目次
【まず初めに】放デイ/児発の基本を徹底解説!
<児童発達支援>
小学生以下の未就学(受給者証あり)に対して、集団生活への適応のための訓練を提供いたします。障害の有無に関わらず、発達の遅れが気になる方の利用も幅広く行われています。
<放課後等デイサービス>
6歳から18歳(就学年齢)の障がいを持つ児(受給者証あり)に対して、学校の放課後・夏休みなどの長期休暇に、社会との交流促進等を提供いたします。
(令和5年版)児童発達支援の収支構造:儲かるの!?
令和5年度調査の児童発達支援の収支モデルは、1年間の売上が約3,903万円で支出は3,677万円、その結果収支差は+226万円という現状になっております。
<令和5年:児童発達支援の収支構造のポイント>
・モデルの収支差は5.8%で、モデル定員は18人になります
・定員1人あたりの収支差は12万8千円です
・全事業所の客体数が一番多い収支差率は20%から25%です
・ただし約26%超の事業所は赤字です
まず注目すべきは令和2年度の調査と比較して収支差が1.2→5.8%と大幅に改善していることです。
それに伴い事業所全体の動向を見ると、赤字の事業所が令和2年度から40→26%と減っています。
客体数が多い収支差率は高くなっていて、業界全体の収益構造が高まっていることがわかります。
(令和5年版)放課後等デイサービスの収支構造:儲かるの!?
放課後等デイサービスの収支状況
令和5年度調査の放課後等デイサービスの収支モデルは、1年間の売上が約3,160万円で支出は2,978万円、その結果収支差は+182万円という現状になっております。
<令和5年:グループホームの収支構造のポイント>
・モデルの収支差は5.8%で、モデル定員は10人になります
・定員1人あたりの収支差は17万5千円です
・全事業所の客体数が一番多い収支差率は25%から30%です
・ただし約25%超の事業所は赤字です
まず注目すべきは令和2年度の調査と比較して収支差が10.7→5.8%と悪化していることです。
事業所全体の動向を見ると、赤字の事業所の事業所の割合は大きく変わっていません。
客体数が多い収支差率は高くなっていて、稼いでいる事業所と体力のない事業所との差が大きくなっていることが大事なポイントです。
児童系サービスの「多機能型」とは?
多機能型として①放課後等デイサービスと②児童発達支援の両方を同時に指定を受けることができます。
人員配置も合同で可能になる上、利用者さんの成長に連なり様々なニーズにお応えすることができます。
メリット | デメリット |
---|---|
最低定員10名から開業できる | 営業時間によってスタッフ配置要件が難しい |
スタッフを兼務させることができる | 小学校等の夏休みなどで特定の時期に利用者が想定以上に増える |
児発の利用者がそのまま放デイも利用する傾向 | 送迎等を二度しないといけない |
事業所も共用できる | それぞれの事業拡大が難しい |
【設立】児発/放デイの指定申請条件とは?
人員要件を満たしていること
職種 | 配置数 | 常勤要件 | (備考) |
1.管理者 | 1名以上 | 送迎可能※ | |
2.児童発達支援管理責任者 | 1名以上 | アリ(専任) | 送迎不可 |
3.児童指導員・保育士・(障がい福祉事業経験者) | 2名以上 | アリ(1人以上) | 利用者10人に2人※ |
※ 「管理者」だけでなく「指導員」「運転手」を兼務する時は誓約書が必要。
※ 半数以上は児童指導員または保育士である必要。
※ 「管理者」と「児童発達支援管理責任者」の兼務は可能です。ただし自治体によっては兼務の管理職の最低勤務時間が決められているのでご注意ください。
※ 令和3年4月1日以前に「障がい福祉事業経験者」を配置している事業所は令和5年3月31日まで有効です。
※ 保育士証がなくても登録済通知書があれば「保育士」として配置できます。
多機能型の人員配置について
児発と放デイの両方を多機能型で経営する場合、それぞれのサービスに人員を配置するのでなく合計の基準で考える必要があります。
ただ多機能型の人員配置は複雑で、もし不適切な勤務体制で事業所を運営すると自治体とトラブルになります。最悪の場合、報酬の返金になってしまいます。
<スタッフ配置のパターンを解説>
・【基本】これだけは覚えておきたい!児童系の人員配置の基本
・【基本】基準職員「営業時間を通じての配置」とは?
・【必見】児童系多機能型の人員配置について
・【確認】児童指導員等加配加算と適正なスタッフの配置について
・【要点】「実務経験証明書」を取得する工夫とは?
・【基本】サービス提供職員欠如減算と送迎の注意点!
・【応用】重度心身障害児への支援の人員配置は?
・【基本】医療的ケア児の基本報酬のための人員配置は?
・【応用】重心型が医療的ケア児を支援する報酬とは?
常勤換算と利用者数の計算
利用者数に応じてスタッフの配置基準は変わり、常勤換算という特殊な計算式でその配置基準を満たすように勤務体制を作る必要があります。
ただ常勤換算と利用者数の計算は複雑で、もし不適切な勤務体制で事業所を運営すると自治体とトラブルになります。最悪の場合、報酬の返金になってしまいます。
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
・【詳解】児童発達管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算とは?
