★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和6年度の報酬改定の対応で悩んでいます。特に医ケア児と重心児の「送迎加算」に興味があるのですが、要件や報酬の関係がよく分かりません。
そこでお尋ねしたいのですが、令和6年度の児発や放デイの「送迎加算」について、運営ポイントを教えてもらえますか?
令和6年度の報酬改定は、児発と放デイを利用する医ケア児や重心児の支援の強化に努めました。
ただ医ケアや重心児は「送迎加算」を算定するために、それぞれ特別な配慮と要件が必要なので、実地指導でトラブルにならないよう注意いたしましょう。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和6年度の児発や放デイの「送迎加算」の概要がわかります
- 医ケアの「送迎加算」の算定ポイントがわかります
- 重心児の「送迎加算」の算定ポイントがわかります
【令和6年報酬改定】医ケアと重心の送迎加算とは?要件・注意点を解説
児童発達支援や放課後等デイサービスの「送迎加算」は、利用児童に対して居宅等と事業所等との間の送迎サービスを提供することで算定できますが、医ケアや重心の児童は特別の注意が必要になります。
(対象) | (単位) | (備考) |
障害児 | 54単位/回 | |
障害児+重症心身 | 94単位/回 | 基準職員(基準の直接支援員のみ)の付き添い必要 |
障害児+医療的ケア1 | 94単位/回 | 看護師等の付き添い必要 |
障害児+医療的ケア2 | 134単位/回 | 医療的ケアのスコア16点以上 看護師等の付き添い必要 |
<通常施設:重心の「送迎加算」について>
・通常の障害児では必須でない「基準職員の付き添い」が必要です
・つまりサービス提供時間中の配置が義務付けられている直接支援職員(保育士or児童指導員)のみです
・重心児童が同時に医ケア児である場合は看護職員の付き添いが必要になります
<通商施設:医ケアの「延長支援加算」について>
・医療的ケアのスコアの点数が16点以上か否かで94単位か134単位か変わります
・通常の障害児では必須でない「看護職員の付き添い」が必要です
・喀痰吸引の対応が必要な場合は認定特定行為業務従事者(届出者)の付き添いが必要です
・医療的ケアのスコアが16点以上の児童の送迎は安全な送迎体制の確保が必要です
(対象) | (単位) | (備考) |
障害児+重症心身 | 40単位/回 | 基準職員の付き添い必要 |
障害児+医療的ケア1 | 40単位/回 | 看護師等の付き添い必要 重心も兼ねている場合は重複算定できません |
障害児+重症心身+医療的ケア1 | 40単位/回 | 看護師等の付き添い必要 重心も兼ねている場合は重複算定できません |
障害児+医療的ケア2 | 80単位/回 | 医療的ケアのスコア16点以上 看護師等の付き添い必要 |
<通常施設:重心の「送迎加算」について>
・通常の障害児では必須でない「基準職員の付き添い」が必要です
・つまりサービス提供時間中の配置が義務付けられている直接支援職員(保育士or児童指導員)のみです
・重心児童が同時に医ケア児である場合は看護職員の付き添いが必要になります
<通商施設:医ケアの「延長支援加算」について>
・医療的ケアのスコアの点数が16点以上か否かで94単位か134単位か変わります
・通常の障害児では必須でない「看護職員の付き添い」が必要です
・喀痰吸引の対応が必要な場合は認定特定行為業務従事者(届出者)の付き添いが必要です
・医療的ケアのスコアが16点以上の児童の送迎は安全な送迎体制の確保が必要です
令和6年度の児発や放デイの「送迎加算」の概要についてわかりました。
ただ実際に医ケアと重心児を受け入れて「送迎加算」を算定する場合、どのようなポイントに具体的に気をつければ良いでしょうか
令和6年度の報酬改定は、児発や放デイにおける医ケアと重心児の支援の充実を目指しました。
ここで大事なのは、医ケアと重心児の送迎支援の人員配置と医療スコアの見極めになります。
以下では児発や放デイの「送迎加算」を効率よく運営するためのポイントをわかりやすく説明いたします。
医ケアの「送迎加算」のポイント
令和6年度の報酬改定より、児発と放デイでの医ケアの「送迎加算」は、看護職員を確実に配置することに加えて、喀痰吸引が必要か又は医療スコアが16点以上あるかの確認が大切です。
<看護師配置の調整のポイント>
・重心型の施設だと看護職員が常勤配置なので送迎に行って施設内に不在にならないよう注意する
・通常の施設では看護職員が基準職員になっていることもあるのでサービス提供時間に抜けないよう気をつける
・複数の医ケア児の送迎に時間がかかることもあるので残業時間の管理をしっかり行う
・喀痰吸引が必要な児童の場合、添乗する看護職員を認定特定行為業務従事者にしておくこと
<「医療スコア16点以上児童の支援のポイント>
・受給者証を確認して医療的ケア判定スコア16点以上かどうか証拠を取ること
・手続きに時間がかかる時は、主治医による16点以上の確認書を求めること
・安全な送迎体制の確立のために、マニュアル、研修、点検シートを用意しておくこと
医ケア児に対する「送迎加算」は、どのような配置の看護職員を、どの時間帯に送迎にあてるかが熟慮するポイントです。
送迎に出てしまい看護職員が不在の状態になると、減算対象になる可能性もあるのでご注意ください。
また喀痰吸引が必要な児童の送迎を行う看護職員が、認定特定行為業務従事者の届出をしていないことが多いので要注意です。
重心の「送迎加算」のポイント
令和6年度の報酬改定より、児発と放デイでの重心の「送迎加算」は、直接支援を担う基準職員の付き添いが必須になったので、シフトの組み方と送迎スケジュールの調整が大切になります。
<基準職員配置の調整のポイント>
・通常の施設だと基本的には、基準職員になっている保育士か児童指導員の配置が必要です
・つまり重心児に対して、サービス提供時間内に原則として送迎できないことになります
・重心型の施設の場合は、営業時間を超えてからの送迎サービスの実施ということになります
・・つまり残業前提のシフト組になり、従業員の方の予定を残業込みで抑えておかなければなりません
重心型の「送迎加算」を取得するには、基準職員である直接支援員が送迎にであれる時間という限定的な対応になってしまいました。
基本的にはサービス提供時間を避けなければならず、他の児童の送迎との調整は難しくなり、スケジュール組みを工夫する必要があります。
人事労務の面でも残業労働にあたれば割増賃金を払う必要があることに留意いたしましょう。
まとめ
令和6年度の報酬改定による児発や放デイの「送迎加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
医ケアや重心児でも「送迎加算」を取得したいので、充実したサービス提供体制を整えたいと思います。
令和6年度の報酬改定は、児発や放デイの医療ケア児や重心児の支援の充実に力を入れてきました。
特に人員配置の職種の選定や、勤務時間の管理の必要という事業所側の負担も増えていることに留意いたしましょう。 また「送迎加算」の報酬単位は、殆ど配置職員の人件費と同一なので、収益増の加算ではないことに注意することも大切です。
令和6年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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