
「利用日数特例」の条件や注意点とは何でしょうか?
障がい福祉事業の運営者側としては、短時間でもいいから1日でも利用日数が増えれば給付額が増加するので、そのような状況を希望してしまいます。
けれども原則として、1人の障害者が1ヶ月に利用できる日数は上限があります。
ただし障がい福祉サービスの種類によっては、特例としてその上限を超えて利用することができます。
生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練を含み、宿泊型自立訓練を除く)、就労移行支援及び就労継続支援(A型・B型)
これはあくまでも特例なので、運営にあたって厳密にルールを守らないといけません。
この記事を読めば、初めての方でも「利用日数の特例」の活用方法が分かり、事業所経営が安定いたします。
「利用日数の特例」はあまり周知されていない論点で、何人かの事業所の方からも質問がありました。
特に給付額を増やすため何とか利用日数を増やすことを試みている事業所もありました。
また原則である「1人の障害者が1ヶ月に利用できる日数」を無意識に超えてしまっていると、監査指導の時にトラブルになるのでご注意ください。
そこで本日は「利用日数の特例」に関して、オススメ活用事例と共にしっかりとお伝えいたします。
目次
利用日数特例の条件とは?

原則である「1人の障害者が1ヶ月に利用できる日数」とは次のような数え方をします。
(月) | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
(上限日数) | 22日 | 23日 | 22日 | 23日 | 23日 | 22日 |
(月) | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
(上限日数) | 23日 | 22日 | 23日 | 23日 | 20日 | 23日 |
それでは、このような原則の利用日数を超えて利用できる特例は、どの程度許してもらえるのでしょうか?
そこで「利用日数特例の条件」を確認したいと思います。
条件

・特定する3か月以上1年以内の期間において、利用日数の合計が「原則の日数」の総和の範囲内であれば利用することができます
つまり、原則の日数を超えて利用できる期間「3か月以上1年以内の期間」が存在するということです。
そしてこの「原則の日数の総和の範囲内」とは、
その期間内の利用日数が269日(総和の範囲の最大値)であれば許される
ということです。
原則
例:
特例なし
269日(4月から翌年3月)
=269日(合計)
特例
例:
5月から翌年3月を特例にした場合の利用者の利用日数(特例)
22日(4月)+269日(5〜翌年3月)
=291日(合計)
原則の利用日数を超えても良い条件はこのように計算することができます。
ポイントは3ヶ月以上の期間なので、1ヶ月だけ利用日数を超える体制は認められない点です。
届出

このように利用日数を超えて利用者様にサービスを受けてもらうには、必ず届出をしないといけません。
原則としては認められていないので、超過した日数でサービスを提供してしまうと、利用者様や従業員とのトラブルの可能性もあります。
そこでポイントは利用日数うを超える計画をきちんと立てられているかどうかです。
・上限を超える期間においてどのような活動をするのか予定を立てる
・原則の日数を超えて活動せざるを得ないことがわかる事業に関する資料を添付する
このようにしっかりとした事業計画があれば「利用日数特例」を適用することができます。
利用日数特例の注意点とは

障がい福祉サービスの事業計画で、原則の利用日数を超えることが証明できれば上限以上の日数でもサービス提供することができます。
けれども実際に、原則日数以上の日程で営業していると、注意しなければ監査指導の時に思わぬトラブルに陥ってしまいます。
ポイントはやはり利用者と従業員の労働時間と契約体制です。
どの点に注意すれば、きちんと利用者と従業員を保護しつつ、原則の利用日数を超えても安定した障がい福祉サービスを提供することができるでしょうか?
利用者を法定の労働時間以上は働かせないようにする

特に就労継続支援A型は雇用契約を結んでいますので、利用者の労働時間の上限は決まっております。
例え利用者が通う日数が多くなると、利用者の労働する時間も多くなる可能性があります。
従業員を契約の労働時間以上は働かせないようにする

原則の利用日数を超えるということは基本的に、土日も利用者に対して支援することを意味します。
その時には当然、支援者であるスタッフも駐在しますが、雇用契約等でそのことが可能な体制になっているでしょうか?
雇用契約や労働条件通知書では基本的に土日が休みになっていることが一般的です。
それゆえに土日に利用者に対して支援するスタッフに関しては、土日も仕事ができる契約になっているか確認してください。
サービス提供記録を年間事業計画に即して記す

利用者が原則の日数以上に通われることは、
それだけ給付の請求できる単位も増えて給付額も増加すること
を意味します。
従って、しっかりとその原則以上の利用日数が必然的なものであると証明できないと、給付金目当てで恣意的に操作していると思われる危険性があります。
それゆえ、「利用日数特例」の届出の時に提出した事業計画に即して、利用者に障がい福祉サービスを提供することを心がけてください。
具体的には日々のサービス提供記録を、年間事業計画と照合させるよう作成することです。
特に届出の時に申告した「原則を超えた利用日数になる期間」に注意し、それ以外の時に原則以上の対応をしていないか注意してください。
その事業計画において、特例的な対応がどの程度必要で、どの程度意味があるものであるのか、定期的に確認することは、監査指導の時に厳しい目で見られることを避けられます。
まとめ

・利用日数特例の事態を証明する事業計画を立てて届出をする
・利用者や従業員の労働時間には注意する
・サービス提供記録を事業計画と照合させる
