日常生活支援情報提供加算とは?要件やオススメ活用事例も解説

令和3年度の報酬改定で新設された「日常生活支援情報提供加算」とは何でしょうか?

「日常生活支援情報提供加算」が対象とするのは次の障がい福祉サービスです。

  • 地域定着支援事業所
  • 自立支援事業所

この「日常生活支援情報提供加算」が目的とするのは、精神保健医療と福祉の連携の促進です。


この記事を読むと、「日常生活支援情報提供加算」の取得の仕方だけでなく、活用方法もわかり、事業所経営の方向性を整えることが出来ます


弊社は多くの地域相談事業所さまともお付き合いがありますが、「日常生活支援情報提供加算って何ですか?」という質問を度々受けました

特に「日常生活支援情報提供加算ってどのように活用するの?」という質問も多い印象です。

本日は「日常生活支援情報提供加算」の説明を通して、今後の行政から評価されやすい地域相談支援事業所のあり方をお話ししたいと思います。

日常生活支援情報提供加算とは?

「日常生活支援情報提供加算」とは、

「精神障害者が日常生活を維持するために必要な情報」を、精神科病院等に対して情報提供することを評価する(※あらかじめ利用者の同意を得る)

といった内容です。

そこで、

・届出は必要?
・利用者の情報とは?
・どのような体制を整備すればいいの?
・加算額はいくら?

などの疑問が出てくると思いますので一つずつ解説いたします。

届出は必要?

「日常生活支援情報提供加算」を算定するにあたってポイントは、

・算定開始の時に届出はいらない
・情報提供した時に届出が必要

という点です。

情報提供に関する様式は各自治体に用意されていますので、そちらをご覧ください。


ただ注意したい点は、

利用者さま1人につき月に1回が限度

ということです。

ですので、同じ利用者さまに関して提供したい情報が多くあるからといって、「日常生活支援情報提供加算」を月に複数回算定することはできません

利用者の情報とは?

「日常生活支援情報提供加算」を算定するに提供する「利用者の情報」とは、どのようなものでしょうか。

その「利用者の情報」は次の8点からまとめられます。

1 生活基盤について         :経済状況や住環境など
2 健康・身体について        :服薬、食事管理など
3 日常生活について         :生活動作など
4 コミュニケーションスキルについて :意思表示、会話の理解など
5 社会生活技能について       :対人関係、金銭管理など
6 社会参加について         :趣味、社会的活動など
7 教育・就労について        :仕事の現状など
8 家族支援について         :家族の現状など

どのような体制を整備すればいいの?

「日常生活支援情報提供加算」を算定するためには、利用者さまの情報を病院等に提供することになります。

しかし利用者さまの情報は秘匿性の高い個人情報ですので、扱いに注意しないといけません

そこで適正に「日常生活支援情報提供加算」を算定するために次のような体制を整えておくと安心です。

・連携先の医療機関から、提供した情報を医療目的のためだけに使用する同意書を得る
・利用者から、個人の情報を医療目的のためだけに使用する同意書を得る
・連携先の医療機関の名前/電話番号/住所を掲示する

加算額はいくら?

「日常生活支援情報提供加算」の加算額は、一人あたり1回の単位となります。

・100単位/回(月に1回を限度)

つまりおおよそ1回あたり1000円という計算になります

情報提供できる利用者さんが5人いたら、月あたり5000円になります。

日常生活支援情報提供加算の活用事例

「日常生活支援情報提供加算」は利用者の情報提供をして、月に1回限り1000円の額を受け取ることが出来ます

そのために役所へ情報提供の書類を提出しないといけないので、そのための時間と手数料と考えることもできるでしょう。

こうした手間と金額を念頭に置くと、

「日常生活支援情報提供加算」にどのような活用事例があるの?

という疑問が出てくると思います。

そこでオススメの活用事例を紹介いたします。

個別支援計画の適正化に役立つと評判

常勤換算 障がい福祉

「日常生活支援情報提供加算」を算定する体制ができれば、

個別支援計画に役立つ情報を提供してくれる事業所!

と地域の福祉コミュニティで評判を得ることが出来ます。

というのも、生活基盤から就労支援の現状まで、幅広く網羅した利用者の情報を整理しているからです。

特に計画相談支援事業所と連携すれば、個別支援計画の適正化に役立ち、地域でも評判を得て利用者の増加が見込めるでしょう

居住支援法人との連携

「日常生活支援情報提供加算」を算定するための利用者情報に、住まいの環境に関する内容も入っています

ですから、障がい者や高齢者の住宅確保を支援する「居住支援法人」との連携がスムーズになります。

これで何がメリットになるかというと、

・居住支援連携体制加算     :35単位/月
・地域居住支援体制強化推進加算 :500単位/回

と言った加算の取得が容易になるという利点があります。

【必見】居住支援連携体制加算とは?注意点やオススメ事例も解説
【オススメ】地域居住支援体制強化推進加算とは?オススメ活用事例も解説

「日常生活支援情報提供加算」を算定する体制を整えておくと、他の加算も取得できて事業拡大できるチャンスも広がるので、ぜひご検討ください。

まとめ

「日常生活支援情報提供加算」は、障がい福祉施設と医療機関の連携を促進させる狙いがあります。

障がい者の支援には医療的な配慮が欠かせず、そうした状態は日々変化していくので、医療機関との定期的な連携は欠かせません。

こうした病院との連携により個別支援計画も適正化し、地域の福祉ネットワークの中心になりましょう。

【必見】地域居住支援体制強化推進加算とは?オススメ活用事例も解説

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