児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、重度心身障害児への支援に特化した事業所です。ただ重心型の児発と放デイで医療的ケア児を受け入れて支援を行なった時、基本報酬等はどうなるのか請求の面で不安です。
そこでお尋ねしたいのですが、重度心身障害児型の児発と放デイで医療的ケア児を支援した場合の基本報酬等のポイントと注意点を、詳しく教えていただけますでしょうか?
重度心身障害児に特化した児童発達支援と放課後等デイサービスでも、医療的ケア児を受け入れて支援をすることは可能です。
ただし重心型の看護師配置との関係が難しく、実地指導でもしばし人員配置基準のトラブルになり困ることが多いです。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 重度心身障害児型を利用する医ケア児の報酬関係がわかります
- 重心型の児発/放デイの医療連携体制加算の注意点がわかります
- 重心型の児発/放デイの看護職員配置加算の注意点がわかります
★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
目次
重度心身障害児への支援の人員配置は?シフトの注意点を解説!
重度心身障害児の児童発達支援と放課後等デイサービスを利用する医療的ケア児の基本報酬等は、一般型と同じく「①医療的ケア児以外の基本報酬+医療連携体制加算」、もしくは「②医療的ケアに応じた基本報酬」のどちらかになります。
<医療的ケア児支援の報酬①と②のどちらを選ぶ?>
・一般型と同じく医療的ケア児が3人以上の場合は「②医療的ケアに応じた基本報酬」になります。
・上記の「3人以上」には医ケア児のみを数え、重心児は含みません。
※重心型で医療的ケア児を支援する人員配置の難しさ:看護職員の扱いについて
重心型では基本的に看護職員が営業時間を通じて配置されますが、その看護職員は医療的ケア児支援等の人員配置とみなすことはできません。
(職種) | (配置条件) |
嘱託医 | 1人以上。事業所不在でも問題はない。 必要があれば治療ができる状態にある。 |
看護職員 | 1人以上。営業時間を通じての配置。 |
児童指導員 又は保育士 | 1人以上。営業時間を通じての配置。 |
機能訓練担当職員 | 1人以上。機能訓練を行う時間帯のみ配置。 |
児発管 | 1人以上。営業時間を通じての配置。 |
重度心身障害児型の児発/放デイで医療的ケア児支援の基本報酬についてわかりました。
ただ実際に重度心身障害児型の児発と放デイで医療的ケア児を支援した場合、どのような看護職員の配置であればどのような報酬を請求できるでしょうか
重度心身障害児型の児発/放デイ運営で医療的ケア児を支援するポイントは、配置する看護師がどの報酬の人員配置か明確にすることです。
基本報酬や各種加算の看護職員配置の条件を混同していると実地指導でトラブルになってしまいます。
以下では重度心身障害児型の児発/放デイ運営で医療的ケア児を受け入れる各種パターンをわかりやすく説明いたします。
「①医療的ケア児以外の基本報酬+医療連携体制加算」のパターン詳しく
重心型の児童発達支援と放課後等デイサービスで医療的ケア児を支援し、「①医療的ケア児以外の基本報酬+医療連携体制加算」の請求をする場合、重心型の基本報酬で配置する看護職員が医療的ケア児に医療的ケアをすることで医療連携体制加算の要件を満たします(=加算用に別の看護職員は不要です)。
※医療連携体制加算の区分の考え方について
医療的ケアの支援対象は重心医ケア児の人数だけでなく、普通の医療的ケア児の人数を含めて、医療連携体制加算の区分を選びます。
例)利用時間:6時間/重心児と医ケア児:計4人 ⇨ 医療連携体制加算(V)の「3〜8人」を算定します
重度心身障害児型の児発と放デイで医療的ケア児を支援する場合、追加の人員配置をせずに医療連携体制加算なら簡単に取得できます。
ただし医療的ケア児支援の基本報酬は一般的な障害児と同じで高くないのでご留意ください。
また医療連携体制加算の区分を考えるための、障害児の数の計算ミスが多いので、注意いたしましょう。
