はじめに
利用者さまが複数の事業所を利用する場合、「利用者負担上限額管理」という作業が必要になって参ります。
利用者さまのお金に係ることであり、事業所側にとっても、とても神経を使う作業です。
行政から多くの手引きが出ていますが、わかりやすくシンプルにまとめて欲しいという声をいただきました。
そこで本日は「利用者負担上限額管理」のポイントを簡単に説明いたします。
利用者負担上限額管理って何?
事業者側:加算される
複数利用されている中の「上限管理をする事業所」は、お一人につき、月に150単位の加算を得ることができます。
利用者側:1事業所だけの支払
複数利用すると、それぞれに利用料支払が必要になりますが、手続きを踏めば1事業所の支払いだけで良くなります。
利用者側がすること
ステップ1:メインの事業所に連絡する
複数利用する中で、最も頻度の多い事業所に「上限管理」をしてもらう旨を伝えましょう。
↓
ステップ2:市町村に届出を出す
市町村に対して、
・受給者証の原本
を提出いたします。
注意していただきたいのですが、事業所利用開始月の翌月10日までに書類を提出いたしましょう。
※ 全額自費負担になるおそれがあります。
↓
ステップ3:受給者証を受け取る
1〜2週間の期間を経て、「上限管理」をお願いした事業所名が反映された受給者証が送られてくるので、それを受け取りましょう。
上限管理事業所がすること
ステップ1:他の事業所へ連絡をする
利用者さまから、「利用者負担上限額の管理依頼」を受けたら、他の事業所へ連絡をいたします。
↓
ステップ2:他の事業所から毎月3日までに「利用者負担額一覧表」を受け取る
上限管理事業所が、他の事業所から「利用者負担額一覧表」を受け取ります。
↓
ステップ3:他の事業所へ毎月6日までに「負担上限額管理結果票」を送付する
上限額管理事業所が、他事業所に対して「利用者負担上限額管理結果票」を送付します
これでで、複数事業所を利用していても、過度な負担がなく適切に請求処理をできるようになります。
↓
ステップ4:利用者さまへ「負担上限額管理票」を渡し押印をもらう
利用者さま・保護者などに交付して、署名押印を受け、1:他の事業所、2:利用者・保護者の方へ渡します。
利用者負担額1・2・3とは?
利用者負担額1
上限管理事業所で利用者負担額を充当したため、他事業所の利用負担は発生しない場合です。
つまり上限管理事業所のみが利用料を受け取ります。
事例:上限額4500円
・他の事業所の利用料: 5600円
上限管理の結果
・他の事業所の利用料: 0円
利用者負担額2
複数の事業所の負担額の合算が、利用者利用上限額より以下のため、調整事務は行わない場合です。
つまりそれぞれの事業所が、利用料の調整の必要がありません。
事例:上限額4500円
・他の事業所の利用料: 2000円
上限管理の結果
・他の事業所の利用料: 2000円
利用者負担額3
複数の事業所における負担額の合算が、負担上限月額を超過するため調整する場合です。
つまり、それぞれの事業所が利用料を受け取るが、それぞれで利用負担額の調整を行うことです。
事例:上限額4500円
・他の事業所の利用料: 2500円
上限管理の結果
・他の事業所の利用料: 700円(差額)
よくある質問
いつまでに利用者側は、市町村に上限額管理の事務依頼届を出せばいいですか?
答:利用開始月の翌月10日までに出してください。そうしないと全額負担の可能性があり、3割負担にならないかもしれません。
上限額管理事務所の名前が記載された受給者証はいつ届きますか?
答:市町村に申請してから1〜2週間後です。
上限額管理事務所は、なぜ他の事務所へ管理することを伝えるのですか?
答:利用者お一人の支給決定量(1ヶ月に利用できる回数)を超えないためです。同時に「利用者負担額一覧表」を作成してもらうことをお願いする意味もあります。
上限額管理を行うにあたって注意することは何ですか?
答:新規の利用者さまを受け入れる場合、他事業所を利用しているか確認することです。
なぜ他の事業所から「利用者負担額一覧表」を受け取る必要があるのですか?
答:対象である利用者さまお一人の、他の事業所における「総費用額」と「利用者負担額」を知るためです。
おわりに
・上限額管理の事業所は毎月3日までに他事業所から一覧表を受け取り、毎月6日までに結果票を送り返す
・新規利用者は、他の事業所に通っているかどうかをチェックする
戸根行政書士事務所からのお知らせ
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
・【まとめ】グループホームの人員配置の計算とは?初歩から注意点まで解説
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
・【詳解】サービス管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算とは?
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】利用者紹介のために紹介料を払う?利益供与の問題点と対策
・【基本】土曜日開業の注意点とは?人員配置等の問題を解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
・【必見】就労支援事業会計とは?会計区分や按分処理のポイント解説
・【注意】就労支援事業の積立金とは?余剰金を発生させない会計処理
・【注意】サービス管理責任者の更新研修の条件とは?
・【基本】サービス管理責任者の実務経験おすすめルートとは?
・【基本】「一体型」と「多機能型」の違いとは?事業拡大のチャンス!
・【大注目】令和5年サービス管理責任者の実務経験が6ヶ月に変更!
・【大注目】令和5年サービス管理責任者不在の猶予期間が2年に!
<工賃上昇のための体制づくり>
・【高収入】施設外就労支援の注意点とは?基本から間違えやすいミスまで説明
・【推奨】就労移行連携加算とは?オススメ活用事例あり
・【注目】就労移行支援体制加算とは?オススメ活用事例あり
・【注目】就労継続支援事業所に計画相談支援事業所を併設して収益アップ!
<工賃支払いを適正に管理する>
・【基本】就労継続支援B型:工賃支払いの注意点は?月ごとの手続き解説
<現状に応じた適切な事業所体制を作る>
・【基本】平均工賃月額の計算の仕方は?解説と注意点とは
・【重度】「重度者支援体制加算」とは?よくある間違いも解説
<工賃支払以外の参加・共感型の新体制を目指す>
・【令和3年】ピアサポート体制・実施加算とは?オススメ活用事例あり
・【令和3年】地域協働加算とは?オススメ活用事例あり
<処遇改善加算を適正に取得する>
・【基本】福祉・介護職員処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【基本】福祉・介護職員「特定」処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【注意】処遇改善加算・特定処遇改善加算の対象職種とは?注意点も徹底解説
・【注意】処遇改善キャリアパス要件を満たすとは?記述例・失敗例あり
・【基本】賃金改善の方法をわかりやすく解説:トラブル防止の注意点もあり
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】利用者紹介のために紹介料を払う?利益供与の問題と対策
・【基本】土曜日開業の注意点とは?人員配置等の問題を解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
・【義務化】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
・【義務化】身体拘束適正化委員会と「身体拘束廃止未実施減算」とは
<ここが知りたい!実地指導対策:就労継続支援A型編>
・実地指導、ここがチェックされる①!間違えやすいポイント解説
・実地指導、ここがチェックされる②!間違えやすいポイント解説
<ここが知りたい!実地指導対策:就労継続支援B型編>
・実地指導、ここがチェックされる①!間違えやすいポイント解説