【令和6年報酬改定】医ケアと重心の延長支援加算とは？要件・注意点を解説

2024.8.3
人員配置, 運営支援

　　　　　　　　　★★★記事執筆者のご紹介★★★
　この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
　戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。

　児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和６年度の報酬改定の対応で悩んでいます。特に医ケア児と重心児の「延長支援加算」に興味があるのですが、要件や報酬の関係がよく分かりません。
　そこでお尋ねしたいのですが、令和６年度の児発や放デイの「延長支援加算」について、運営ポイントを教えてもらえますか？

　令和６年度の報酬改定は、児発と放デイを利用する医ケア児や重心児の支援の強化に努めました。
　ただ医ケアや重心児は「延長支援加算」を算定するために、それぞれ特別な配慮と要件が必要なので、実地指導でトラブルにならないよう注意いたしましょう。
　この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。

令和６年度の児発や放デイの「延長支援加算」の概要がわかります
医ケアの「延長支援加算」の算定ポイントがわかります
重心児の「延長支援加算」の算定ポイントがわかります

1 【令和6年報酬改定】医ケアと重心の延長支援加算とは？要件・注意点を解説
- 1.1 医ケアの「延長支援加算」のポイント
- 1.2 重心の「延長加算」のポイント
2 まとめ
- 2.1 戸根行政書士事務所からのお知らせ

【令和6年報酬改定】医ケアと重心の延長支援加算とは？要件・注意点を解説

　児童発達支援や放課後等デイサービスの「延長支援加算」は、利用児童の預かりニーズに対応することで、通常の支援時間を超えた時間数に応じて延長支援を行うことで算定できますが、医ケアや重心の児童は特別の注意が必要になります。

（延長支援時間)	①障害児の単位数	②医ケア・重心の単位数
延長1時間以上2時間未満	92単位／日	192単位／日
延長2時間以上	123単位／日	256単位／日
(医ケア)延長30分以上1時間未満 (重心)1時間未満	61単位／日	128単位／日

＜医ケアの「延長支援加算」について＞
・営業時間を６時間以上に設定する必要があります
・支援時間は５時間以上（ただし平日放デイのみ３時間以上）必要です
・最低１時間以上の延長支援が必要です（※本人都合で30分以上でも可）
・看護職員等を１名以上配置させます（※医療機関との連携があれば雇用配置は無しでも大丈夫です）
・ただし延長時間全てに看護職員を配置する必要はありません
・常勤職員の残業時間で対応することが可能です

＜重心の「延長支援加算」について＞
・営業時間を８時間以上に設定する必要があります
・職員は２名（うち１名は基準人員）を配置してください
・常勤職員の残業時間で対応できます
・本人都合でなくても１時間未満の延長支援で請求できます

　令和６年度の児発や放デイの「延長支援加算」の概要についてわかりました。
　ただ実際に医ケアと重心児を受け入れて「延長支援加算」を算定する場合、どのようなポイントに具体的に気をつければ良いでしょうか

　令和６年度の報酬改定は、児発や放デイにおける医ケアと重心児の支援の充実を目指しました。
　ここで大事なのは、医ケアと重心児の延長支援の「２人人員配置」をいかに適切に確保するかです。
　以下では児発や放デイの「延長支援加算」を効率よく運営するためのポイントをわかりやすく説明いたします。

医ケアの「延長支援加算」のポイント

　令和６年度の報酬改定より、児発と放デイでの医ケアの「延長支援加算」は、配置職員２人のうち１人を看護職員とすれば良いのですが、必ずしも毎日看護職員が配置されているとも限らないのでその臨時的な場合の対応に注意が必要です。

＜医ケアの延長支援：看護師配置の調整のポイント＞
・個別支援計画の作成時に、看護職員が確実に配置できる日に延長支援を設定する
・特に喀痰吸引が必要な児童は、看護職員が延長時も配置できないなら他事業所と併用を検討した方が良いです
・地域の訪問看護ステーションから看護職員を派遣してもらえるよう調整する

　令和６年度以降の「延長支援加算」は一般障害児も医ケア児も殆ど変わりませんが、看護職員の延長時の人員配置が必要な点だけ大きく異なります。
　医ケア児の基本報酬を算定している場合は看護職員が勤務している場合が多いですが、医ケアでも通常の基本報酬を取りつつ医療連携体制加算を算定するパターンは、延長時まで看護職員がいないことが多いです。
　特に喀痰吸引を必要とする児童の延長支援は看護職員が欠かせないので、保護者と相談してトラブルのない延長支援の実施日を決めておきましょう。

重心の「延長加算」のポイント

　令和６年度の報酬改定より、児発と放デイでの重心の「延長支援加算」は、殆ど報酬改定前と変わりませんが、必要支援人数が２人になり人事労務の管理により注意が必要になります。

＜重心の延長支援：残業職員の人事労務のポイント＞
・１分でも延長支援加算を算定できますが、常勤職員なら残業扱いになります（＝残業料率を給与に乗せます）
・１時間未満だと１２８単位(≒1,280円)で２人分だと一人の人件費にさえ満たしません
・１時間未満の利用の場合は最低２人は延長支援しないと赤字になります

　重心型の「延長支援加算」は従来と殆ど変わりませんが、延長支援に２人も配置する必要があり人件費の負担が気になるところです。
　延長支援加算の対象児童が１人だと赤字が続くので、他の児童と調整して複数児童を延長支援する方が効率的です。
　人事労務の面でも残業労働にあたれば割増賃金を払う必要があることに留意いたしましょう。

まとめ

　令和６年度の報酬改定による児発や放デイの「延長支援加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
　医ケアや重心児でも「延長支援加算」を取得したいので、充実したサービス提供体制を整えたいと思います。

　令和６年度の報酬改定は、児発や放デイの医療ケア児や重心児の支援の充実に力を入れてきました。
　特に人員配置の職種の選定や、勤務時間の管理の必要という事業所側の負担も増えていることに留意いたしましょう。また「延長支援加算」の報酬単位は、殆ど配置職員の人件費と同一なので、収益増の加算ではないことに注意することも大切です。
　令和６年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。