就労継続支援A型事業所を運営していますが、利用者数が増えてきて定員を超える日が何日か出てきました。定員を超えてしまい「定員超過減算」になるのが怖いので定員変更も検討しています。
そこで就労継続支援A型やB型で定員を超過しても収益アップできる対策について解説してもらえないでしょうか?
就労継続支援A/B型事業所は利用者数の通所回数が増えるほど収益がアップします。
しかし利用者が増えて定員をオーバーしてしまうと、減算になったり実地指導でトラブルになったりと問題が起きてしまいます。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 就Aと就Bの定員超過と収益アップの関係がわかります
- 就Aと就Bの定員超過のリスク管理がわかります
- 就Aと就Bの定員超過に対する施設外就労や加算の使い方がわかります
目次
定員超過と収益アップの注意点とは?施設外就労の上手な使い方を解説
就労継続支援A/B型事業所で利用者数が増えた時の悩みは、「定員超過減算」を避けるために定員増加を検討するも、定員増加をすれば報酬単価が下がり、人員配置基準が厳しくなることです。
<利用者増における問題について>
・定員を変更しない → 「定員超過減算」の可能性
・定員を変更する → 報酬単価の減額 and 厳しい人員配置
(定員超過減算) | (条件) | (減算割合) | (減算期間) |
パターン1 | 1日に定員50%超 | 所定単位の70% | 当該1日 |
パターン2 | 3ヶ月平均で定員25%超 | 所定単位の70% | 1ヶ月間 |
就労継続支援A型とB型で定員を超過した場合の問題の概要について理解することができました。
ただ収益をアップさせたいし、他方で減算や実地指導の時にトラブルにもなりたくない場合、定員が増え続けても持続して収益アップできるポイントはあるでしょうか?
就Aと就Bで定員を超過しそうになっても収益アップできるポイントは減算の仕組みを知ることと、他の制度の理解が大切です。
定員を超過してしまう段階で実地指導の時には基準違反の確認をされるのでご注意ください。
以下では定員超過と収益アップのポイントをわかりやすく説明いたします。
定員超過→即 減算ではない
就労継続支援A型事業所B型事業所にて定員を超過すると「定員超過減算」のリスクがありますが、定員を1名超えたからと言って即座いに減算が適用されるわけではありません。
<「定員超過減算」の対策の管理のポイント>
・1日あたり定員の50%増までを上限とする
・1日あたり定員の25%増になった日が連続しないように注意する
・定員を超えてもその理由と十分な人員配置があったことを裏付けておく
就労継続支援A型や就Bで一定数の定員超になっても直ちに「定員超過減算」とはならないので、定員のコントロールが大切です
しかし定員を超えていれば即座に減算にならないとは言っても、定員を超えた基準違反ではあるので実地指導の時に指導はされます。
定員を超えた日は明確にその理由を説明できるようにしておき、利用者に不利益がない程度の十分な従業員がいる体制を整えておきましょう。
施設外就労を利用して定員×2の受入
就労継続支援A型事業所B型事業所で「施設外就労」を実施すれば、施設外就労に派遣する人数と本体人数の合計を定員数の2倍の範囲内に収めて運用することが可能です。
<就A・就B「施設外就労」の利用のメリット>
・定員数を変更することなく、定員の2倍の利用者を受け入れることができる
・報酬単価が下がることなく、定員の2倍の利用者を受け入れることができる
・翌年から人員配置を2倍にすることなく、定員の2倍の利用者を受け入れることができる
就Aや就Bで外部の企業と請負契約を結んで施設外就労を実施できれば、定員変更のデメリットを避けて2倍の利用者数を受け入れられます。
ただし施設外先に行って本体に戻ってきた利用者数を、翌年の平均利用者数に加算するかは自治体によって判断が変わりますのでご注意ください。
その他にも「施設外就労」を適正に実施するにはルールがいくつもありますのでご注意ください。
一般就労へ移行させて加算を取得する
就労継続支援A型やB型で定員超過が見込まれた場合の対策として、積極的に一般就労への意向を支援して利用者数から除いていけば、翌年から「就労移行支援体制加算」を算定できて収益増を見込めます。
<就A・就B「就労移行支援体制加算」の利用のメリット>
・利用者数は減るが、翌年1年間も加算を算定できる可能性がある
・定員超過しないように利用者数をコントロールできるので実地指導も安心
・定員超過をしないので翌年の平均利用者数が急増せず人員配置も余裕ができる
就Aや就Bで定員超過しないための利用者数のコントロールは一般就労へ移行させてバランスを取ることです。
ただし6ヶ月の職場への定着があって初めて「就労移行支援体制加算」を取得できるので、職場定着の支援をきっちり行うことがポイントです。
特に就Aでは一般就労へ移行しやすいので利用者さんにヒアリングしておき予め就労移行を確認しておきましょう。
まとめ
就労継続支援A型とB型の定員超過と収益アップのポイントについて詳しく分かりました。ありがとうございます。
定員が超過してくる可能性がある前に、事前に施設外就労を実施できるよう準備して対策を取ります。
就労継続支援A型とB型で定員を超過した場合、それだけでも基準違反として問題ですが「定員超過減算」にならないようにご注意ください。
そして施設外就労の実施を検討し、事業所本体の受け入れ人数の一部を施設外へ回せば定員超過の問題は解決されます。 その他にも一般就労へ利用者を移行させれば定員数をコントロールできる他、「就労移行支援体制加算」による収益増も狙えるのでおすすめです。
就Aと就Bで定員が超過する可能性があれば、しっかりと法令等を守る対策や別案を検討して、しっかりと自治体や利用者さんから評価される組織を作りましょう。
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