
就労継続支援B型事業所を運営していますが、比較的重度の利用者さんが多いです。そこで「重度者支援体制加算」があると知りましたが、要件や算定方法がよくわかりません。
お尋ねしたいのですが、「重度者支援体制加算」を算定する上での注意点やオススメの活用法を詳しく教えていただけますでしょうか?
「重度者支援体制加算」は、重度の障害をお持ちの利用者さんが多い事業所で活用できて収益アップになります。
ただ「重度者支援体制加算」を算定するための計算方法での間違いや根拠書類の紛失などが散見されリスクがあります。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 就労継続支援A型B型の「重度者支援体制加算」の要件がわかります
- 「重度者支援体制加算」を取得する上での注意点がわかります
- 「重度者支援体制加算」に関するオススメ活用法がわかります
「重度者支援体制加算」とは?よくある間違いやオススメ活用法を解説

就労継続支援A型B型事業所で取得できる「重度者支援体制加算」とは、前年度における障害基礎年金1級を受給する利用者が25%以上いる場合に取得することができます。
<障害基礎年金1級受給者の比率の計算方法>
A ÷ B ≧ 25パーセント
・A = 年金1級利用者の延人数
・B = 利用者全員の延人数
※常勤換算の数値ではありません
(種類) | (条件) | (利用定員) | (単位) |
加算(I) | 50%以上 | ・20人以下 ・21人以上40人以下 | ・56単位/日 ・50単位/日 |
加算(II) | 25%以上 | ・20人以下 ・21人以上40人以下 | ・28単位/日 ・25単位/日 |
※加算総額の事例(就B/定員20名/月総利用数300回/加算(II))
⇨28単位/日 × 10円/単位 × 300回 = 84,000円
ただしこの「重度者支援体制加算」の金額が追加で受領できるからといって、重度障害者の支援なので人件費も通常より高くなりますので、単純な収益増とは考えにくいのが現状です。
就労継続支援A型B型で算定できる「重度者支援体制加算」の概略についてわかりました。
ただ実際に「重度者支援体制加算」を算定する上でどのようなポイントに注意し、どのように活用していくのがオススメか教えてもらえるでしょうか?
「重度者支援体制加算」の算定は簡単なようで頻繁にミスも起こり、実地指導の時に返金になったと仄聞いたします。
算定の条件の比率も常勤換算ではなく実人数で行うので注意いたしましょう。
以下では更に「重度者支援体制加算」を算定する上での注意点やオススメ活用法をわかりやすく説明いたします。
よく間違える事例

就労継続支援A型B型事業所で「重度者支援体制加算」を算定するときに、よく間違える事例として、利用対象者が障害基礎年金1級の受給者かどうかの確認不足が挙げられます。
<障害基礎年金1級の確認不足の事例>
・「年金証書」や「年金決定通知書」を確認していない
・「年金決定通知書」で1級受給を確認したが、受給期間を確認していなかった
障害基礎年金1級を受給していると利用者さんご本人が言っても、実際は別の年金であったり、そもそも当該事実がなかったりする場合が散見されます。
年金1級の受給を証明できる「年金決定通知書」などはご本人が管理されていない場合も多いのでご家族に照会する方が確実です。
「年金決定通知書」を受領した場合は受給期間に注意をし、紛失しないように丁重に保管いたしましょう。
<工賃支払の適切な事業所体制を作る>
・【基本】平均工賃月額の計算の仕方は?解説と注意点とは
・【基本】就労継続支援B型:工賃支払いの注意点は?月ごとの手続き解説
・【おすすめ】医療連携体制加算の活用方法とは?要件や間違えやすい点も解説
・【応用】定員超過と収益アップの注意点とは?
・【注意】「在宅時生活支援サービス加算」とは?
<工賃支払以外の参加・共生型の新体制を目指す>
・【令和3年】ピアサポート体制・実施加算とは?オススメ活用事例あり
・【令和3年】地域協働加算とは?オススメ活用事例あり
オススメ活用事例

