就労継続支援A型事業所を運営していますが、利用者が利用を止める時の手続きに不安があります。 就A利用者を不適切な方法で解雇すると、裁判になり事業所にダメージがあると聞きました。。
そこでお尋ねしたいのですが、就労継続支援A型事業所から利用者が離れる時の注意点やオススメの対策を詳しく教えていただけますでしょうか?
就労継続支援A型事業所は利用者を雇用しているので、利用終了とは別に雇用関係を処理する必要があります。
ただ不適切な対応で利用者を解雇すると、当人とトラブルになる他、事業所全体で受給している助成金の可否にも影響があるので注意が必要です。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 就労継続支援A型の利用者の契約終了の手続きの概要がわかります
- 就労継続支援A型の利用者の適切な解雇方法がわかります
- 就労継続支援A型から多機能型に移行する時の注意点がわかります
利用者の契約終了の注意点とは?退職時のトラブル回避の対策を解説
就労継続支援A型で利用者が通所を辞める時は、就A事業所への利用契約秋涼の手続きに加えて、給与労働者の根拠ともなる雇用契約も解約する必要があります。
<就労継続支援A型事業所の利用終了に必要な一般的書類>
・契約終了同意書 :辞める理由と事業所側の対応とその合意
・契約内容報告書 :自治体に契約終了の旨を報告
・退職願 :利用者から会社へ退職する旨の申し出
・被保険者資格喪失届:労基に対する雇用保険の除外の手続き
就労継続支援A型の利用者に対する利用終了と解雇の手続きの概略についてわかりました。
ただ実際に就A利用者とトラブルにならず事業所の不利益を避けるために、どのようなポイントに注意し、どのようトラブル対策が有効か教えてもらえるでしょうか?
就労継続支援A型から利用者が離れる時の注意点は、契約終了の手続きより解雇の方法です。
就労継続支援A型事業所が不適切な方法で利用者を解雇すると、事業所は様々な点で不利益を被る可能性があります。
以下では就労継続支援A型利用者と契約終了する際の注意点と対策をわかりやすく説明いたします。
注意点:懲戒解雇にしない
就労継続支援A型の利用を終了する場合は、利用者の同意なしに会社側の一方的な判断で懲戒解雇をすることもできますが、その場合は他の就A利用者も受給している「特定求職者雇用開発助成金」を受給できなくなる危険があります。
<「特定求職者雇用開発助成金」を受給できなくなる理由>
・「特定求職者雇用開発助成金」とは、障がい者を継続して雇用する事業主に支給。
・懲戒解雇で雇用契約を外す時、提出する「被保険者資格喪失届」に会社都合の退職と記されていると助成金受給資格を事業所として失う(=他の利用者の助成金も受け取ることができない)。
就労継続支援A型利用者が利用終了する際は、普通解雇でも懲戒解雇でも、利用契約書や就業規則に正確に則って事を進めましょう。
助成金の受給要件に気づかず、被保険者資格喪失届を提出すると助成金受給資格を失い大変なことになります。
就労継続支援A型の利用は労働契約でもあるので労務的なトラブルのリスクは常に存在しています。
就Aから多機能型に移行する際の注意点
就労継続支援A型から「就Bとの多機能型」へ制度設計を変える際に、従来の就A型利用者をB型に移行させることもありますが、その際に会社都合で就A→就Bに移行すると上記のように事業所は助成金を受給できなくなります。
<就Aから多機能型へ移行する際に気をつけること>
・利用者さんの移行は自発的に行ってもらう
・就A終了時点で退職願は出してもらう
・被保険者資格喪失届に退職理由を会社都合と記さない
就労継続支援A型からB型に移行することは、利用者さんにとって手取りの収入が大幅に下がるので不本意でしょう。
その時に利用者さんの同意を取らず会社都合で移籍させると、不当解雇のリスクや助成金の不支給の可能性が出てきます。
就Aと就Bの多機能型に移行する時は前もって時間をとり、しっかりと利用者さんに説明して本人に適切な就労形態を選んでもらいましょう。
まとめ
就労継続支援A型の契約終了時の注意点と対策について詳しく分かりました。ありがとうございます。
就労継続支援A型を離れる時は特に自主退職となるよう注意したいと思います。
就労継続支援事業所からの離脱は、一般就労や体調不良等の様々な事業で日常的に起こり得るので手続きに要注意です。
近年、就労継続支援A型事業所からB型との多機能に移行するケースが散見されますが、利用者を不適切に移行させたとトラブルも聞きます。 特に就Aの利用終了の際は会社側の都合の解雇にならないように注意いたしましょう。
しっかりと就労継続支援A型事業所の利用終了手続きを適切に行うことで、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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