

就労継続支援B型を運営して数年が経ちました。利用者さんの生産活動を拡大するために加算の取得を考えていますた。
そこで「工賃向上達成指導員配置加算」に興味があるのですが詳しく教えていただけますでしょうか?
「工賃向上指導員配置加算」は、就労継続支援B型の事業所の収益を拡大するチャンスです。
加算額による増収だけでなく、工賃支払実績を高めて基本報酬単位を増やす戦略も可能です。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 「工賃向上達成指導員配置加算」の取得条件がわかります
- 「工賃向上達成指導員配置加算」の間違えやすいポイントがわかります
- 「工賃向上達成指導員配置加算」のミス防止対策がわかります
★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
目次
「目標工賃達成指導員配置加算」とは?取得条件やミス防止もしっかり解説

就労継続支援B型事業所で、より生産活動を拡大して事業を安定するために役立つのは「目標工賃達成指導員配置加算」です。
<「目標工賃達成指導員配置加算」とは>
就労継続支援B型で「目標工賃達成指導員」を常勤換算で1以上配置し、「手厚い人員体制」で目標工賃の達成を取り組む場合に算定されます。
<就B「目標工賃達成加算」の条件>
1:「目標工賃達成指導員配置加算」を算定している
2:工賃向上計画に基づいて活動している
3:実際に工賃が上がっている
※「手厚い人員体制」について
・職業指導員及び生活支援員の配置が6:1以上になる
・職業指導員及び生活支援員+目標工賃達成指導員の配置が5:1以上になる
(利用定員) | (報酬単位) |
20人以下 | 45単位/日 |
21人以上40人以下 | 40単位/日 |
41人以上60人以下 | 38単位/日 |
61人以上80人以下 | 37単位/日 |
81人以上 | 36単位/日 |
※令和6年度から「目標工賃達成指導員配置加算」の報酬がどれだけ減るか
例)平均利用者15名/開所日数20日
令和5年度以前:「目標工賃達成指導員配置加算」のみ
89単位×10円×20日×15名=267,000円増/月
⇅
令和6年度以降:「目標工賃達成指導員配置加算」+「目標工賃達成加算」
55単位×10円×20日×15名=165,000円増/月
⇨1月で10万2千円のマイナス収益の差が出ます。
※2「目標工賃達成指導員配置加算」が算定可能→全体的に収益アップ
例)平均利用者15名/開所日数20日/平均工賃12,000円
令和5年度以前
基本報酬:590単位×10円×20日×15名=1,770,000円/月
加算:89単位×10円×20日×15名=267,000円/月
→合計:2,037,000円
⇅
令和6年度以降
基本報酬:673単位×10円×20日×15名=2,019,000円/月
加算:55単位×10円×20日×15名=165,000円/月
→合計:2,184,000円
⇨全体的に見れば1月で14万7千円のプラス収益の差が出ます。
「工賃向上達成指導員配置加算」は人員配置基準に複数の条件があり、取得するにも注意だと分かりました。
そこで「工賃向上達成指導員配置加算」に関して取得条件など詳しく知りたいと思うのですが、どのような点に注意すれば万全な事業所運営をできるでしょうか?
「工賃向上達成指導員配置加算」は工賃向上計画を定めた上で計画的にスタッフを配置する必要があります。
工賃向上計画に即した活動の記録資料をしっかり残すことがポイントになります。
以下では具体的な例を示しつつ「工賃向上達成指導員配置加算」についてわかりやすく説明いたします。
条件1:「目標工賃達成指導員」の配置

「目標工賃達成指導員配置加算」の算定に必要な「目標工賃達成指導員」とは、工賃向上計画を作成し、計画に沿って目標工賃の達成に向けて積極的な取り組みをする者のことです。
※「目標工賃達成指導員」になるには特別な資格がは必要ではありません。
<「目標工賃達成指導員」の仕事内容例について>
・「作業単価」を上げる交渉をする
・「新しい作業」取得の営業をかける
・作業能力アップの支援を行って「高単価の作業受注」を目指す
・「作業工程」を見直すなど作業効率が上がるように改善をはかる
<「工賃向上計画」の作成のポイント>
・新しい販売先を営業して探してくる
・改善の余地を委託事業者に伺い、どのような条件であれば、より買取価格が上がるかを聞く
・作業内容を効率化できるか再検討する
・他に収益が上がる活動ができるか検討する
「工賃向上計画」は目標工賃を設定し、その目標を達成するための課題や各年度に取り組む具体的な方策を設定します。
その「工賃向上計画」に即して「目標工賃達成指導員」が毎日活動する記録(=日報)をつけておきましょう。
自治体によっては定期的に「工賃向上計画」の提出を求めてくるので時期にご注意ください。
条件2:「目標工賃達成指導員」を常勤1以上

就労継続支援B型の「目標工賃達成指導員配置加算」の算定には、前述の「目標工賃達成指導員」を常勤で1以上配置する必要があります。
<「常勤1以上」の配置のポイント>
・複数人(※非常勤)の配置で常勤1以上の数値を満たしても大丈夫
・「生活支援員」/「職業指導員」との兼務はできる(※自治体に確認が必要です)
・「管理者」との兼務はできない
(番号) | (常勤1以上の1日の状況) | (判定) |
1 | 非常勤の「目標工賃達成指導員」4時間×2名 | ○ |
2 | 「生活支援員」等4時間、「目標工賃達成指導員」4時間を2名 | ○ |
3 | 「管理者」8時間,「目標工賃達成指導員」8時間 | × |

