障がい福祉事業を行なっていて、人員欠如やサビ管欠如のことに不安を覚えています。
スタッフ間にトラブルがあり、いつ辞めるか心配です。
サービス管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算のマイナス割合はどうやって計算するのでしょうか?
障がい福祉サービスの提供責任者や支援計画が無ければ、適正な福祉事業は期待できないとみなされていまします 。
行政もサビ管の欠如や支援計画の未作成には厳しい対応を取り、最悪の場合取り消しの可能性もあります。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下のような内容がわかるように説明いたします。
- 各種減算がいつ、どの程度の割合でかかるのか理解することができます
- 各種減算にならないための注意点がわかります
- 自分の事業所で減算になった場合のシュミレーションができます
目次
サービス管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算の割合と時期は?
サビ管減算や個別支援計画未作成減算の割合は、まとめると次の通りです。なお減算の対象となる単位数は、各種加算が追加される前の単位数になります。
・サービス管理責任者欠如減算:所定単位の30%減(5ヶ月目から50%減)
・個別支援計画未作成減算 :所定単位の30%減(3ヶ月目から50%減)
これだけ見るとわかりやすいのですが、複雑になるポイントは以下の通りです。
- 個別支援計画未作成減算は、人員欠如減算と同時に算定されることがある
- サビ管減算や個別支援計画未作成減算の算定タイミングが異なる
そこでサビ管欠如の減算や個別支援計画未作成の減算の適用が開始するタイミングを理解しておくことが大切です。
以下では、具体的な事例をお示ししながら減算のタイミングと解除の時期についてしっかり解説していきたいと思います。
減算算定のタイミング
サビ管減算や個別支援計画未作成減算の算定タイミングは、次のようにまとめられます。
・サービス管理責任者欠如減算:欠如した月の翌々月から欠如が解消された月まで
・個別支援計画未作成減算 :未作成月から解消された月の前月まで
<減算算定のタイミングのポイント>
・個別支援計画未作成減算はすぐに開始し、他方でサビ管不在減算は2ヶ月のタイムラグがあります
・サービス管理責任者の不在は、同時に個別支援計画不在の減算も算定されませんが、人員欠如減算は同時に計画不在減算も算定される可能性があります
・サビ管不在中の新規利用者は、すぐにサビ管減算が適用されます
・サビ管不在でも個別支援計画の有効期間が過ぎていなければ個別支援計画不在の減算は適用されません
サビ管がいないと個別支援計画も作れないので、別に個別支援計画の未作成減算は適用されないということになっています。
減算の算定のタイミングは混乱しやすいので、しっかり日付を裏付ける書類を用意して、いつから減算になるか確認することが大切です。。
※サビ管が有給でなく欠勤した場合(病欠など)の注意点
サビ管の人員基準の常勤換算から1割未満の欠如だと容認されます。ただ1割を超えるとサビ管欠如減算の可能性があるのでご注意ください。
事例1:サビ管が5月10日に退職
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | |
所定単位 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
サビ管欠如減算 | 無 | 無 | ×70% | ×70% | ×70% | ×70% | ×50% |
減算適用単位 | 100 | 100 | 70 | 70 | 70 | 70 | 50 |
※平成31年の報酬改定では、サビ管欠如減算と個別支援計画未作成減算が同時に算定できていたので令和3年度版と混同がないようにご注意ください。
事例2:5月10日から支援計画不在、10月3日作成
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | |
所定単位 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
計画不在減算 | ×70% | ×70% | ×50% | ×50% | ×50% | 無 | 無 |
減算適用単位 | 70 | 70 | 50 | 50 | 50 | 100 | 100 |
※よくあるケース:
・個別支援計画の更新を忘れる(→「作成日」に注意し更新づきを記録してください)
・モニタリングや個別支援会議を行なっていない
事例3:5月10日から支援計画不在、6月から人員欠如
- 10月3日に個別支援計画作成
- 10月に人員欠如が解消される
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | |
所定単位 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
計画不在減算 | ×70% | ×70% | ×50% | ×50% | ×50% | 無 | 無 |
人員欠如減算 | 無 | ×70% | ×70% | ×50% | ×50% | ×50% | 無 |
減算適用単位 | 70 | 49 | 35 | 25 | 25 | 50 | 100 |
※よくあるケース:
・必要な人員配置基準の計算を行なっていない
・スタッフが足りずモニタリングや個別支援会議を行なっていない
サビ管欠如減算と計画未作成減算にならないための注意点!
