援加算」が新設されましたが、加算の算定要件がわかりにくく心配になっています。
そこでお尋ねしたいのですが、令和6年度の放デイの「通所自立支援加算」を適正に算定する上でどのようなポイントに注意すればいいか、詳しく教えていただけますでしょうか?
令和6年度の報酬改定により放デイは、将来の自立等に向けた支援の充実が評価されるようになりました。
新・「通所自立支援加算」は事業所と自宅等の間の通所の自立支援ですが、根拠書類の準備を間違えていると加算額返戻の可能性があります。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和6年度の放デイの「通所自立支援加算」の概要がわかります
- 「通所自立支援加算」の条件と根拠書類の残し方がわかります
- 他の加算の組み合わせの「通所自立支援加算」の活用方法がわかります
目次
【令和6年報酬改定】放デイの新・「通所自立支援加算」とは?要件や活用法を解説
令和6年度報酬改定で新設された、放デイの新しい「通所自立支援加算」とは、通所や帰宅の機会を利用して自立に向けた支援を計画的に行なった場合に算定できます。
(種類) | (単位数) | (条件) |
通所自立支援加算 | 60単位/回 (※開始から3ヶ月間) | 学校や居宅と事業所間の移動を職員が付き添った場合 |
※「通所自立支援加算」の算定上の注意点
・重症心身障害児は対象になりません
・添乗する職員の交通費を児童やご家族に請求することはできません
・基本は1人の障害児につき1人の支援員ですが、安全上問題がなければ児童2名の対応も可能です
・医療的ケア児の通所には看護師等の同行が必要です
・同一敷地内や極めて近い範囲は加算対象外です
・途中地点からの同行支援も加算の算定対象になります
・環境の変化等の事情はあれば3ヶ月後でも再度取得が可能です
令和6年度の放デイの新・「通所自立支援加算」の概要についてわかりました。
ただ実際に新しい「通所自立支援加算」を算定する場合、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか
令和6年度の報酬改定は放デイの卒業後の自立を目指した方向で調整されています。
そこで大事なのは、どのような内容で計画をし、どのようにその内容を反映させたかという角度から根拠資料を整理して作成することです。
以下では令和6年度の報酬改定以降の、放デイの「通所自立支援加算」のポイントをわかりやすく説明いたします。
「通所自立支援加算」の算定根拠資料について
令和6年度報酬改定で新設された、放デイの「通所自立支援加算」は、障害児が一般社会の中で様々なルールを守りつつ、自分の障害状況への配慮を覚える自立支援なので、障害児の体調等の配慮から安全計画の確保までしっかりとルール作りをすることが大切です。
<「通所自立支援加算」の根拠資料について>
・アセスメント資料:児童がなぜ単独通所が難しいか特性と状態を確認する(例:電車の経験がないなど)
・個別支援計画:安全かつ円滑に自立通所を促すための支援計画を立てる
・サービス提供記録:移動時の付き添いの様子や、相談援助(例:電車の乗り方やマナー)を行なった記録を残す
・安全計画:通所自立支援のための安全対策を記入する
・研修記録:同行する職員の支援力確保のために研修を行なった内容を記入ください
※「通所自立支援加算」の同行職員の人員配置の注意点
・事業所から離れて利用児童の通所に同行する職員は基準人員の配置時間に含まれません
・利用児童の通所に同行する職員に資格等は求められていません
・ただし例外的に医ケア児には看護職員の同行が必要です
「通所自立支援加算」を算定する時に忘れやすいのは、作成が義務化された安全計画への位置付けであります。
障害児が自立して通所するには多くのリスクを回避する必要があるので、しっかりと保護者に説明しつつ対策を立ててください。
障害児の通所の同行時に周辺の環境に目配せしていかないと、隣人トラブルになるかもしれないのでご注意ください。
今からできること:「自立サポート加算」と併用して支援強化
令和6年報酬改定で放デイは従来と比べて、放デイ卒業後の自立生活支援に対して報酬がつくようになったので、「通所自立支援加算」に加えて「自立サポート加算」も活用し、包括的な支援から児童の支援体制作りを行いましょう。
(種類) | (単位数) | (条件) |
通所自立支援加算 | 60単位/回 (※開始から3ヶ月間) | 学校や居宅と事業所間の移動を職員が付き添った場合 |
自立サポート加算 | 100単位/回 (※月2回) | 高校卒業に向けて学校や地域企業と連絡調整を行なった場合 |
(加算名) | (単位) | (実績) | 【合計】 |
「通所自立支援加算」 | 60単位/回 | 20回/月 | 1200単位 |
「自立サポート加算」 | 100単位/回 | 2回/月 | 200単位 |
【月合計 加算額】 | 1400単位(≒14,000円) |
利用児童一人あたり、「通所自立支援加算」と「自立サポート加算」を組み合わせると月に14,000円程度になります。
ただし各々の加算ごとに制限回数と必要条件があるので、加算を算定する場合はご注意ください。
障害児ごとの将来のプランを設定して、着実に自立への道を進めるよう支援致しましょう。
まとめ
令和6年度の報酬改定による放デイの「通所自立支援加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
障害児の自立支援を充実させたサービス提供体制を整えたいと思います。
令和6年度の報酬改定により放デイは、放デイ卒業後の自立生活支援に対して評価が一層着くようになりました。
「通所自立支援加算」と「自立サポート加算」を組み合わせると、1人あたり最大で14,000円の加算額が受け取れるようになります。 但し児童の通所に同行させる職員の人件費もかかり、またその時間数は基準人員等の人員配置にも入れられないのでご注意ください。
令和6年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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