就労継続支援の事業所を経営しております。数年たち、利用者も多く来て経営が安定してきました。
ただ事業所の収益をより上げるために、土曜日も開業して利用回数を増やそうと考えております。
就労継続支援の事業所で土曜日も開業する場合、経営で注意する点など教えてもらえるでしょうか?
就労継続支援の事業所で土曜日も開業すると、利用回数が増えて月毎の報酬単位も上がります。
ただ営業日を5日から増やすということは、人員配置など様々な面でリスクがあることにもご注意ください。
この記事では就労継続支援の事業者様の理解の一助になるように以下のような内容がわかるように説明いたします。
- 就労継続支援事業所の土曜日開業の注意点がわかります
- 土曜日を開業することで人員配置の気を付けるポイントがわかります
- 土曜日を開業することで利用者の特例の扱いの方法がわかります
目次
【就A/就B】土曜日開業の注意点とは?
就労継続支援A型やB型の営業時間やサービス提供時間は、事業者さま側で自由に設定できるので、土曜日を空けていても閉めていても問題ありません。
※ただし常勤1以上の配置なので週に5日営業することは原則です。
就労継続支援の事業所で土曜日も開所できるか自治体に問い合わせると、「可能です」という簡単な答えしか返ってきません。
土曜日の開所自体は難しくなさそうなのですが、就労継続支援の事業所としてどのような注意点があるか詳しく教えてもらえるでしょうか?
土曜日も営業することで週5日から週6日に変わる場合は、特に事業所の勤務体制に関して注意点があります。
忘れてはならないのは利用者さんにも特例の届出などしてもらうケースがあることです。
それでは就労継続支援の土曜日開業の注意点についてしっかり説明したいと思います。
土曜日にも人員配置:常勤職員に注意!
就労継続支援A型やB型で土曜日も開業する場合、土曜日にも人員を配置し、土曜も含めた日数で基準以上の人員配置を満たす必要があります。
<常勤職員の取り扱いに注意!>
常勤職員は週に5日の勤務が基本なので、土曜日も開業すると土曜日に直接支援のスタッフに入れることができません。
(例)常勤時間=週40時間、月〜金8時間/1日 → 土曜日のシフト不可
就労継続支援系のサービスで必要とされる常勤1のスタッフは土曜日には配置できず、非常勤の職員で運営することに留意いたしましょう。
よくあるトラブルは、常勤職員を週の常勤時間以上も配置して人員にカウントされず人員欠如の減算になる事例です。
児童系の障害福祉サービスと違って、日毎に保育士等を頭数揃える必要はありません。サービス提供に不備がない範囲で土曜日もふさわしい量のスタッフを配置いたしましょう。
(応用)土曜日の人員配置と施設外就労
就労継続支援A型やB型で土曜日も開業し「施設外就労」を実施する場合、平日と同じく「施設外に出向く利用者」と「事業所に残る利用者」の両方に報酬請求のための人員を配置する必要があります。
<土曜日に施設外就労をする注意点!>
常勤職員は土曜日にシフトに入れないので、少なくとも非常勤職員で主に運営する必要があります。
しかし「施設外就労に行った利用者数」と同数を事業所で受け入れる場合、人員欠如のリスクがかなり高まります。
施設外就労は就労継続支援の事業所にとって生産活動を高める有効な手段なので、土曜日も変わらず実施したいと思うはずです 。
しかし職員数をギリギリで回している事業所さんは特に、常勤職員が入れないので人員欠如が起こるリスクが高まることにご注意ください。
また施設外就労をさせてもらう企業との間で、土曜日も実施する旨の契約書の変更も忘れないよう注意致しましょう。
※全ての土曜日を開業しない方法
運営規程に開業日を月〜土曜にしておき、定休日に「事業所のカレンダーに別途よる」と加えると、事業所ごとで事前に開業しない土曜日を設定することができます。
ただし事前に利用者・従業者に周知させる必要があります。
土曜日開業のための事業所側の届出変更
就労継続支援A型やB型で土曜日も開業する場合、事業所で常備する体制に関わる書類や規程を変更して、必要があれば利用者から同意をもらう必要があります。
<土曜日開業に向けての書類整備の手順>
・運営規程に土曜日開業を記し、変更から10日以内に自治体に届け出をする
・重要事項説明書を変更して、土曜日開業と直し、利用者から同意を得る
・従業員に土曜日開業を説明し、次月からのシフト調整をする
土曜日を開業する変更は、支援に必要な職員を確保するシフト表の変更にもなるので、月初の1日から変更すると手続きが簡便になります。
利用者への土曜日開業の説明は、公平性の観点から全ての利用者に対して行い、正当な理由なく通所を拒んではいけません。
よくあるミスが変更した運営規程を掲示し忘れることなので注意致しましょう。
利用日数の特例の手続きが必要な利用者も?
就労継続支援A型やB型で土曜日も開業する場合、障害福祉サービスの受給者証に記載されている利用日数を超える利用者が出てくるので、特例申請の手続きをするケースがあるかもしれません。
<土曜日開業と利用日数に関する注意点>
土曜日を開業すると、月〜土の6日×4週=24日となり、一般的なサービス需給の上限22日を超えます。
※上限を超えても届け出をせずに請求するとトラブルになるので注意しましょう
就労継続支援の通所系は特にA型など毎日通所される利用者さんもいるので、土曜日開業の時は利用日数について改めて話し合うことをお勧めいたします。
利用日数の特例の届出は自治体によって厳しさが異なり、早期に手続き完了するケースもあれば時間がかかる時もあるのでご注意ください。
上限日数を超えた請求に関しても自治体に確認を取り不正と見做されないよう気をつけましょう。
まとめ
本日は就労継続支援の土曜日開業のポイントをご説明いただきありがとうございました。勉強になりました。
特に常勤職員が土曜日に配置できない可能性があることに注意し、あらためてシフト表を作り直したいと思います。
土曜日開業を検討する時にまず直面するのが、常勤職員を除いて人員配置できるかという点です。
特に施設外就労を実施している時は、通常より多くのスタッフを必要とすることがありますのでお気をつけください。
その他にも頻繁に通所する利用者さんに対しては日数の特例の届出をしてらもうようにお話しいたしましょう。
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