【令和6年報酬改定】新・入浴支援加算とは？取得条件や活用方法を解説

2024.5.6
加算, 運営支援

　　　　　　　　　★★★記事執筆者のご紹介★★★
　この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
　戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。

　児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和６年度の報酬改定への対応が不安です。特に「入浴支援加算」という加算が新設されましたが、取得要件がわかりにくく心配になっています。
　そこでお尋ねしたいのですが、令和６年度の報酬改定により、児発と放デイに新設された「入浴支援加算」を算定する上でどのようなポイントに注意すればいいか、詳しく教えていただけますでしょうか？

　令和６年度の報酬改定により新設された「入浴支援加算」は、医療的ケア児又は重症心身障害児を対象に入浴支援をすれば算定することができます。
　ただ令和６年度の報酬改定で新設されたので普及もされておらず、取得条件と注意点を知らずにいると実地指導の時にトラブルになります。
　この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。

令和６年度の児発と放デイの「入浴支援加算」がわかります
「入浴支援加算」の取得条件がわかります
「入浴支援加算」の活用方法がわかります

1 【令和6年報酬改定】新・入浴支援加算とは？取得条件や活用方法を解説
- 1.1 重要ポイント：適切な入浴機器を揃える
- 1.2 加算取得の要点：必要な書面手続と適切な研修実施
2 まとめ
- 2.1 戸根行政書士事務所からのお知らせ

【令和6年報酬改定】新・入浴支援加算とは？取得条件や活用方法を解説

　令和６年度の報酬改定により新設される「入浴支援加算」とは、医療的ケア児又は重症心身障害児に対して、発達支援と合わせて入浴支援を行った場合に算定することができます。

（内容）	（事業種類）	（単位数）
「入浴支援加算」	児童発達支援	５５単位／回（各事業所ごと月８回まで）
「入浴支援加算」	放課後等デイサービス	７０単位／回

＜「入浴支援加算」の条件＞
・浴室または浴槽の設置（※面積基準はありません／他法人の浴槽等利用は不可です）
・浴室／浴槽／入浴機器／安全装置の定期的な確認（※安全性と衛生面の観点）
・入浴方法／体制／手順を記した書類を作成し交付する
・入浴方法／機器操作方法／事故対応に関する研修を定期的に行う
・事業所の安全計画に、入浴時の安全確保の取り組みと研修内容を記す
・個別支援計画に配慮すべき障害の特性や必要な体制を記載する
・入浴に関する費用を請求することはできません

※入浴方法の注意点について
・浴槽を使用した部分的な入浴は算定対象になります
・タオルで身体等を拭くだけでは算定対象になりません
・シャワーによる実施は身体を洗えば対象になりますが、水をかけるだけでは対象になりません

　令和６年度の報酬改定により新設された「入浴支援加算」についてわかりました。
　ただ実際に施設内支援だと１回当たり約５５０円と高単価ではないですが、児発と放デイ現場で「入浴支援加算」を活用する場合、どのような方法があるのでしょうか

　令和６年度の報酬改定は児発/放デイのサービス提供内容を充実させる方針を進めました。
　そこで大事なのは、安全性と障害児の特性を配慮した計画を作り保護者の同意を得ることです。
　以下では令和６年度の報酬改定による児発/放デイの「入浴支援加算」のポイントをわかりやすく説明いたします。

重要ポイント：適切な入浴機器を揃える

　令和６年報酬改定で新設された「入浴支援加算」の算定には安全な入浴支援の実施が必要ですが、そのために対象である障害児の特性に合わせた入浴機器を揃えることが大切です。

＜シャワーチェアについて＞
・リクライニングやヘッドサポート、ベルトも備わっていて両手で洗体することができます
・子供の体型や成長に合わせられるので、色々な障害児に使えます
・８万円から１０万円が相場とされています

＜シャワーキャリーについて＞
・高さ調節や回転もできるので、そのまま浴槽に運べます
・段差のない場所でのみ使用できるので確認しましょう
・８万円から２０万円が相場とされています

　障害児に対する入浴支援で一番事故が起こりやすいのは、素手で身体を持ち上げて運んでいる時です。
　入浴機器は値段が高いですが、自治体によっては補助があるので確認してコストを抑えましょう。
　特に成長段階では雷獣の増加が顕著なので、定期的に支援方法を見直すことをお勧めいたします。

加算取得の要点：必要な書面手続と適切な研修実施

　令和６年報酬改定で児発と放デイにおいて「入浴支援加算」を算定する場合、必要な手続きを順に行なっていき、適切な研修を計画的に実施することが大切です。

(手順）	（内容）
１	対象障害児の特性と入浴に際する注意点を聞き取る
２	従業員で支援会議を行い、入浴方法／体制／手順を記した書類を作成する
３	浴槽または浴室の安全を確認し、入浴支援に必要な機具を揃える
4	個別支援計画で入浴支援の内容と体制等を記し、保護者の同意を得る
5	事業所の安全計画に、安全管理の方法と研修計画をまとめ公表する

＜入浴支援に関する研修内容について＞
・シャワーチェアやシャワーキャリーなど機具の操作方法について
・出入り口／洗い場で足を滑らさないこと、また障害児を落とさないための工夫について
・浴槽でバランスを崩さないこと、溺れないこと、足を引っかけないための工夫について

　「入浴支援加算」を算定するためには、安全性と障害児家族の同意を得るために多くの書面手続きが必要な点にご留意ください。
　また安全な入浴支援を確保するために大切なことは、様々ヒヤリハットを考慮した研修の実施にあります。
　特に放デイの児童は身体も大きくなりリスクが高まるので注意をいたしましょう。

まとめ

　令和６年度の報酬改定による児発と放デイの「入浴支援加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
　新設された「入浴支援加算」を活用して専門性を充実させたサービス提供体制を整えたいと思います。

　令和６年度の報酬改定により児発/放デイは、専門性の特化に対して様々な加算が算定されるよう調整されました。
　その中で「入浴支援加算」は施設内援助で１回５５０円の加算（児発）が付き、月８回まで算定できるので児童１人あたり４,４００円の加算収入が見込めます。ただい報酬算定には、安全性を配慮した計画の策定や研修の実施が求められるのでご注意ください。
　令和６年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。