
障がい福祉事業を始める物件で、消防設備は何が必要なのでしょうか?
開設したい障がい福祉サービスによって、又は開設予定の物件によって、必要とされる消防設備は異なっています。
そして注意したいのが、消防設備の要件を理解しないで建物を決めてしまうと、多額の費用がかかってしまうことです。
これまで弊所では多くの障がい福祉事業の設立をお手伝いして参りましたので、その経験をもとにご説明いたします。
目次
障がい福祉施設(カテゴリー1)に必要な消防設備

子どもの障害福祉:障害児入所施設
大人の障がい福祉:障害者支援施設 / 短期入所を行う施設 / 共同生活援助を行う施設
消防設備 | 条件 |
---|---|
消化器 | すべて設置 |
自動火災報知器 | すべて設置 |
火災通報装置 | すべて設置 |
スプリンクラー設備 | すべて設置 |
屋内消火栓設備(基準) | 700m²以上 |
屋内消火栓設備(2倍) | 1000m²以上 |
屋内消火栓設備(3倍) | 1000m²以上 |
障がい福祉施設(カテゴリー2)と必要な消防設備

子どもの障害福祉:児童発達支援センター / 児童発達支援施設 / 放課後等デイサービス施設
大人の障がい福祉:身体障害者福祉センター / 地域活動支援センター / 就労移行支援施設 / 就労継続支援施設
消防設備 | 条件 |
---|---|
消化器 | 150㎡以上は設置 |
自動火災報知器 | 入居・宿泊あり:すべて設置 入居・宿泊なし:300㎡以上は設置 |
火災通報装置 | 500㎡以上は設置 |
スプリンクラー設備 | 6000m²以上は設置 |
屋内消火栓設備(基準) | 700m²以上は設置 |
屋内消火栓設備(2倍) | 1400m²以上は設置 |
屋内消火栓設備(3倍) | 2100m²以上は設置 |
防火管理責任者を選ぶ

障がい福祉事業所は、そのサービスごとに必要な消防設備を選ぶだけでいいわけではありません。
次の要件に該当する施設では、「防火管理責任者」を選ぶ必要があります。
カテゴリー2(6項ハ)・・・収容人員30人以上
※障害者施設の収容人員は、従業員数と要保護者数の合計となります。
防火管理責任者は何をするの?
・消防計画の作成 ・消防計画に基づく消防訓練の実施 ・消防用設備等の点検及び整備 ・火気の使用又は取扱いに関する監督 ・避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理、収容人員の管理
自衛消防訓練をする必要性
防火管理者の選任義務のある施設では、年2回以上、自衛消防訓練を行う必要があります。年間の事業計画作成時などに、自衛消防訓練の実施時期・目的・内容を定め、計画的に実施いたしましょう。
備品は防火処理をする

障害者施設等は防炎防火対象物に該当します。それゆえに、使用する「カーテン」・「布製のブラインド」・「暗幕」・「じゅうたん」は、防炎処理を施したものを使用し、防炎表示 を付する必要があります。
※カーテンのように垂れ下がっているものは着火物となる危険があり、いったん着火すると、その火が天井まで駆け上がり、火勢が急速に拡大する危険性があります。それゆえに、一定の防炎性能を有しているものでなければ使用できないこととされています。
まとめ
・「防災管理責任者」が必要かどうか考える
・障がい福祉事業所で使用する備品を防火処理する
