放課後等デイサービスと児童発達支援を多機能型で開業する予定です。営業時間は既に決めているのですが、サービス提供時間の設定に悩んでいます。
そこで児発や放デイでサービス提供時間を適切に設定するポイントや注意点を教えていただけますでしょうか?
サービス提供時間の設定は人員配置や報酬単位に関する重要なポイントです。
サービス提供時間の設定によっては基準職員の配置を変更する必要があったり、報酬単位の変更により収支予定を変更したりする必要があります。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 児発/放デイのサービス提供時間の設定ポイントがわかります
- サービス提供時間の設定と人員配置の関係がわかります
- サービス提供時間の設定と報酬単位の関係がわかります
目次
【児発・放デイ】サービス提供時間の設定方法とは?人件費や報酬単位との適切な調整
児童発達支援と放課後等デイサービスの時間帯設定は、事業所を開所して営業している「営業時間」と、それとは別にサービスを提供する特定の時間帯にあたる「サービス提供時間」の二種類を設定する必要があります。
<「営業時間」の設定の注意点>
・営業時間は1日の常勤時間にしましょう
・営業時間を6時間未満にすると開所時間減算になります
・営業時間を8時間にしないと延長支援加算を取得できません
<「サービス提供時間」の設定の注意点(※重症心身児童の通所以外)>
・障害児の数が10までなら2以上の配置/10を超えれば5人ごとに1追加
・1人以上は常勤
・サービス提供時間を通じての配置 もしくは それかつ営業時間を通じて配置
<「営業時間を通じての配置」とは?>
「営業時間を通じての配置」とは、営業時間の開始時間から終了時間まで従事することを言います。
・基準職員の1人目は常勤であり、常勤は通常では「営業時間を通じて」配置します
・基準職員の2人目は1人でなく複数の人数で「営業時間を通じて」配置することができます
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基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準2人目 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
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基準1人目(常勤) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
基準2人目 | ● | ● | ● | ● | ||||
基準2人目 | ● | ● | ● | ● |
児発と放デイの「サービス提供時間」の設定の概要は理解いたしました。
ただ人員配置を適正にし、報酬単位も高くするために、「サービス提供時間」の設定をどのように検討していけば良いか具体的に教えてもらえるでしょうか?
「サービス提供時間」の設定は、どのように従業員を配置するか、どのくらいの単位を算定するかという点と関係します 。
適正に「サービス提供時間」を設定しないと実地指導でトラブルになります。
以下では具体的な例を示しつつ、児発と放デイの「サービス提供時間」の設定についてわかりやすく説明いたします。
ポイント1:人件費とのバランスを検討する
放課後等デイサービスや児童発達支援ではサービス提供時間の間中、(利用者が10人までだと)保育士または児童指導員を2人以上のスタッフを配置する必要があるので、サービス提供時間が長くなれば人件費も増える可能性があります。
<サービス提供時間と人件費の関係の注意点>
・2人のうち1人は非常勤職員でも可能なので時給での支給も可能です
・人員配置を減らして経費削減しようとしても1日の常勤時間以下にすることはできません
児発や放デイは受入児童の家庭に様々な事情があるので、サービス提供時間を延ばすことを求められがちですが、延びれば人件費も高くなるリスクもあります。
基準職員を何名で回すかは事業所様の状況によりますが、2人未満になると人員欠如の減算になる可能性があるのでご注意ください。
サービス利用の需要と経費のバランスについて、出来るだけ両方の希望を満たせるよう調整いたしましょう。
ポイント2:報酬単位の適正な設定を検討する
放課後等デイサービスや児童発達支援にてサービス提供時間を設定する場合、その時間の長さによって基本報酬単位が減額になったり、更に基本報酬単位として認められさえしなくなります。
<サービス提供時間ごとの報酬単位の変動について>
・3時間未満:「3時間以上」と比べると報酬単位は下がります
・30分未満:サービス提供とは認められなくなり報酬単位は無しです(欠席時対応加算は使えます)
サービス提供時間の上限下限はないとは言え、時間数だけ短くすれば良いとの考えだけに依拠すれば基本報酬単位が下がるリスクがあります。
特に3時間という報酬単位が変動する基準について注意してサービス提供時間を設定してください。
サービス提供時間を短くした方が経営的に都合が良いですが、もちろん利用者さんの要望があれば積極的に変更されることをお勧めいたします。
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
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<スタッフ配置に関する加算>
・【基本】児童指導員等加配加算とは?取得条件や注意点も解説
・【注意】児童指導員等加配加算と従業員シフト配置の可否について解説
・【確認】特別支援加算とは?条件やおすすめ活用法も解説
・【お勧め】専門的支援加算とは?条件や注意点も解説
<多機能型の配置のパターンを解説>
・【基本】これだけは覚えておきたい!児童系の人員配置の基本
・【必見】児童系多機能型の人員配置について
・【確認】児童指導員等加配加算と適正なスタッフの配置について
まとめ
児童発達支援と放課後等デイサービスでの「サービス提供時間」の設定のポイントが分かりました。ありがとうございます。
従業員の勤務状況などを考慮して適正に「サービス提供時間」を設定したいと思います。
児童発達支援や放課後等デイサービスの「サービス提供時間」の設定は、まず利用者の児童がいつ支援を必要としているのかという需要を軸にお考えください。
人件費や報酬単位の変動を考慮し、経営効率的にだけ考えれば3時間10分などが適正な設定になるでしょう。ただし「サービス提供時間」を短くしたところで児童が集まらないケースがあるのでご注意ください。
適正に「サービス提供時間」を配置すれば、利用者さんや自治体からも信頼されて事業所の経営の安定につながるので、ぜひ要件をしっかり守って信頼ある組織を作りましょう。
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※まとめ:児発・放デイの相談支援系の加算の一覧
1 事業所内相談支援加算:事業所内で個別/グループに相談援助を行う(月に1回)
2 家庭連携加算:自宅訪問をして本人/家族に相談援助を行う(月に4回)
3 関係機関連携加算:関係機関と連携して相談援助を行う(月に1回)
<スタッフ配置のパターンを解説>
・【基本】これだけは覚えておきたい!児童系の人員配置の基本
・【基本】基準職員「営業時間を通じての配置」とは?
・【必見】児童系多機能型の人員配置について
・【確認】児童指導員等加配加算と適正なスタッフの配置について
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
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<スタッフ配置に関する加算>
・【基本】児童指導員等加配加算とは?取得条件や注意点も解説
・【注意】児童指導員等加配加算と従業員シフト配置の可否について解説
・【確認】特別支援加算とは?条件やおすすめ活用法も解説
・【お勧め】専門的支援加算とは?条件や注意点も解説
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