
悩み
「福祉専門職員配置等加算」の条件や単位とは何でしょうか?
「福祉専門職配置等加算」は開業後に、まずチャレンジしてみたい加算の一つです。
これまで弊所がいくつかの事業所様の顧問に就任したときに、意外と加算の取得のチャンスを逃しているところが多い印象です。
加算の算定要件を満たしていないと自治体とのトラブルになりますのでご注意ください。
この記事のポイント
・「福祉専門職配置等加算」の各種類について理解できます
・どの「福祉専門職配置等加算」が自分の事業所に合うか分かります
・「福祉専門職配置等加算」をどのように活用すればいいか分かります
<対象の障がい福祉事業>
生活介護、グループホーム、自立訓練、就労移行、就労継続支援A型B型、療養介護、放課後等デイサービス、児童発達支援など
福祉専門職員配置等加算の条件や単位は?

まず抑えておきたいポイントは、「福祉専門職員配置等加算」は届出が必要だということです。
それから「福祉専門職員配置等加算」は3種類あってそれぞれに加算の単位が異なります。
従業者の資格や勤務状況、勤続年数など様々な観点が条件になっております。
1種類ずつ条件と加算単位をまとめていきますのでご確認ください。

福祉専門職員配置等加算I(15単位/1日)
直接支援の常勤職員のうち有資格者35パーセント以上配置
福祉専門職員配置等加算II(10単位/1日)
直接支援の常勤職員のうち有資格者 25パーセント以上配置
福祉専門職員配置等加算III(6単位/1日)
直接支援の常勤職員を 75パーセント以上配置(※常勤換算方法で計算する)
又は「勤続3年以上(※加算申請の前月時点)の常勤職員」が 30パーセント以上配置セント以上配置
特に「福祉専門職員配置等加算」(III)を算定する場合、要件を満たしているかどうか、小まめなシフト管理が必要になってきます。
「福祉専門職員配置等加算」の配置要件は、従業員の実人数ではなく、それぞれの勤務時間をもとに常勤換算数に直して比率を確認いたしましょう。
またよくある間違いとして、目標工賃達成指導員や賃金向上達成指導員は「福祉専門職員配置等加算」の要件の母数に入らない点に気をつけましょう。
福祉専門職員配置等加算の「有資格者」とは?

特に「福祉専門職員配置等加算」の(I)と(II)の取得を検討する時には、重要なのは「有資格者」がどれくらい働いているのかを考える必要があります。
では「福祉専門職員配置等加算」を算定するのに必要な「有資格者」とは、どのような資格なのでしょうか?
それではしっかりと各サービスごとに条件となる「有資格者」について解説していきたいと思います。
「有資格者」の資格一覧

「福祉専門職員配置等加算」を算定するのに必要な「有資格者」とは次の通りです。
(資格名) | (備考) |
社会福祉士 | 自律訓練(機能訓練)ができます |
介護福祉士 | 自律訓練(機能訓練)ができます |
精神保健福祉士 | |
公認心理師 | |
作業療法士(new) | 自律訓練(機能訓練)ができます |
※令和3年度の報酬改定により「作業療法士」が、「福祉専門職員配置等加算」の「有資格者」の中に加えられました。
【新設】福祉専門職員配置等加算が変わった!作業療法士の活用事例あり
サービス別:有資格者の職種

次に「福祉専門職員配置等加算」の(I)や(II)を取得するために、各サービスごとのどの職種が「有資格者」であればいいかという点を整理していきます。
(サービス名) | (職種) |
就労移行支援 | 生活支援員、地域移行支援員 |
就労継続支援A.B型 | 生活支援員、職業指導員、作業療法士 |
共同生活援助 | 生活支援員、世話人 |
生活介護・療養会議 | 生活支援員 |
自立訓練(機能訓練) | 生活支援員 |
自立訓練(生活訓練) | 生活支援員 |
放課後等デイサービス・児童発達支援 | 児童指導員、保育士、障がい福祉サービス経験者 |
該当する障がい福祉サービスを確認し、そのサービスごとに「有資格者」が務めるべき職務についているかどうか、確認いたしましょう。
ただし就労継続支援B型の「目標工賃達成指導員」は有資格者として認められません。
「福祉専門職員配置等加算」のオススメ活用事例