設備基準を満たしていること
(種類) | 要件 |
1.指導訓練室 | 最低定員10人で24.7㎡は必要。自治体によっては3㎡求められます。 |
2.相談室 | 室内の話が漏れないために間仕切り等を設ける |
4.洗面所 | 利用者の特性に応じたもの |
5.トイレ | 利用者の特性に応じたもの |
6.事務室 |
<開業物件を選ぶ注意点>
・【注意】用途変更の注意点とは?200㎡未満の施設面積ポイント解説
法人格があること
(種類) | メリット | デメリット |
1.株式会社 | ・出資者を募りやすい ・最低1人で設立可能 ・利益の分配の仕組みがわかりやすい ・会社から給与として経費を受け取ることができる | ・設立必須費用が高い ・税金の負担が多い ・決算広告の義務がある ・社会保険への加入が義務 |
2.一般社団法人(非営利) | ・非収益事業は法人税がかからない ・設立書類が比較的容易 ・設立費用が安い ・他者を共同経営に参加させやすい | ・理事は常に3人以上 ・解散時に財産を分配できない ・会計が複雑 |
3.NPO法人 | ・基本的に法人税がかからない ・設立時費用がかからない ・非営利事業への気持ちを形にしやすい | ・設立に気持ちを共有する10人もの数を集めなければならない ・行政による書類作成の指導により、設立に時間がかかる ・1年に1度の行政への報告義務あり、定期的に不備がないか監査される |
4.社会福祉法人 | ・施設設備に一定額の補助あり ・税制の優遇がある ・職員に国家公務員の給付水準に準拠した退職金制度がある | ・設立にて「役員」と「資産」の要件が厳しい ・経費経常の規制がある |
5.合同会社 | ・設立費用が安い ・社員が有限責任 ・決算の報告義務がない | ・事業継承が難しい ・出資者が業務執行権を持つ |
【経営】児発・放デイの運営のポイント解説
手厚い支援をするための加算を取得
児童発達支援や放課後等デイサービスの事業拡大のポイントは、ご家族にも信頼される程の充実した児童支援の体制を作ることです。
充実した体制作りには人件費等の経費が追加でかかるので、その分を補填するために加算の取りこぼしを防ぎましょう。
<スタッフ配置に関する加算>
・【基本】児童指導員等加配加算とは?取得条件や注意点も解説
・【注意】児童指導員等加配加算と従業員シフト配置の可否について解説
・【確認】特別支援加算とは?条件やおすすめ活用法も解説
・【お勧め】専門的支援加算とは?条件や注意点も解説
<配慮を必要とする児童支援の加算>
・【新設】個別サポート加算とは?条件や注意点を解説
・【基本】「事業所内相談支援加算」とは?取得条件やミス防止もしっかり解説
・【基本】「家庭連携加算」とは?取得条件やミス防止もしっかり解説?
・【基本】「関係機関連携加算」とは?取得条件や間違えやすいポイントも解説
・【応用】「強度行動障害児支援加算」とは?取得条件やトラブル事例も解説
トラブルを避ける対策
児童発達支援や放課後等デイサービスは、児童の学校の夏季休暇や両親の都合などで様々な臨機応変の対応が求められます。
不測の事態が生じても適切な対応と書類管理を行い、自治体やご家族とのトラブルを回避していきましょう。
<監査指導のトラブルにならないための対策>
・【注意】開所時間減算とは?ポイントや注意点を解説
・【注意】定員超過利用減算とは?条件や気を付ける点を解説
・【基本】延長支援加算について徹底解説!条件や注意点など
・【まとめ】放デイ特有の送迎加算とは?学校送迎の注意点も解説
・【注意】放デイ限定の欠席時対応加算とは?利用時間30分以内でもOK
・【基本】放デイの学校休日等の支援の注意点!トラブル回避のポイント
・【義務化】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
・【義務化】身体拘束適正化委員会と「身体拘束廃止未実施減算」とは
・【注意】用途変更の注意点とは?200㎡未満の施設面積ポイント解説
・【注意】「自己評価結果等未発表減算」とは?トラブル回避の対策解説
<実地指導のための対策>
・【基本】実地指導、ここがチェックされる!間違えない対策を解説
・【基本】実地指導、ここがチェックされる!②気になる論点の解説
職場の環境を改善する
児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所を事業拡大するには、スタッフに高い賃金を出したり管理業務を健全化したりする必要があります。
目先の利益ではなく自治体や利用者に信頼される体制づくりを始めから行うことが、事業を長く続けて大きくするポイントです。
<処遇改善加算を適正に取得する>
・【旧】福祉・介護職員処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【旧】福祉・介護職員「特定」処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
↓
・【新】令和6年度処遇改善加算、今から何をすべきか分かるポイントまとめ
・【注意】処遇改善加算・特定処遇改善加算の対象職種とは?注意点も徹底解説
・【注意】処遇改善キャリアパス要件を満たすとは?記述例・失敗例あり
・【基本】賃金改善の方法をわかりやすく解説:トラブル防止の注意点もあり
・【注意】処遇改善加算等の社会保険料の計算の仕方とは?改善額の組み入れ
<事業所管理の健全化に努める>
・【基本】勤務体制一覧表の注意点は?間違えやすいシフト例も解説
・【注意】定員増加の注意点とは?報酬額や人員配置の問題解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】サービス提供時間の適正な設定とは?人件費や報酬単位とのバランス
<年度ごとの義務化への対応>
・【令和3年度】障害福祉のハラスメント防止の対策とは?運営規程の変更案
・【令和4年度】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
・【令和5年度】身体拘束適正化委員会と「身体拘束廃止未実施減算」とは
・【令和6年度】感染対策委員会とは?運営規定の書き方から記録書類まで
・【令和6年度】業務継続計画(BCP)とは?書き方から研修・訓練実施方法まで
・【令和6年度】児発/放デイ:送迎車両の安全装置の設置義務化等とは?
・【令和6年度】「虐待防止措置未実施減算」とは?条件や対策を解説
<障害福祉事業は儲かるのか!?様々な統計データを解説>
・【令和5年】障害福祉事業の収支状況は?儲かるのか、どのサービスが好調か解説
<令和6年度の報酬改定による変更>
・【基本】児発放デイの基本報酬の設定方法が変更になった?支援時間の設定のポイント解説