「②医療的ケアに応じた基本報酬」のパターン詳しく
重心型の児童発達支援と放課後等デイサービスで医療的ケア児を支援し、「②医療的ケアに応じた基本報酬」の請求をする場合、重心型の基本報酬で配置する看護職員とは別に、医療的ケア児支援のための追加看護職員が必要になります。
※医療的ケア児支援の追加看護職員の配置について
基本的にはサービス提供時間を通じた配置で「1人」と数え、医療的ケア区分に応じた必要看護職員数より配置看護職員数が上回る必要があります。
よく見る間違いとしては、重心型の児発放デイで追加看護職員を配置せず、医療的ケア児に医療的ケア基本報酬を算定しているケースです。
ただ医療的ケア児支援の配置時間は営業時間を通じてではなくても問題ないのでお気をつけください。
重心型の医療的ケア児の基本報酬算定には、一般型と同じように必要看護職員配置数の計算が必要になるので準備が大切です。
「看護職員配置加算」との関係について
重度心身障害児型の児童発達支援と放課後等デイサービスでは、支援対象者のスコア合計に応じて「看護職員配置加算」を取得できますが、そのスコア合計に重心医ケア児のスコアだけでなく、一般的な医ケア児のスコアも合算することができます。
(種類) | (条件1) | (条件2) |
看護職員加配加算(I) | スコア合計40点以上 | 2人目以降の看護職員を常勤1以上 |
看護職員加配加算(II) | スコア合計72点以上 | 2人目以降の看護職員を常勤2以上 |
※医療的スコアの計算方法について
例)営業日数200日/16点の医ケア児180日/20点の医ケア児150日/32点の医ケア児100日
⇨(16点×180日+20点×150日+32点×100日)÷200日=45.4点→(I)を算定
<「①医療的ケア児以外の基本報酬+医療連携体制加算」+「看護職員配置加算」のポイント>
・重心医ケア児と医療的ケア児のスコアを合算します
・合算すれば「看護職員配置加算」のカテゴリーが変わる可能性があります
・重心型の基準看護職員に加えて、加算用の看護職員を配置します
<「②医療的ケアに応じた基本報酬」+「看護職員配置加算」のポイント>
・重心医ケア児と医療的ケア児のスコアを合算します
・合算すれば「看護職員配置加算」のカテゴリーが変わる可能性があります
・重心型の基準看護職員と医療的ケア児の看護職員に加えて、加算用の看護職員を配置します
<3種類の看護職員について>
・1:重心型の基準の看護職員/2:看護職員配置加算の看護職員/3医療的ケア児の基本の看護職員が想定されます
・3種の看護職員は配置時間に余りがあっても同一日に兼務することはできません
・ただ日ごとに別の種類の看護職員として配置することは可能です
重度心身障害児型の児発と放デイで医療的ケア児を受け入れつつ、「看護職員配置加算」を算定するには医ケア児の基本報酬パターンごとに要件を確認しましょう。
特に「②医療的ケアに応じた基本報酬」を算定していると3種類の看護職員の人員配置をコントロールする必要があるので、勤務体制一覧表には工夫が必要です。
その3種類の看護職員は同一日の兼務ができないので余裕を持った人員配置を備えておきましょう。
まとめ
重度心身障害児型の児発/放デイで医療的ケア児を支援する際の基本報酬と加算について詳しく分かりました。ありがとうございます。
事業所に配置できる看護職員の人数や勤務状況を見て、基本報酬から各種加算の組み合わせを再検討してみたいと思います。
重度心身障害児型の児発/放デイで医療的ケア児を受け入れる場合は、基本報酬や各種加算の組み合わせの様々な可能性があります。
ただ医療的ケア児の基本報酬を算定する場合は事前に指定権者への届出が必要ですのでご注意ください。 他にも医療的ケアスコアは1年に1回判定を更新する必要があるのでご留意ください。
重度心身障害児型の児発/放デイでしっかりと医療的ケア児も受け入れ、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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