★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
就労継続支援A型事業所を運営していますが、令和6年から基本報酬を決めるスコア表の配点とカテゴリーが変わったと聞きました。特に新設された「VII 利用者の知識・能力向上」を取得するために、どうしたらいいか悩んでいます。
そこでお尋ねしたいのですが、就労継続支援A型事業所のスコア「VII 利用者の知識・能力向上」を効率的に取得できるポイントなど、詳しく教えていただけますでしょうか?
令和6年度の報酬改定で就労継続支援A型事業所の制度は大きく変わります。
適切に就A事業所の支援力を測定するために、 利用者への独自の資質向上支援を評価する「VII 利用者の知識・能力向上」というカテゴリーが生まれました。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 就労継続支援A型スコアの「VII 利用者の知識・能力向上」の概要がわかります
- 効率的に「VII 利用者の知識・能力向上」を取得するためのポイントがわかります
- 「VII 利用者の知識・能力向上」の報告書の作成て手順がわかります
目次
【令和6年:就A】スコア表(VII)の解説!「 利用者の知識・能力向上」の要件と根拠資料は?
令和6年度の報酬改定により、就労継続支援A型のスコア表に新しい項目「VII 利用者の知識・能力向上」が追加され、利用者の自立生活のために「一般就労に向けた知識・能力の向上に向けた支援」を行った場合にスコアが加点されます(※報告書の作成と提出と公開が必要です)。
<なぜ「VII 利用者の知識・能力向上」の点数が大切か>
基本報酬を決めるスコアの点数に関して、令和6年度報酬改定はスコアの「III 多様な働き方」と「IV 支援力向上」の配点を減らしました(35点→15点)。
☞そこで稼ぎやすい「V 地域連携活動」の他に、「VII 利用者の知識・能力向上」も基本的に押さえておかないと、これまでの基本報酬の水準すら維持できなくなったからです。
<「VII 利用者の知識・能力向上」とは何をするか>
パターン1:社協やハロワ、障害者就業・生活支援センター等の職員が講師として研修を実施
パターン2:内容を理解した就A職員が自分たちで研修を実施
※「VII 利用者の知識・能力向上」の具体例について(「 厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」参照)
事例1:社会のルール、ビジネスマナーの研修や、模擬面接、企業見学等の一般就労に向けた研修
事例2:施設外就労先と連携し、就Aが現在請け負っている生産活動「以外」に関する仕事の研修
事例3:身だしなみ研修
事例4:内容を十分に理解した就Aの職員による金銭管理等の勉強会
令和6年度より新設された、労継続支援A型のスコア「VII 利用者の知識・能力向上」についてわかりました。
ただ、「VII 利用者の知識等向上」の点数を失わないために、どのような形態で実施して根拠書類を揃えておけば効率的でしょうか?
令和6年度の就労継続支援A型のスコアの配分変更により、新設されたとは言え「VII 利用者の知識・能力向上」の点数は落とす事ができません。
上記のように厚生労働省の留意事項でも具体例は挙げられていますが、事業所にあった負担のない方法を見つけることが大切です。
以下では就労継続支援A型のスコア「VII 利用者の知識・能力向上」を効率的に取得するポイントをわかりやすく説明いたします。
「VII 利用者の知識・能力向上」の簡単な実施方法と根拠書類の集め方
令和6年度に新設された就労継続支援A型事業所のスコア「VII 利用者の知識・能力向上」を効率的に取得する方法は、施設外就労先と連携して研修を実地するか、または就Aスタッフが内容を理解して独自の研修を実施することです。
<おすすめ1:施設外就労先と連携した研修の実施>
・施設外先の新しい作業を学ぶための研修です
・研修の成果が上がれば、生産活動の売り上げがアップし、利用者賃金も上昇する可能性があります
・既に連携している企業と協力することで、関係構築や研修内容の特定が容易になります
・つまり研修実施をすることが容易にできます
<おすすめ2:就Aスタッフ自身による勉強会の実施>
・一般就労した後の社会生活の安定のための研修です(例:金銭管理、健康管理)
・勉強会の成果が上がれば、職場定着期間も長くなり、就労移行支援体制加算を算定できる可能性が上がります
・研修依頼先を探す必要もないので、他者との連絡調整等の負担が少なく実施が容易になります
・つまり勉強会実施をすることが容易です
「VII 利用者の知識・能力向上」のスコア算定は、無理のない範囲で適切なテーマを見つけられるかがポイントです。
施設外先と連携して研修を実施する場合は、今後の賃金向上計画を見据えて単価の高い新規作業の研修にいたしましょう。
また事業所独自で勉強会をする場合は、就Aスタッフの内容理解のための資料は、ネットでいくらでも落ちているので、分かりやすいです資料を探しましょう。
スコア「VII 利用者の知識・能力向上」の報告書の作り方
令和6年度に新設された就Aスコア「VII 利用者の知識・能力向上」は、指定権者に届出と公表をして点数がつくので、厚生労働省の様式に基づき順序と記載事項を守って報告書を作成いたしましょう。
<「VII 利用者の知識等向上」の報告書の作成手順>
1 研修や勉強会の内容を、所定の様式に記入してください(写真の挿入を忘れずに)
2 連携先の企業や参加者に研修を振り返って反省や意義を書いてもらってください
3 実地指導のために研修や勉強会の資料、様子を事業所独自に記録しておきましょう
4 報告書を期日までに指定権者に提出いたします
5 Wamネットもしくは自社HPに報告書を公表する
スコア「VII 利用者の知識・能力向上」はただ研修や勉強会を実施するだけで加点にならず、報告書を作って役所に届出をすることが必須です。
上記の作成手順の2の意見書の把握が抜けていることがあるのでご注意ください。
4の役所への届出ののち、すぐに5の公表を行って手順に抜けがないようにいたしましょう。
まとめ
就労継続支援A型のスコア「VII 利用者の知識・能力向上」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
「VII 利用者の知識・能力向上」の算定のために適切に研修や勉強会を実施したいと思います。
就労継続支援A型のスコアで「VII 利用者の知識・能力向上」は、落してはいけない点数であります。
点数獲得のための研修や勉強会は開催に多くの調整も必要ないので、年度末ギリギリになっても諦めずにトライしましょうた。 日々の利用者の課題を知っていれば、彼らに今、就労移行のために何が必要か想像しやすいと思うので、日常的に研修のテーマ等を探ることも大切です。
しっかりと令和6年度の就労継続支援A型事業所のスコアを維持し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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