「目標工賃達成指導員」を兼務で配置する場合は、それぞれの職種の配置時間を分けて、出勤簿で明確にするようにいたしましょう。
必要に応じて雇用契約書や給与明細書の形式を変更することも大切です。
非常勤で「目標工賃達成指導員」を配置するなら、有給休暇が使えないので月ごとの常勤換算数の管理に気をつけましょう。
条件3:「手厚い人員体制」の確保

就労継続支援B型で「工賃向上達成指導員配置加算」を取得するには、通常の基準で求められる人員配置以上のスタッフを配置する必要があります。
<「手厚い人員体制」とは>
・「職業指導員」/「生活支援員」の総数が常勤換算で6:1以上
・「目標工賃達成指導員」「職業指導員」/「生活支援員」の総数が常勤換算で5:1以上
※前年度平均利用者数が30人を超えると「6:1要件」に注意
直接支援員を6:1で配置+「工賃向上達成指導員」を常勤1で配置すると、平均利用者30名未満の場合は自動的に「5:1」の配置を満たすことができます。
それゆえに定員20名の事業所の場合、直接支援員だけで基本的に6:1以上の配置であれば安心です。
例:前年度平均利用者数が31人の場合
33÷6(≒5.6)+1=6.6人
→35÷5(≒7.0)には0.4足りません

定員20名の多くの就労継続支援B型だけと、7.5:1の配置と「工賃向上達成指導員」を常勤1以上配置すれば満たせます。
また基本報酬単位を10:1で請求している事業所は7.5:1に変更する必要があるのでご注意ください。
「目標工賃達成指導員配置加算」の取得のミス防止対策

就労継続支援B型事業所で算定できる「目標工賃達成指導員配置加算」は、届出だけで簡単に取得できるように思えるために実地指導の時にトラブルになる可能性があります。
<「目標工賃達成指導員配置加算」の取得のミス防止対策>
・生活支援員等と兼務できるか自治体で確認する
・目標工賃達成指導員の業務日報を整備しておく
・平均利用者が30人を超えると5:1の配置基準に注意する
・非常勤職員を活用する場合は常勤1を超えるか注意する
「目標工賃達成指導員配置加算」を取得していると実地指導の時に、指導員の業務日報が確認されることが多いです。
架空の配置と見做されないよう日々の業務をしっかり説明いたしましょう。業務日報の勤務時間と勤務体制一覧表の整合性を保っておくことも大切です。
「目標工賃達成指導員配置加算」は儲かる?

令和6年度の報酬改定により、就労継続支援B型事業所で「目標工賃達成指導員配置加算」を取得して、更に「目標工賃達成加算」と組み合わせても従来のように高い加算報酬を得ることができなくなりました。
※令和6年度から「目標工賃達成指導員配置加算」の報酬がどれだけ減るか
例)平均利用者15名/開所日数20日
令和5年度以前:「目標工賃達成指導員配置加算」のみ
89単位×10円×20日×15名=267,000円増/月
⇅
令和6年度以降:「目標工賃達成指導員配置加算」+「目標工賃達成加算」
55単位×10円×20日×15名=165,000円増/月
⇨1月で10万2千円のマイナス収益の差が出ます。
※2「目標工賃達成指導員配置加算」が算定可能→全体的に収益アップ
例)平均利用者15名/開所日数20日/平均工賃12,000円
令和5年度以前
基本報酬:590単位×10円×20日×15名=1,770,000円/月
加算:89単位×10円×20日×15名=267,000円/月
→合計:2,037,000円
⇅
令和6年度以降
基本報酬:673単位×10円×20日×15名=2,019,000円/月
加算:55単位×10円×20日×15名=165,000円/月
→合計:2,184,000円
⇨全体的に見れば1月で14万7千円のプラス収益の差が出ます。
※加算による収益増と人件費負担の増額のバランス
基準職員を75:1から6:1にすると平均利用者数15人で常勤換算05増、つまり月に80時間増(=最低人件費8万円)になります。それゆえ、基準職員を6:1にして「目標工賃達成指導員配置加算」等を算定しても、15万円ー8万円=7万円の収益増が現実的な数字です。
就労継続支援B型事業所で引き続き「目標工賃達成指導員配置加算」を算定するには、従来に比べて月に10万円程度の収入減と人件費の増額を考慮する必要があります。
それ故に比較的大規模な就労継続支援B型は継続して「目標工賃達成指導員配置加算」+「目標工賃達成加算」を算定できるでしょう。
他方で小規模の事業者は収入減に加え人件費もかかるので、一層のこと人件費の節約と割り切って「目標工賃達成指導員配置加算」を止めることも検討した方が良いでしょう。
よくある質問

目標工賃達成指導員配置加算を算定している場合、施設外に出る利用者に対しても5:1で配置する必要がありますか?
答:いいえ。施設外に出る利用者への配置は基本報酬単位の配置と同じです。
まとめ

就労継続支援B型で活用できる「目標工賃達成指導員配置加算」について分かりました。ありがとうございます。
加算を取得するための勤務管理と工賃向上計画を適切に残し、不正のないよう体制を整えたいと思います。
就労継続支援B型は近年、コロナ禍もあり生産活動から利用者の工賃を十分に支払えない事業所も少なくありません。
そこで収益をキチンと出す生産活動をできる体制を、それもリスク少なく整備できるのが「工賃向上達成指導員配置加算」です。目標工賃達成指導員の人員配置基準に注意し、業務日報など忘れずに記録しておくと間違えが減って安全です。
ミスなく「目標工賃達成指導員配置加算」を取得することが事業所の経営の安定につながるので、ぜひ要件をしっかり守ってご活用ください。
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