居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

令和3年度の報酬改定で新設された「居住支援連携体制加算」とは何でしょうか?

主な「居住支援連携体制加算」の対象となる障がい福祉事業所は、

  • 地域相談支援事業者
  • 地域生活援助事業者

です。

近年、厚生労働省の方針として「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進」が挙げられます。

「居住支援連携体制加算」とは、そのような精神障がいの方が地域で安心して暮らしていけるような福祉のネットワークづくりを促進するものです。


この記事を読めば「居住支援連携体制加算」について知らない型でも、その内容から届出方法、そして運営上の注意点やオススメの活用事例が分かります


これまで弊所は特に地域移行支援事業所さまや地域定着支援事業所さまとお付き合いがありますが、「居住支援連携体制加算って何?」というお声をしばしば聞きます

そこで本日は「居住支援連携体制加算」について一から解説いたします。

居住支援連携体制加算とは?

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

「居住支援連携体制加算」は、精神障害の方に対応した地域福祉ネットワーク作成を促進するものです。

具体的に述べると「居住支援連携体制加算」とは、

居住支援法人・居住支援協議会との連携体制を築いたことへの加算(35単位/月)

です。

けれどもここで馴染みのない方は、

そもそも居住支援法人や居住支援協議会って何?

という疑問を抱くでしょう。

そこで「居住支援連携体制加算」が整備される前提から解説していきます。

居住支援法人や居住支援協議会とは?

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

「居住支援連携体制加算」は、居住支援法人や居住支援協議会と連携体制を作っていることを評価するものです。

そこで、居住支援法人や居住支援協議会についてご説明いたしましょう。

・居住支援法人
高齢者や障害者など住宅を確保するのが難しい方々へ円滑な入居を促進するためサポートをする法人として都道府県が指定した法人

・居住支援協議会
高齢者や障害者など住宅を確保するのが難しい方々へ円滑な入居を促進するため、そのような方々や賃貸人に対して住宅情報等の提供など支援を行う団体

つまり居住支援法人や居住支援協議会は、障がい福祉事業者にとって利用者や相談者が住居に困っている時に、連携して入居支援を手伝ってくれる活動団体なのです。

特に施設に入居している障がい者の地域移行を支援する「地域移行支援事業所」にとっては、地域の住居の確保という点で重要なパートナーになるでしょう

同じく「地域定着支援事業所」にとっても、単身で周囲の支援がない方の住まいの相談にのる時は頼れるパートナーに、居住支援法人や居住支援協議会はなるはずです。

加算算定の条件は?

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

「居住支援連携体制加算」とは、

地域移行支援事業所や地域定着支援事業所が、このような居住支援法人や居住支援協議会と連携すれば35単位/1日もらえる

というものです。

そして居住支援をしなくても事業所の利用者全員にかかるので総額は、

35単位/1日 × 約10円/単位 × 利用者数

になります。

この「居住支援連携体制加算」を取得するためには、次の要件を満たさないといけません。

・役所に届出をして「連携する居住支援法人や居住支援協議会の名称と所在地」を記す
・居住支援法人と連携している旨を公表する
・居住支援法人や居住支援協議会と連携する計画書を提出する
・月に1回以上は連携先と協議の場を設け、住宅の確保や居住支援に係る必要な情報を共有する

ここで気になるのは二つ目の「計画書の提出」でしょう。

この計画書を作成するには、

そもそも具体的に居住支援法人がどのようなサービスを行なっているのか

という点を深く理解しないとイメージがつかないと思います。

そこで続いてこの計画書を作成するための「居住支援法人との連携の仕方」を章を変えて説明いたします。

居住支援法人との連携の仕方とは?

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

「居住支援連携体制加算」を算定するためには、居住支援法人等と連携する計画書を提出する必要があることがわかりました。

けれども計画書を作成するためには、

居住支援法人のサービスとどのように連携していけばいいの?

