
現在、放課後等デイサービスと児童発達支援の事業を行っています。ただ実地指導がどのようなものか想像できなくて不安です。
そこで放課後等デイサービスと児童発達支援の実地指導の実例を教えていただけますでしょうか?
児童発達支援と放課後等デイサービスの実地指導は全事業者を対象に、数年おきに実施されます。
実地指導のトラブル防止のために具体的に実地指導内容をイメージできた方がいいですよね。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 児発と放デイの実地指導の具体例がわかります
- 児発と放デイの実地指導対策の注意点がわかります
- 児発と放デイの実地指導対策の間違えやすい点がわかります
目次
実地指導、ここがチェックされる!間違えない対策を解説

児童発達支援と放課後等デイサービスは指定を受けた後に、適正にサービス提供を行っているか、自治体が事業所に出向き実地で指導することが行われます。
<実地指導とは?>
指定更新の期間内に、自治体の担当者が事業所に出向き、サービス改善/育成と適正化のために事業運営を確認いたします。
※運営基準の違反に対する改善の勧告/命令の発布が目的ではありません。
障害福祉事業の実地指導というものの概要は承知いたしました。
ただ児発や放デイの実地指導でどのチェックポイントを、どのような資料で確認されるのか具体的に教えてもらえるでしょうか?
児童発達支援と放課後等デイサービスの実地指導の特徴は、特に人員配置とサービス提供の確認にあります。
常日頃から適正な状態を保っているか確認することが大切です。
以下では具体的な例を示しつつ児発と放デイの実地指導についてわかりやすく説明いたします。
チェック1:人員配置が適正かどうか

放課後等デイサービスや児童発達支援のサービス提供を行うにあたって、「日毎に人員配置が適正かどうか」という点が必ず確認されます。
<人員配置が適正かどうかの確認の仕方>
重要事項説明書の人員配置の記載を基本に、勤務体制一覧表/出勤簿/タイムカードを照合して裏付けを取ります。
常勤時間の設定に関しては就業規則が参照されます。
※事業所側で出来る対策
・常勤職員は有給取得日を明確にしておきましょう
・コロナで休んだ場合は明記しておき、記録を残しておきましょう
・サービス提供時間に数えて2人の職員を確保できているか確認しましょう
・1人でも来所すると人員配置が必要なので気をつけましょう
児発や放デイの実地指導で人員配置の状況は確実に確認される事項になります。
出勤簿等の裏付けは求められますが、給与明細や振込記録までは実地指導の段階で確認されることはあまりありません。
可能ならば自治体の書式で勤務体制一覧表を作成しておくとスムーズに対応してもらえます。
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
・【詳解】児童発達管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算とは?
<スタッフ配置に関する加算>
・【基本】児童指導員等加配加算とは?取得条件や注意点も解説
・【注意】児童指導員等加配加算と従業員シフト配置の可否について解説
・【確認】特別支援加算とは?条件やおすすめ活用法も解説
・【お勧め】専門的支援加算とは?条件や注意点も解説
<多機能型の配置のパターンを解説>
・【基本】これだけは覚えておきたい!児童系の人員配置の基本
・【必見】児童系多機能型の人員配置について
・【確認】児童指導員等加配加算と適正なスタッフの配置について
チェック2:サービス提供記録が適正化どうか

放課後等デイサービスや児童発達支援の実地指導において、加算を含めたサービス提供の記録が適正かどうかも必ず確認されるポイントです。
<サービス提供が適正かどうか確認するポイント>
・サービス提供 :「サービス提供実績記録」と請求情報が合致していてハンコがあるか
・送迎加算 :「送迎台帳」と請求情報が合致しているか
・欠席時対応加算:日付/理由/相談支援が記録されているかどうか
注意すべき点は、送迎加算を取得し家以外の場所に送迎する場合は利用者さんと覚書が必要になる点です。
学校送迎に関しても念のために覚書書を作成しておきましょう。
その他にも「事業所内相談支援加算」や「家庭連携加算」を取得する場合は、事業所側で自ら「サービス提供実績記録」にその旨を書き込む必要があります。
<監査指導のトラブルにならないための対策>
・【注意】開所時間減算とは?ポイントや注意点を解説
・【注意】定員超過利用減算とは?条件や気を付ける点を解説
・【基本】延長支援加算について徹底解説!条件や注意点など
・【まとめ】放デイ特有の送迎加算とは?学校送迎の注意点も解説
・【注意】放デイ限定の欠席時対応加算とは?利用時間30分以内でもOK
・【基本】放デイの学校休日等の支援の注意点!トラブル回避のポイント
チェック3:雇用関係が適正かどうか