「福祉専門職員配置等加算」は複数の種類があり、加算の種類(III)など比較的算定しやすいものだと思われます。
しかし種類(III)と種類(I)では約2.5倍の差があり、およそですが90円の差があります。
それが1人1日で90円の差でも積もれば大きくなってきますよね。
そこでオススメの活用事例としては、上の「有資格者」の多くの配置を目指す体制を作っていくことです。
処遇改善加算と組み合わせる

「福祉専門職員配置等加算」のオススメの活用事例は、「処遇改善加算」や「特定処遇改善加算」を取得している事業所です。
<「処遇改善加算」と職場の環境改善>
処遇改善加算のキャリアアップ要件の一つに資格取得支援があるので、その際に社会福祉士の資格取得への支援を組み込むことをお勧めいたします。
<「福祉専門職員配置等加算」と「特定処遇改善加算」の関係>
「福祉専門職員配置等加算」を取得していれば、「特定処遇改善加算」のカテゴリーがIになり加算率が向上いたします。特に「福祉専門職員配置等加算」(III)は単位数が低いですが、全体的に「特定処遇改善加算」のIを取得できると考えれば良いかもしれません。
このように「福祉専門職員配置等加算」は単独で考えるだけでなく、その事業所が社会福祉に相応しい体制に整えるよう努めると自然に有効活用できます。
処遇改善加算の要件を満たすことで、別の加算も視野に入れば、このような循環は事業所の経営を安定させます。

注意点:加算要件を満たしている体制の管理

いずれかでも「福祉専門職員配置等加算」を取得すると、加算要件を満たしているかを常に事業所側で管理する必要があります。
<報酬単位と管理事務のバランス>
特に福祉専門職員配置等加算の(III )は6単位=約60円で、10人利用していても1日600円=1ヶ月12,000円になり、事業所の経営を左右する額とは言えなくなります。
※注意:兼務の職員がいる場合は加算(I)(II)の母数から外れる
他のサービスと兼務の職員がいる場合、「福祉専門職員配置等加算」の(I)(II)の算定要件の母数となる常勤職員から、兼務職員は外れてしまうのでご注意ください。気づかない内に算定要件を満たしていないトラブルが散見されます。
「専門福祉職員配置等加算」の(III)を取得されるか検討する場合、管理事務の手間と自治体とのトラブルのリスクを考慮して辞退する事業所様もおられます。
また(III)の「常勤者数の割合」や加算の(I)と(II)を算定する場合、常勤の従業員の割合が変動することもあるのでお気をつけください。
いくら単位が小さくても加算を取得している以上、条件を満たしていないと返金の怖れがあるのでご注意ください。


よくある質問

「勤続3年以上」という条件は、これまでのキャリア通算の期間を言いますか?
答:同一法人内の勤続年数を指します。従って別法人で勤務した期間を合算することはできません。グループ会社であっても同様です。
「管理者」と「生活支援員」を兼務している場合でも加算はできますか?
答:できます。ただし、常勤時間を「生活支援員」として計算している場合に限ります。
多機能型の事業所の場合はどのように条件の「従業者の割合」を考えればいいでしょうか?
答:多機能型の事業所全体で、配置割合等の計算を行なってください。
福祉専門職員等配置加算のIとIIIなど複数のカテゴリーを重複して選択することはできますか?
答:複数の加算のカテゴリーを重複することはできません。
まとめ

・直接支援者の常勤が75%以上であるか、また勤続3年以上の生活支援員がいても加算は可能
・「処遇改善加算」との組み合わせがオススメです
戸根行政書士事務所からのお知らせ

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