サビ管欠如減算と計画未作成減算の割合とタイミングがわかると、最悪の場合をシミレーションできるので一安心でしょう。
それでも減算は避ける方がベストなので、次にサービス管欠如減算と計画未作成減算にならないための注意点を説明いたします。
未然に防ぐ対策から、欠如になった場合の次善策をしっかり解説していきます。。
サビ管欠如減算を防ぐポイント
サービス管理責任者欠如減算を避けるためには、サビ管を辞めさせないための労働環境の整理が大事です。
※サビ管を辞めさせない環境づくりのポイント
・処遇改善加算を取得し賃金を上げる
・人事異動や配置転換をし働きやすい人間環境を作る
・業務効率化を促進するため新しいシステムを導入する
・キャリアアップの研修の機会を設ける
それでも仮にサービス管理責任者が退職するのでしたら、翌月末までに後任のサビ管を探す必要があります。
ただしサビ管が退職した月が個別支援計画の更新月だった場合、その月から個別支援計画未作成の減算が開始しますのでご注意ください。。
やむを得ない理由に当てはまるか
例えサービス管理責任者が不在になっても、その不在になった理由が「やむを得ない理由」に当てはまるのなら、行政の許可を得て1年間は代役を立てることができます(=減算無し)。
<「やむを得ない理由」とは>
・死亡
・失踪
・急な病気やケガ
・事故
ただ最終的に「やむを得ない理由」に該当するかどうかは、自治体の裁量次第になります。
もし自治体が「やむを得ない理由」を容認した場合は、経験者や資格保有者がサービス管理責任者を代務できます。
ただし代務は1年限りで延長はないのでご注意ください。
いざサビ管がいなくなったら?
もし障害福祉事業所でサービス管理責任者がいなくなったとしたら、すぐ緊急に新しいサビ管の募集を行うと共に自治体に届け出が必要です。
<いつまでに新しいサービス管理責任者を用意すればいいのか>
欠如になった月の翌月末までにサビ管を新しく配置すれば、サービス管理責任者欠如減算にはなりません。
※自治体への届出の注意点
・運営規程の変更を忘れずに行う
・勤務体制一覧表も提出し、サビ管の人員を省いておく
・重要事項説明書も変更し利用者さんに伝えて同意をもらう
サビ管補充のタイムラインは「翌月の末日」であり、その時点で新しいサビ管を配置している証拠に雇用契約書の日付を確認いたしましょう。
ただ地域によってはサビ管募集が容易でないところもあり、ある程度時間がかかることも想定しておくことが大切です。
自治体にサビ管欠如の届出を忘れずに行い、新しいサビ管がいつ採用できるかの見込みなど丁寧に話し合っておきましょう。
※サービス管理責任者を雇用しやすいコツ
求人情報などを見て他の事業所より高い給与に設定しましょう。特定処遇改善を取得して給与の上乗せを計算して設定することも可能です。
福利厚生や働きやすい時間設定を行うことも募集に成功するポイントです。
計画未作成減算を防ぐポイント
個別支援計画の未作成減算を避けるためのポイントは、利用者さん全員の個別支援計画の更新月に注意することが大切です。
※個別支援計画の更新月について
3カ月に1回以上:就労移行支援など
6カ月に1回以上:共同生活援助、生活介護、就労継続支援A型、就労継続支援B型、放課後等デイサービスなど
<もしサビ管が辞める場合の対策とは>
サビ管が辞める前に、モニタリングを行い利用者全員分の個別支援計画を作成し直すように指示を出しておきましょう。
そうすると先の6ヶ月(又は3ヶ月)まで個別支援計画未作成の減算にはなりません。
※個別支援計画を未作成でサービス提供をした場合
1ヶ月以内に個別支援計画を作成するようにいたしましょう。未作成で支援をしていても数日以内だと減算になりません。
個別支援計画を作成する期間が「6ヶ月以内」ということは、1月1日に作成なら5月31日までに、作成・交付・同意を終えておくことです。
サビ管が個別支援計画のスケジュールを分かっていて共有されていないこともありますので、サビ管が辞める前に確認し減算にならないよう対策を立てましょう。
減算になれば報酬単位も減るだけでなく、利用者とのトラブルになるので出来るだけ避けるようにいたしましょう。
まとめ
サビ管減算や個別支援計画未作成減算は、障がい福祉事業所の運営にとって大きなマイナスです。
ただ減算となる状況になった場合、それを隠さずに、被害を最小限に食い止めるよう対策を練りましょう。
そのために減算の割合やタイミング、それの防止策を踏まえていれば役立つはずです。
※注意点
サビ管減算を適用する場合、様式5と様式5の別紙1で役所にその旨を報告することを忘れませんように。
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