就労継続支援B型で工賃を支払う際に気を付ける点が知りたいです!
毎月の支払いや金額の管理などはどのようにすればいいでしょうか?
就労継続支援B型の基本報酬は、たいてい利用者の前年度実績によって細分化されています。
そこで工賃の管理や設定は運営のためには重要なポイントです。
- 契約から各月、年度末までの工賃支払の流れが理解できる
- 工賃支払に関する注意点がわかる
- 事業所側の工賃支払に関する書類作成のコツがわかる
目次
工賃支払い:手続きの流れを理解する!
就労継続支援B型では、雇用契約を結ばずに 障害や体調に合わせて自分のペースで働くことができます。
就労継続支援B型の事業所は対価として賃金ではなく、生産物に対する成果報酬の「工賃」が支払われます。
利用者さんに工賃を支払うときに気を付けることはありますか?
もし不適切な扱いをしていた場合の監査指導が怖いです、、、
工賃支払いのポイントは事業者様側の手続きの流れを理解することです。
そのための必要書類の解説と共にお話ししていきますね。
必要書類
- 工賃支給規定
- 工賃明細書
- 工賃月額計算書
- 工賃実績高
- 工賃向上計画
契約時
※必要書類
・工賃支給規定:工賃の支払方法、工賃計算の方法、または支払日等を記載いたします
まず利用者様に工賃を支払い始める時に忘れてはいけないのが、工賃支給規定に同意を頂くことです。
ポイントはできるだけ工賃支払いの計算方法を具体的に書いてください。
作業量があればその対価、時給で換算するなら時間単位の額を書いておけば安心です。
また施設外で作業する場合は加えて特例の計算方法を記しておきましょう。
支払い時
※必要書類
・工賃明細書:利用者様に対して渡す、工賃月額を記載した書類です
・工賃月額計算書:事業所側で利用者全員の工賃を管理する表です
<工賃支払いのポイント>
・利用者様に対して支給規定に記された支払日までに、支払いと同時に工賃明細書もお渡しいたしましょう。
・食事提供をしていた場合、前月分の食費合計を差し引いて支給しても問題ではありません。
・全利用者の工賃をまとめた「工賃月額計算書」で各々の状況を把握することです。
・年度ごとの平均工賃額を利用者に周知いたしましょう。
・利用者の技能(=能力評価)に応じて工賃を支払ってはいけません
義務ではありませんが月ごとに細かく、利用者数と各々の工賃支払額を把握いたしましょう。
工賃明細書には工賃を計算するための各項目(時間数・時給など)を正確に記しておくとトラブル回避になります。
年度ごと
※必要書類
・工賃実績高:役所に対して一年間の工賃支払い実績を報告する書類です
・工賃向上計画:事業所側で利用者全員の工賃を管理する表です
「工賃実績高」と「工賃向上計画」は1年に1回役所に提出する書類で、義務ではありませんが助成金を受け取るなどするために事実上必須の手続きとなります。
特に提出時期は各自治体で毎年異なるのでホームページなどを見て定期的に確認いたしましょう。
工賃支払いの注意点とは?
これまで事業所様の立場で工賃を支払うためのフローチャートをご説明いたしました。
ポイントは初回時/月ごと/年ごとそれぞれの業務と必要書類を把握することです。
工賃を支払う流れはわかりました!ありがとうございます!
でもその際気を付けるポイントなど注意点も教えてもらえますか?
承知いたしました。実は工賃支払いで見逃しがちなポイントがいくつかあります。
事業者様の業務改善のために一つずつご説明いたします。
利用者に渡す/同意してもらう
特に初回の契約する時に工賃支給規定には利用者様の同意を確かに得ておくと安心です。
※利用者から同意を得ずに工賃を設定しトラブルになったケースも聞きます
工賃明細書も忘れずに利用者さんにお渡しいたしましょう。
事業所さま側で保管することも忘れないでください。
月の平均が3,000円未満にならない
月ごとの「工賃月額計算書」で毎月の支払い平均額は算出することをおすすめいたします。
※毎月の支払い平均額が3千円を切ることがないようにご注意ください。
ポイントは利用者のお一人が3千円以下の工賃でも問題ないということです。
あくまでも全利用者の平均が3千円を下回らないようにご注意ください。
訓練等給付費から支払わない
就Bで工賃を支払う時に忘れがちなのは国保連からの給付で工賃額を支払ってはいけないことです。
※原則
あくまでも生産活動で得た収入から、その生産に寄与した利用者様に工賃をお支払いいたします。
生産活動がうまくいかない場合、自社で買い取ることも考えられます。
ただし適正に業務委託を結んで自社で必要である作業であることにご注意ください。
皆勤手当等を工賃に含めない
就労継続支援B型事業所から利用者さんに支払う際に、通常の工賃とは別に、「皆勤手当」などの名称で支払われる賃金を、支払工賃に計上してはいけません。
<「皆勤手当」が容認されない理由>
工賃は利用者さんが生産活動に従事した対価として支払われる賃金のことであり、生産活動以外、例えば通所回数を評価して払われる賃金は工賃に含まれません。
就労継続支援B型事業所は、利用者さんの通所回数が増えれば収益が上がる仕組みになっています。
それゆえに通所を促すために皆勤手当などを設けて、利用者さんの通所回数を稼ごうとする事業所様が散見されますのでご注意ください。
ただし利用者さんの働き(×能力)を評価した特別手当などは工賃に含めることができますのでご留意いただければと思います。
まとめ
工賃を支払う際の流れを理解することができました!ありがとうございます!
注意点も聞いてちょっとひやっとしました。。
就労継続支援B型で工賃を管理し整理することは運営のために重要な点です
ルールをしっかり守った上でどんどん事業拡大されることを願っております。
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