放課後等デイサービスや児童発達支援の実地指導にあたって、「サービス提供をする従業員の雇用関係が適正であるか」という点は必ず確認されます。
<雇用関係が適正かどうかの確認の仕方>
・「雇用契約書」など雇用関係の契約書があるか
・「秘密保持遵守の契約書」を従業員と結んでいるか
・健康診断を受けさせているか
法的に適正な雇用関係にあり、管理者の指揮監督下に配置されているかは、サービス提供を行う際の大事なポイントです。
できれば職務内容も障害児支援に関する内容を明記し、専従/兼務/常勤/非常勤などの条件を明確にしておきましょう。
退職した職員に関する資料も全て残しておく方が安全です。
<処遇改善加算を適正に取得する>
・【基本】福祉・介護職員処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【基本】福祉・介護職員「特定」処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
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・【注意】処遇改善キャリアパス要件を満たすとは?記述例・失敗例あり
・【基本】賃金改善の方法をわかりやすく解説:トラブル防止の注意点もあり
チェック4:利用者支援が適正かどうか

放課後等デイサービスや児童発達支援の実地指導にあたって、「利用者さん一人ひとりに合わせた支援が適正かどうか」という点が必ず確認されます。
<利用者支援が適正かどうかの確認の仕方>
・「契約書/重要事項説明書」が結ばれているか
・「受給者証」にサービス提供が認められる記載があるか
・「アセスメント表」→「個別支援計画の原案」→「会議」→「個別支援計画」の順に資料が揃っているか
※事業所側で出来る対策
・個別支援計画の作成の日付はサービス提供記録の提供日以前である必要があります
・個別支援計画の作成日/交付日/同意日は近接している方が望ましいです
・個別支援計画の原案は忘れずに残しておきましょう・個別支援計画が未作成でも減算にならないために1ヶ月以内に作成しましょう
個別支援計画とサービス提供記録の整合性まで確認されることは、あまりありません。
ただ個別支援計画も「漠然とした内容」や「画一的な内容」である場合は指導が入る可能性があります。
必ずしも利用者全員分をチェックされるわけではありませんが、疑わしい場合は全員の提出を求められます。

チェック5:請求業務が適正かどうか

放課後等デイサービスや児童発達支援の実地指導にあたって、「サービス提供の対価である請求業務が適正化どうか」という点が必ず確認されます。
<請求業務が適正かどうかの確認の仕方>
・「障害児通所給付費・入所給付費等請求書」が揃って保管されているか
・「障害児通所給付費・入所給付費等明細書」が揃って保管されているか
・会計が障害児支援事業とそれ以外を明確に区分しているか
実地指導の事前提出書類として月ごとの売り上げの情報を求められますが、実地指導のレベルでは請求書/明細書と照合する可能性は低いです。
法人で障害児支援事業以外をしていない場合は区分の必要はないと考えられることが多いです。
請求ソフト内にデータが保存されている場合はあるので忘れずダウンロードしておきましょう。
チェック6:危機管理体制が適正かどうか

放課後等デイサービスや児童発達支援の実地指導にあたって、「虐待や身体拘束に関する研修やマニュアルが適正化どうか」という点が必ず確認されます。
<危機管理体制が適正かどうかの確認の仕方>
・虐待/身体拘束の研修の記録があるか
・虐待/身体拘束の委員会の記録があるか
・虐待/身体拘束の指針があるか
・虐待/身体拘束のマニュアルがあるか
虐待や身体拘束の研修等は令和3年度の報酬改定から義務化されたことに注意いたしましょう。
運営規程も忘れず変更しておき、研修/委員会は少なくとも年に1回は開催しておくと安心です。
特に虐待/身体拘束の指針を設定し忘れている場合が多いので注意しましょう。
<事業所管理の健全化に努める>
・【基本】勤務体制一覧表の注意点は?間違えやすいシフト例も解説
・【注意】定員増加の注意点とは?報酬額や人員配置の問題解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
チェック7:事業所内の掲示が適正かどうか

放課後等デイサービスや児童発達支援の実地指導にあたって、「事業所内の掲示が適正かどうか」という点が必ず確認されます。
<事業所内の掲示が適正かどうかの確認の仕方>
重要事項説明書/定款/勤務体制/防災計画/協力医療機関/虐待防止のチラシが掲示されているか確認されます。
枚数の多い「重要事項説明書」や「定款」は冊子の形で手に取れるよう配置するだけでも掲示要件を満たすことができます。
協力医療機関等の連絡先は電話番号を大きくする工夫をしておくと確かです。
防災計画はただ掲示するのみならず利用者さんやご家族、従業員にしっかりと周知させましょう。
まとめ

児童発達支援と放課後等デイサービスの実地指導の注意点が分かりました。ありがとうございます。
特に人員配置やサービス提供の書類の整理に注意したいと思います。
児童発達支援や放課後等デイサービスは、利用者が未成年なので保護者と連携を取って適正に書類を作成する必要があります。
上記の事例より加算を多く取得している場合は、加算に関する根拠資料も求められるのでご留意ください。定期的に実地指導のために適正な書類が揃っているか確認しておくと安全です。
トラブルなくサービス提供を行うことが事業所の経営の安定につながるので、ぜひ要件をしっかり守ってご活用ください。
戸根行政書士事務所からのお知らせ

※まとめ:児発・放デイの相談支援系の加算の一覧
1 事業所内相談支援加算:事業所内で個別/グループに相談援助を行う(月に1回)
2 家庭連携加算:自宅訪問をして本人/家族に相談援助を行う(月に4回)
3 関係機関連携加算:関係機関と連携して相談援助を行う(月に1回)
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