特定の就労継続支援A型B型事業所では「重度者支援体制加算」を容易に算定しやすい環境になるので、自社の経営方針としてそのような重度者が多い事業所とするかご検討ください。
<「重度者支援体制加算」を容易に算定しやすい>
・生活介護を併設する就労継続支援B型
・鍼灸やあん摩を生産活動とする就労継続支援A型
「重度者支援体制加算」を容易に算定するには、必然的に重度の障害者が多い場所に限られます。
ただ重度障害と言っても、身体障害の場合は就労能力も高く、鍼灸やあん摩の生産活動をすればしっかり給料も払えることが魅力的です。
加算の総額としては多くはないですが、取れる加算の取りこぼしがないよう注意いたしましょう。
まとめ

就労継続支援A型B型で算定できる「重度者支援体制加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
障害年金1級受給者の数を正確に数えるために、根拠書類を調査しようと思います。
「重度者支援体制加算」の算定要件である、障害年金1級を証明する書類の紛失はよく聞くことがあります。
実地指導の通知が来てからでは遅いので、この機会に対象者ごとに調査し、証明書がなければ家族等に急いで依頼いたしましょう。 今後は重度障害者のための就労支援も期待されているので「重度者支援体制加算」がますます活躍するでしょう。
しっかりと「重度者支援体制加算」の算定要件を守り活用していくことで、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
戸根行政書士事務所からのお知らせ

<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
・【まとめ】グループホームの人員配置の計算とは?初歩から注意点まで解説
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
・【詳解】サービス管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算とは?
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】利用者紹介のために紹介料を払う?利益供与の問題点と対策
・【基本】土曜日開業の注意点とは?人員配置等の問題を解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
・【必見】就労支援事業会計とは?会計区分や按分処理のポイント解説
・【注意】就労支援事業の積立金とは?余剰金を発生させない会計処理
・【注意】サービス管理責任者の更新研修の条件とは?
・【基本】サービス管理責任者の実務経験おすすめルートとは?
・【基本】「一体型」と「多機能型」の違いとは?事業拡大のチャンス!
・【大注目】令和5年サービス管理責任者の実務経験が6ヶ月に変更!
・【大注目】令和5年サービス管理責任者不在の猶予期間が2年に!
<工賃上昇のための体制づくり>
・【高収入】施設外就労支援の注意点とは?基本から間違えやすいミスまで説明
・【推奨】就労移行連携加算とは?オススメ活用事例あり
・【注目】就労移行支援体制加算とは?オススメ活用事例あり
・【注目】就労継続支援事業所に計画相談支援事業所を併設して収益アップ!
<工賃支払いを適正に管理する>
・【基本】就労継続支援B型:工賃支払いの注意点は?月ごとの手続き解説
<現状に応じた適切な事業所体制を作る>
・【基本】平均工賃月額の計算の仕方は?解説と注意点とは
・【重度】「重度者支援体制加算」とは?よくある間違いも解説
<工賃支払以外の参加・共感型の新体制を目指す>
・【令和3年】ピアサポート体制・実施加算とは?オススメ活用事例あり
・【令和3年】地域協働加算とは?オススメ活用事例あり
<処遇改善加算を適正に取得する>
・【基本】福祉・介護職員処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【基本】福祉・介護職員「特定」処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【注意】処遇改善加算・特定処遇改善加算の対象職種とは?注意点も徹底解説
・【注意】処遇改善キャリアパス要件を満たすとは?記述例・失敗例あり
・【基本】賃金改善の方法をわかりやすく解説:トラブル防止の注意点もあり
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】利用者紹介のために紹介料を払う?利益供与の問題と対策
・【基本】土曜日開業の注意点とは?人員配置等の問題を解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
・【義務化】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
・【義務化】身体拘束適正化委員会と「身体拘束廃止未実施減算」とは
<ここが知りたい!実地指導対策:就労継続支援A型編>
・実地指導、ここがチェックされる①!間違えやすいポイント解説
・実地指導、ここがチェックされる②!間違えやすいポイント解説
<ここが知りたい!実地指導対策:就労継続支援B型編>
・実地指導、ここがチェックされる①!間違えやすいポイント解説
