疑問
皆様にお馴染みの「送迎加算」の条件と注意点とは何でしょうか?
障がい福祉事業の特に通所系は、ストレスなく利用者さんに通ってもらうために送迎は欠かせません。
ただ「送迎加算」を戦略的に活用することを考えておらず、有効活用していない事業所さまもいらっしゃいます。
そこで本日は「送迎加算」をより上手に使って事業拡大するコツもお伝えいたします。
この記事のポイント
・「送迎加算」の取得条件がわかる
・「送迎加算」を取得する上での注意点がわかる
・「送迎加算」を活用する方法がわかる
目次
送迎加算の単位と条件とは?
まず「送迎加算」を取りたいと思ったときに気になるのは、
「送迎加算」の単位ってどれくらいなの?
という点ではないでしょうか。
実は送迎加算は種類によって単位が異なるのです。
送迎加算の種類
①1回の送迎につき、当該月に平均10名以上(定員20名未満の事業所は1回の送迎につき当該月で平均的に定員の100分の50以上)
②週3回以上の送迎を実地
送迎加算I(21単位):左の条件の①と②を両方満たす必要があります
送迎加算II(10単位):左の条件の①と②のうち片方だけ満たす必要があります
加算取得の方法
・「送迎加算」の取得には、役所に対する届出が必要です(※送迎費用を請求する場合は加算額を超えた範囲に限定され、その旨を運営規程に記します)
・「送迎加算」を取得する際には 送迎記録などで記録を残しておくことが大切です
・「送迎加算II」から「送迎加算I」に変更する際には、変更届を忘れないことに注意してください
送迎加算の注意点と対策とは?
「送迎加算」は簡単な届出をするだけで、すぐに加算算定することができます。
その気軽さゆえに、きちんと送迎運営していないと実地指導の時にトラブルになる可能性があります。
そこで「送迎加算」を算定する上での注意点をご説明いたします。
運転者台帳をつける
・道路運送法施行規則第51条の16第1項の講習などの受講記録をする
・事故歴または道路交通法違反の状況をまとめる
・健康状態を把握する
特に送迎を担当する方の免許証の有効期限にはご注意ください。
もし更新をし忘れていた場合、送迎することが出来なくなってしまいますし、それでも送迎していたら大変なトラブルです(※新しく運転手の方を雇う場合は、事故歴にも気をつけてください)。
※よくあるトラブル
送迎する時の車両は法人所有の車をお薦めいたします。事故発生時に保険や賠償などトラブルになることが多々あります。
交通事故記録をつける
・事故の概要/原因を記録する
・再発防止対策を検討する
ほんの些細なことでも、事故などのトラブルがあれば記録してください。
送迎車がごまかしても、同乗する利用者さまが家族や行政などに通報した場合、厳しい監査の対象になってしまいます。
また事故などがあった場合には、どうして起こってしまったのかを検討し、再発防止に努めてください。
送迎加算のオススメ活用事例?
「送迎加算」は現在のご利用者にも適用できますが、せっかくですので「送迎加算」の体制を活用し、事業拡大のチャンスを考えてみましょう。
やや遠距離の方に利用してもらう
「送迎加算」を使えば、事業所から離れてお住まいの利用者様にも利用してもらえるチャンスがあります。
障がいをお持ちの方の中には、公共機関を使いたくない人もおられます。
そこで車でラクラク送迎も可能なことを積極的にアピールして、他地域からも利用者さんを獲得いたしましょう。
また雨の日など足が遠のいてしまう場合にも、送迎という手段は有効です。
体調がすぐれない方に利用してもらう
送迎という手段は、事業所に通うほどの元気がない利用者さんにとっても大切な存在です。
特に精神の障がいの方は、「事業所に通いたいけど外に出たくない、駅から歩きたくない」という時もあります。
そこで送迎の体制を活用して、どのような状態であってもスムーズに事業所に通ってもらう状態を作りましょう。
よくある質問
利用者の自宅からではなく、事業所最寄駅からの送迎でも加算を取得することができますか?
答:原則として利用者宅からの送迎が対象ですが、1:事前に利用者との合意があること、2:特定の送迎場所を決めておくことという条件があれば、利用者宅以外の送迎も対象になります。
サービス管理責任者でも送迎をすることができますか?
答:可能になる場合があります。ただしサービス管理責任者の業務に差し障りのない範囲での送迎に限ります。
※自治体に必ずご確認ください。
送迎は自転車や徒歩でも行うことができますか?
答:できません。基本は自動車での送迎になります。但し市町村によっては特例で認められる場合がありますのでお問い合わせください。
送迎する際の時間は常勤換算から外れてしまいますか?
答え:送迎時間も常勤換算に含まれます。生活支援員はもちろん、職業指導員・就労支援員でも送迎は支援業務の一環としてみられるので、常勤換算に含まれます。
まとめ
・月平均10名以上もしくは週3日以上の送迎(=「送迎加算II」)があれば加算対象(両方あれば「送迎加算I」になる)
・「送迎加算」は行政に対する届出が必要であり、送迎した際には記録を残していく必要がある
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