という疑問に答えないといけません。

そこで居住支援法人に知り合いがいない障がい福祉事業所さまでも、容易に連携できるように手順を説明していきたいと思います。

居住支援法人を探す

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

まずお近くの居住支援法人を探してみましょう。

国土交通省に居住支援法人一覧のページがありますので、そちらを確認して地域の居住支援法人がどこにあるか確認してみてください。

ここで注意したいのは、

居住支援法人ごとにサポートする内容が異なっている

という点です。

どの居住支援法人でも、障がいをお持ちの方の入居を支援するサービスは提供していますが、入居後の見守りや外国人対応可などは居住支援法人によって異なります。

ですので、お近くの連携できる居住支援法人がどのようなサービスを提供しているかを確認いたしましょう。

支援体制を確立する

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

そこでどの居住支援法人も提供している入居支援に限って、支援体制の確立方法をお伝えいたします。

地域移行支援事業所や地域定着支援事業所さまですと、

その事業所の利用者の相談を居住支援法人にお願いすること

が多いでしょう。

障がい福祉事業所と居住支援法人の連携の仕方は基本的に次の通りです。

1 障がいをお持ちの方の情報を共有

2 居住支援法人が入居可能物件を探す

3 利用者を交えて、障がい福祉事業所と居住支援法人が複数の入居可能物件から最適な場所を選ぶ

4 居住支援法人が利用者に対して入居のための契約や引っ越し、役所への届出等を支援

このようなプロセスをモデルにしてお近くの「居住支援法人」と連携体制を相談すると、「居住支援連携体制加算」に必要な計画書をスムーズに作成することができるでしょう。

連携の際の注意点

地域移行支援事業所や地域定着支援事業所さまが、居住支援法人と連携すると利用者の支援がスムーズになるでしょう。

しかし居住支援法人との連携に際して注意点は、

利用者さまの個人情報の取り扱い

です。

障がいをお持ちの方の物件を探すのですから、居住支援法人はそうした個々人の障害の特性について理解しないと物件を選ぶことはできません

なので、障がい福祉事業者さまが利用者の個人情報を共有することが容易な解決策ですが、個人情報の漏洩と見做されれば大問題になります。

そこで有効な対策をご紹介いたします。

・利用者さまから個人情報を居住支援法人に提供する同意書を取得する
・居住支援法人から目的外での個人情報を利用しない誓約書を取得する

居住支援連携体制加算のオススメ活用法

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

地域移行支援事業所や地域定着支援事業所さまは、居住支援法人等と連携することで「居住支援連携体制加算」を算定できます。

ただ「居住支援連携体制加算」は35単位/月なので、およそ月額350円程度になります。

そして居住支援の希望関係なく事業所の利用者全員にかかるので、350円×利用者数となります。

ではこのような加算額を考慮すると、

「居住支援連携体制加算」を算定するメリットって何?

という疑問が出てくるでしょう。

そこで続いて「居住支援連携体制加算」のオススメ活用法をお伝えいたします。

居住相談に強い相談支援事業所へ

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

「居住支援連携体制加算」の取得をオススメする理由として、加算額の算定ではなく、居住支援法人と連携できることを挙げます

地域相談支援事業所に来られる利用者の多くは、お住まいに関して悩みを抱えておられます。

そこで「居住支援連携体制加算」を算定する中で地域の居住支援事業所と連携すれば、利用者の問題を解決できる相談支援事業所として信頼されるでしょう

また居住支援の連携は個人情報の扱いに注意しないといけないので、「居住支援連携体制加算」の計画書を策定する時に契約書等を準備すれば安心です

「地域居住支援体制強化推進加算」の取得

居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説

居住支援法人と福祉の連携を促進する加算として「居住支援連携体制加算」の他に、「地域居住支援体制強化推進加算」があります。

・「地域居住支援体制強化推進加算」(500単位/回:月に1度)
住居の確保や居住支援に係る課題を報告するなど、居住支援体制強化の取り組みを評価する

この加算は、地域移行支援事業所や地域定着支援事業所が居住支援法人と連携し、居住支援に関して協議の場を設けることで算定されます

つまり「居住支援連携体制加算」を取ることができれば、「地域居住支援体制強化推進加算」の獲得も難しくないでしょう。

「地域居住支援体制強化推進加算」は月に1度で約5000円取得できる加算で、「居住支援連携体制加算」と組み合わせて多くの加算を受けることが可能になります。

まとめ

「居住支援連携体制加算」は、精神障がいの方を受け入れる地域の福祉ネットワークを促進させるものです。

計画相談の事業所や自立支援の事業所の支援で、居住支援は大きな課題の一つであり、居住支援法人と連携することで業務の向上に加え、加算の獲得が望めます。

「居住支援連携体制加算」を取得する中で居住支援法人とも連携を深め、地域で信頼される事業所になりましょう。

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